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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

異世界よりも現代無双~異世界なんて生きることもままならないし、生きられても世知辛く、楽しくないものだよ~

作者: 梦衣羽爲 昬

黒歴史ノート中学二年生版前期設定集より。初めて設定を小説っぽくした時のやつを見つけたので、ちょっと弄って投稿してみます。

 俺は普通の高校二年生。名前は横原 望だ。特に変わった所もなく、探せばいそうな名前だ。

 成績はまあまあ、運動もまあまあ、容姿もまあまあと。大体のことに中の上という言葉が当てはまる。

 苦手な事は無く、何でも人並みにはできるが、得意な事はない。そのため、去年の文化祭では、人手の足りない所を回っていく事になった。絵かなんかの手伝いをした時は、美術部の奴らの拘りに着いていけなかった。

 何が言いたいかというと、俺は万能ではなく、ただの器用貧乏なのだ。

 趣味はこれといった物はない。クラス内の流行りに合わせていろんな事をした。

 テレビを見ながら、そんなことを考えているともう八時だ。

「初日から遅刻は不味いよな」

 今からいいところなのだが、仕方なく電源を切る。

 鞄をもって家を出る。そして、信号の無い横断歩道を渡っている時、鍵を閉め忘れたことに気づき、足を止める。

 その時だった。僕の体は弾き飛ばされる。車が僕を轢いたのだ。

 車とぶつかる痛み、そして骨が折れるような音がした。

 背中から着地して、呼吸困難になる。何とか、呼吸をしようとする。だが、今度は肋骨が折れているのか、呼吸する度に激痛がする。

 まだ車に乗っている運転手と目があった。

「ぎゅ、うく、う、しゃ」

 血を吐きながらも運転手に助けを求めた。

 運転手のとった行動は、逃走だ。車はどんどん遠ざかる。

 俺は自分の血で、車のナンバーを書いていく。

 書き終えたところで、僕の左手は動かなくなる。

「俺を、轢い、たことを後、悔、し、ろ」

 それが俺の最後の言葉になるはずだった。


 気づくと、そこは暗く何もない空間だった。動かせる肉体も五感もない。ただここに、思考があるだけだ。

 十分のカウントダウンが始まっている。直感的にそう思った。というか、たまに俺の思考の中にちらつく。


 カウントが〇になる。


 その瞬間、俺は全てを取り戻した。

 今、俺は無色透明の液体の中に沈んでいっている。何故か呼吸もできる。

 俺はため息を吐いた。期待はずれだったからだ。

 前の高校では、異世界転生や転移が流行っていた。当然俺も流行りに乗っかった。そして、少し憧れていたのだ。自分が主人公となることに。

 吐いた空気は、沈む俺とは反対に昇っていき、爆発した。物騒な場所だな。

 頭の中で今度は五分のカウントダウンがされている。今度は何が起こるのだろうか。


 カウントが〇になる。


 今までできていた呼吸ができなくなり、液体を吸ってしまう。俺の体は爆発した。

 直後今まで味わったことの無いような痛みが俺を襲う。俺の体は塵一つなくなったが、意識はまだ残っている。


 Continue? Yes/Yes 

 五分以内に選択しない場合、自動でYesになります。


 これをもう一回やるなんて、植物でも駄目だって分かるぞ。


 カウントが〇になる。


 また、無に戻ってきた。始まるカウントダウン。止まって欲しいと思ったって、時間は止まらない。


 カウントが〇になる。


 今度は眩しいただそれだけだ。俺は、風のような物のせいで、炎の中でぐるぐると回っている。内側には太陽らしきものがある。

 これも五分経ったら。


 カウントが〇になる。


 俺の体は、一瞬で蒸発した。そして、熱さと痛みも一瞬だ。人間の脳では感じきれないはずの物も、肉体がなくなったこの状況では、全てを受け取ってしまう。これが一瞬で良かった。


