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四十一話 門出を祝う

 昼頃、ヒューヴィレの町に着いた。

 その足で、様々な店と露店が並ぶ大通りを通って、冒険者組合の建物に向かった。

 中に入ると、俺が冒険者登録をしたときに世話になった職員さんが、対応してくれた。


「お久しぶりね、お二人さん。テッドリィのことだから、教育期間が切れるその日に来ると思っていたのに。意外と、のんびりだったわね」

「……おい。その口ぶりだと、あたしが何時帰ってくるか、職員間で賭けてやがったな?」

「鋭いわね。けど、勝者はなしになったんだから、大目に見てよ」

「そのドコに、大目に見る部分があるってんだ!」


 テッドリィさんの怒声に、居合わせた人たちがビクッと体を縮こまらせた。

 しかし、職員さんは慣れた様子であしらっていく。


「そんなに怒らなくたって良いじゃない。じゃあ、新米くん――じゃなかった、バルティニーくんのことについて聞きたいから、テッドリィは奥の部屋に行っててね」

「あ~。教育係ってのは、そいういう報告もしなきゃならねぇんだったけか。面倒だなぁ」

「そんな面倒がることないでしょう。だって、テッドリィが彼に抱いた感想を聞くだけなんだから」

「けッ。それが面倒だってんだよ」


 がしがしと自分の頭を掻きながら、テッドリィさんは建物の奥へ通じる廊下へ向かった。

 俺は見送ってから、職員さんに話しかける。


「テッドリィさんに聞くことって、どんなことなんですか?」

「あ、やっぱり気になっちゃう?」

「それは、自分のことですから」

「うふふっ。そんなに心配そうな顔しなくて良いわよ。ただ単に、バルティニーくんがどんな人かを知りたいだけだから。何が得意とか、どんな人柄とかをね」

「それなら、冒険者の証を作るときに、聞かれた覚えがありますけど」

「身近で接した人の方が、本人が見えてないものも見えるものよ」


 はぐらし続けるので、俺についてどんな事をテッドリィさんに聞くかは、どうやら秘密みたいだ。

 それなら仕方がないと思いつつ、ふとここに来る間にあった露店を思い出した。


「あの、その質問って時間がかかりますか?」

「うーん、けっこう根掘り葉掘り聞くから、それなりに時間がかかるわね。ああ、これはなにもバルティニーくんだけについての質問じゃないわよ。テッドリィがちゃんと教育係をやっていたかを、調べる目的もあるんだからね」