 Continue? Yes/Yes 

 五分以内に選択しない場合、自動でYesになります。


 カウントが〇になる。


 そして、また地獄へのカウントダウンが始まる。

 俺の転生地獄はここから始まった。


 祝千回を記念して、そろそろ五分以上生きれる世界は来ないかな。

 九九九回目の転生を終えた俺は、そんなことを思っていた。

 実は一回だけあるのだ。

 その回は人間として、産まれた。いつもみたいに、元の体ではなく、赤子として人の体から産まれたのだ。

 家の様子などを見て、文明が発達していないことがすぐに理解できた。しかも、外で耕作すらしていなかった。

 そして、産まれた一週間後、両親の手によって殺された。

 両親は悲しむわけでもなく、汚物を見るような目で俺を殺した。俺は、忌み子と思われたのかもしれない。

 結局人のいる世界に転生しても、理不尽に死んだ。


 カウントが〇になる。


 そこはただの灰色の砂地だった。月のような場所だ。今は光が合ったていなく、暗い。はぁ、やっぱり理想的な異世界なんて無いのか。


 カウントが〇になる。


 息が詰まり、呼吸ができなくなる。そして、体が冷えて、手先から感覚が消えていく。


 Continue? Yes/Yes 

 五分以内に選択しない場合、自動でYesになります。


 いつもの案内だ。いつか、Noが現れるときは来るのだろうか。


 カウントが〇になる。


 一万百回目、ついに俺は、テンプレ的な異世界に転生することができた。俺はそこで楽しく暮らす予定だった。

 だが、現実は違う。一八歳になった俺は今、俺は魔物を殺した。

 夏、冬になると魔物が活性化するため、毎年春、秋になると急いで数を減らすのだ。

 そうすると毎年死人が出る。村の今の一八歳は俺だけだ。

 五分前まではもう一人いたのだ。そいつは今僕の目の前で肉塊となっている。

「こんな世界は望んじゃいない」

 相方のナイフで、俺は自らの命を断つ。


 Continue? Yes/Yes 

 五分以内に選択しない場合、自動でYesになります。


 カウントが〇になる。


 十万回の転生を繰り返してた内に俺の中で一つの結論が出た。


 異世界なんてもんは、良いことがない。俺には現代社会だけが救いだ。


 俺は今回から、これを座右の銘としてこのハズレだらけの世界ガチャを回していこうと思う。

 課金の必要は無い。捧げるのは俺の命だ。

 地球のような現代社会に転生できる確率が低くても、俺は止められない。

 億分の一でも、俺は諦めない。いや、何回やったって諦めない。例え、途中でNoの選択しができたとしても諦めない。


 カウントが〇になる。


 俺の戦いはここからだ。


 二十万回目が終わった。そして、一〇分のカウントダウンは始まらなかった。


 二〇分のカウントダウンが始まった。


 せっかくだから、今まであった事を整理しよう。

 俺は一一万回目から自分の中で世界にレアリティをつけ始めた。

 星〇から星六というソーシャルゲームによくあるシステムだ。世界は全て星である事からも、これがぴったりなのは明白だ。

 星〇 立てないくらい小さい等、星として問題がある。 四三二九一件

 星一 五分の不死状態解除後に死ぬ。 一五五二四四件

 星二 空気はあるが、他の生物がいない。 四五三件

 星三 生物はいるが、人がいない。 五八九件

 星四 文明が発達してない。又は地球と違いすぎる文化や環境。 三二一件

 星五 中世ぐらい。 一〇二件

 星六 現代社会。 〇件

 まあ、こんな感じだ。ここにいると全ての記憶は、蘇る。だからこんなことも簡単にできる。

 明らかに星二が多い。そして、星二が一番痛い。

 疲れたし、ちょっと寝よう。


 カウントが〇になる。


 眠りから覚めると久しぶりに、生きれそうな場所だった。周りには草木が生い茂り、虫もたくさんいる。元の体だから、人はまだ存在しないようだ。

 だが、俺はこんなところで時間をくいたくはない。

 登りやすそうな木があったので、頑張って高い所までいく。


 カウントが〇になる。


 それと同時に俺は頭から飛び降りる。接地した瞬間、頭から俺の体が割れていく。

 こんなのもう慣れっこだ。


 Continue? Yes/No 

 五分以内に選択しない場合、自動でNoになります。


 いまさらNoなんて要らねぇよ。答えはもちろんYesだ。


 五億二万五百二回目、ついにその時が来た。俺は現代に転生した。


 それから俺は現代での生活を楽しんだ。

 小、中、高、大と前世のアドバンテージを活かし、成績はトップ。

 血にも恵まれ、容姿端麗、運動能力抜群。

 大学卒業後は、タレントとして活躍。株で大儲けもした。政治家になったり、小説を書いてみたり。有り余った金をいろんな国に支援したり。

 俺的に一番大きのは、第三次世界対戦が発生して半年で全ての国を、和解させ、世界を統合したことだろう。

 最終的に世界の支配者と呼ばれるようになった俺も死を迎えた。

 後日俺の死は全地域で大々的に報道された。

 そして死んだ俺にある選択が迫られる。


 Continue? No/No 

 五分以内に選択しない場合、自動でNoになります。


 はぁ!? おい、何で全部No何だよ! 俺は何回死んだっていいんだよ!

 早くYesの選択肢を出せよ!


 カウントが〇になる。


 手術室から医者が出てくる

「お兄ちゃんは助かりましたか」

 私は唯一の家族である兄の安否を聞いた。

 医者は首を横に振った。

 その時、悲しみがこみ上げ、私はただ泣いて喚き続けた。

 両親が無くなった時はまだ一歳で何も分からなかった。でも、今は一緒に一三年間過ごしてきた兄が死んでしまった。

 私は初めて死の悲しさを知った。


 自分は医者だ。今日、自動車との接触により、重体に陥った少年が搬送された。

 手術はすぐに行われた。順調に進み、後もう少しというところで、あの狂気的な出来事が起きたのだ。

 少年は手術中に起き上がった。そして、血を撒き散らしながら暴れ始めた。

「はぁ!? おい、何で全部No何だよ! 俺は何回死んだっていいんだよ! 早くYesの選択肢を出せよ!」

 この言葉の意味は全く理解できない。ただ、焦り、怒り、絶望、悲しみ、全ての負の感情を背負った言葉だった。

 この事を自分は死ぬまで忘れることはできないだろう。

僕は異世界転生というジャンルが大好きです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 異色な点。読んだ記憶にはしっかり残ったと思います。 [気になる点] 手術中の幻覚なのか最後に現代世界に転生してしまったのか。他の人にもあり得るのだろうかなど。 [一言] いろいろと主人公へ…
2022/11/09 08:37 退会済み
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