「そうなんですか。時間がかかるなら、少しこの付近を歩いてきてもいいですか?」

「構わないけど……あまり遅くなっちゃ駄目よ。テッドリィが開放されるまでには戻ってきてよ。でないと、なんかすっごく怒られそうな気がするし」

「あははっ、気をつけます」


 職員さんに手を振ってから、俺は大通りにある店や露店を巡っていく。

 別れることになるテッドリィさんに、いままで教育してもらったお礼として、何かを贈ろうと思い立ったからだ。

 女性にあげるものなので、安物のアクセサリーや指輪を見ていくけど、なんとなくテッドリィさんには似合わないように思えた。そして喜ばなさそうだとも思った。

 ならどんなのなら喜んでくれそうかと考えながら、いろいろな種類が並ぶ様々な露店を見回っていく。

 その中で、ちょっと気になる人を見つけた。

 それは地面に麻布を敷いただけの露店で、並べられているのは壊れた武器や防具に道具ばっかり。

 店主に目を向けると、冒険者風の出で立ちをしている男だった。

 気になったので、声をかけることにした。


「あの、なんで壊れているものを売っているんですか?」


 店主が顔を上げる。顔立ちが高校生っぽいので、十六から十八歳ぐらいだろうか。

 俺が声をかけたことを不思議そうにして、じろじろと観察してくる。


「ん? ああ、同業か。見た目が若いから、新米くんかな?」

「ええ、まあ。教育係が今日外れるぐらいに、新米です」

「おお、そうかそうか。なら、こうして壊れている武器を売っている理由はわからんだろうな」


 うんうん、と勝手に納得した様子の後で、理由を教えてくれた。


「これはな、新しい武器を買う資金が少し足りなかったから、要らなくなったものを売っているのさ」

「へぇ……って、あれ? 冒険者組合でお金を貸してくれる仕組みがあったはずじゃ?」


 テッドリィさんはその仕組みを利用して、武器を新しくして、借金奴隷になったはずだ。

 不思議に思っていると、露店の店主のお兄さんは苦笑いする。


「その通りだけどな。あと銀貨一枚か二枚必要なだけで、借金奴隷になった上に、強制労働期間が加わるんじゃ割に合わないんだよ」

「たしかにそれぐらいのお金だったら、借金を選ぶよりも、どうにか稼ぎたいって思いますよね」

「そうそう。だからさ、新米くん。何か買っていかないか。壊れているけど、元は良い物だし、お安くしておくぜ?」


 壊れた物を売っている理由に興味が引かれただけで、買うつもりはなかったんだけどなぁ。

 どうしようかと思いながら、露店にある品々を見ていく。

 壊れた物だからと、期待しないで見ていたのだけど、真っ二つに折れている剣が気になった。

 元は良い物と言っていたのは本当のようで、見る限り使われている材質はすごく良さそうだった。


「あの、その剣を手にとっていいですか?」

「おお、いいぜいいぜ。もともとは、幅広の長い両手剣だったからな。柄のほうでも折れた先のほうでも、作り直せば、新米君の持つ鉈みたいには加工できるはずだ」

「……なら、これを加工して、自分の武器にたらいいんじゃ?」

「いやいや、オレたちが必要なのは槍なんだよ。これを穂先に加工しても、柄や石突がついてくるわけじゃないから」

「この剣を使っていた人は、買い換えたってことですか?」

「買い換えたっていうか、両手剣から盾と片手剣に武器を変えたんだ。そうしたら、予定よりも多くお金がかかってね。あはははっ」


 それって、笑い事じゃない気がするんだけどなぁ。

 お兄さんのチームをちょっと心配しながら、折れた剣を手に取る。もちろん折れた刃の部分も。

 鍛冶魔法で材質を確かめてみると、思ったとおりに材質はとても良い鉄だった。

 ただ少しだけ、作りの荒さが気になった。

 鍛冶魔法で鉄を柔らかくして練る作業で、手抜きをしているように感じた。

 長い両手剣を作るんだから、鉄を練る量が多かったんだろう。

 なので、途中で魔産工場の稼動限界が来て、それ以上は練らなかったんじゃないかな。

 それで手抜きをした部分から破綻が生まれて、こうやって折れちゃった。

 こう考えると自然な気がした。

 手抜きがいけないという見本に、俺もこれから鉄で武器を作るときには、もっと気をつけようと気を引き締めよう。

 それは置いておいて、この素材は使えそうだ。

 テッドリィさんは実用重視なタイプっぽいし、これで肉厚なナイフでも作って渡せば喜んでもらえそうだ。

 両手で持つ剣だから、刃の部分と柄が長いから、丁寧に加工しなくても二本は確実に出来そうだけどね。


「うん。この剣、いくらですか?」

「おっ、買ってくれるのか!? よしその剣だな」


 お兄さんは、一度俺の手から剣を取り上げる。

 そして、取り出した鞘に折れた剣先を入れ、それから剣を差し入れた。


「こいつは新品だと凄く高かったんだ。使い込んで折れていることを差っぴいて、銀貨一枚だな。だけど新米くんにも買える値段に下げて――」

「銀貨一枚なんですね。はい、これで」


 銀貨を一枚払い、お兄さんの手から剣を鞘ごと受け取る。

 これだけの素材を買い集める時間を考えると、銀貨一枚は安い買い物だ。

 なにせ、俺が鍛冶魔法で大部分を作るとはいえ、ナイフ二本を銀貨一枚で買える計算なんだから。

 

「え、あ、ありがとうございました……」


 困惑顔の店主のお兄さんと別れ、俺は意気揚々と冒険者組合に戻ることにした。




 冒険者組合で用事が終わり、テッドリィさんの案内で、宿屋に部屋を取るため移動していた。

 そのとき、テッドリィさんは俺が抱えている鞘に入った剣に目を向ける。

 

「おっ、なんだバルト。新しい武器を買ったのか?」

「テッドリィさんが質問を受けている間に、町を巡って壊れた剣を見つけてね。これを材料に、ちょっと武器を作ろうって思っているんだ」

「へぇ~。やっぱり、バルトがいると楽できそうだな。武器の整備と製造が出来るんだからよ。だから、あたしと別れた後は、食い物にされないように気をつけるんだぞ。そうじゃなきゃ、あたしが冒険者組合に黙ってやった意味がなくなっちまうからな」

「ちゃんと分かっているって。やるとしても、刃の付け直しぐらいの軽い整備に止めるって約束するよ」

「おう、分かっているならいいんだよ。よっし、着いた。今日は、この宿に泊まるぞ」


 指したほうを見ると、重厚な石造りの大きな三階建ての建物があった。


「なんだか、とっても高そうなんだけど?」

「気にすんな。ちゃんと冒険者御用達の宿だからな。そんでこれが、バルトにしてやる最後の教育だ」

「ここに泊まることが、教育なの?」

「そうさ。良い場所に一度泊まって、将来はこういう場所を常に使えるようになる、って目標になるだろう?」


 言われてみると、その通りのような気がしてきた。

 安宿を否定するつもりはないけど、こういう高級な宿に泊まることが出来るようになデカイ男になる、っていう目標の立て方もありな気がする。


「ほら、入るぞ」


 テッドリィさんに促されて中に入ると、内装はとても質素に見えた。

 木の床、吊るされているランタン。絵画や壷の類は一切置いていない。

 けど、黒く艶光りするカウンターや階段の手すりが、年月の経過を物語っているみたい。

 高級宿というよりも、古くからの老舗宿といった雰囲気だ。

 俺が内装に目を向けている間に、テッドリィさんはカウンターで宿の従業員と言葉を交わしている。

 慌てて近寄るけど、もう話は終わってしまったようで、テッドリィさんの手には鈴と紐がついた鍵が握られていた。


「よっし、部屋は取った。飯も部屋に持ってくるように頼んだからな。ノンビリしてようぜ」

「えっ、俺はお金払ってないよ!?」

「バーカ。教育って言っただろ。あたしが全額払うに決まってんだろうが」


 テッドリィさんは平手で俺の頭を叩くと、階段を上り始める。

 もうなんなんだよと思っていると、カウンターにいる従業員から微笑ましそうな目を向けられていることに気がついた。

 子ども扱いを受けている気がして、少しムッとしながら、俺はテッドリィさんの後に続く。

 俺たちの部屋は、二階の角部屋だった。

 中に入ると、広い部屋の中にベッドが二つ、机が一つ。机には木のコップが何個かある。

 作り付けの棚があり、その上段にはガラス瓶に入れられた色々なお酒があった。


「よーし、バルト。そこにある酒、全部机にもってこい」

「えっ!? これ飲んで大丈夫? 追加料金とか発生するんじゃ?」

「バーカ。何で事前に金払っているんだと思ってんだ。こういう物を飲み食いするのだって、払った料金のうちなんだよ」


 前世で聞いた宿の話との違いに驚きながら、言われたとおりに酒を全て机の上に置いた。

 すると、テッドリィさんは気負った様子もなく、瓶を一つ取ると栓を抜く。

 そして木のコップに注ぐと、軽く口をつけた。


「ん~。やっぱり良い宿に置いてある酒も、良い物だ。ほら、バルトも飲め」

「えっ、うん。ありがとう」


 開拓村の食堂から、テッドリィさんの酒を断るのが難しいと知っているので、俺はちょっと怯みながらも木のコップを受け取る。

 そして、舌で中にある薄茶色の酒を舐めてみた。

 ピリッと突き刺すような刺激の後で、不思議な匂いが口に溢れた。

 でも、どこかで味わったことがあると思って考えると、前世でお酒入りのチョコを食べたときの味だと思い出した。


「よし、ちょっと待てば、バンバン食いもんがくるよう頼んだからな。それまで二人で飲んで待ってようぜ」

「う、うん。お手柔らかに」

「バーカ。すぐそこにベッドがあんだ。酔いつぶれる心配なんかしてんじゃねぇよ!」


 テッドリィさんは、自分のと俺の木のコップに、どばどばと酒を注ぐ。

 あっという間に、なみなみと入れられてしまった。


「よっし、乾杯だ。明日からの、あたしたちの新たな門出に!」

「えっと、俺たちの新たな門出に!」


 コップを軽く合わせてから、ぐっと酒を飲む。

 熱湯とは違う、熱い感じが喉を駆け抜けて、思わずむせてしまう。


「げほげほげほっ!」

「あはははははっ。バルト、デカイ男を目指すってんなら、こういう度数の強い酒こそ飲みなれるようになれよ!」

「げほげほっ、背中を叩くと、もっとむせて、げほげほげほっ」


 俺がむせるのが面白いらしくて、テッドリィさんは笑いながら、どんどんと酒を飲んでいく。

 ルームサービス――ってこっちの世界で言うか知らないけど、従業員さんが運んできた料理が机に並ぶと、酒量がもっと増えた。


「あははははははっ、楽しいな、バルト。こんなに楽しい日は、滅多にないぞ! おら、飲め飲め!」

「はいはい。いただきます、いただきます」


 俺が飲む振りをすると、すっかり赤ら顔になったテッドリィさんは、けらけら笑いながらコップを煽っていく。

 その様子がどことなく無理して飲んでいる気がして、自惚れかもしれないけど、俺との別れを寂しがってくれているんじゃないかって思ってしまう。

 そうして料理が粗方なくなったころ、テッドリィさんは酔いつぶれてしまって、机に突っ伏してしまった。


「もう、仕方がないな……」


 いつぞやみたいにテッドリィさんに肩を貸して、ベッドの一つに寝かしてあげた。

 その後で机の上を片付けて、露天で買ったあの折れた剣を素材に、ナイフを作っていく。

 剣を分解し、鍛冶魔法で折れた刃の部分を柔らかくすると、一まとめにしてから捏ねていく。

 丁寧に心を込めて、最高のナイフの素材になるように捏ね上げる。

 その後で、柔らかくした鉄を半分ずつに分けて、同じ形の二つのナイフにしていく。

 幅は厚めで折れ難くして、バランスを考えて振りやすくして、刃は斬りやすい形状に作っていく。

 うーん。色々と詰め込んでみたら、まだ途中だけど、小さな鉈のような大型ナイフになっちゃったな。

 けど、今の俺が作れる最高のナイフだ。

 あとは、剣の鞘と柄を切って、このナイフに加工していくだけ。

 鉄で作るのと違って、革や木を扱うのはちょっと苦手だ。

 気に入らないようなら、鍛冶屋に直してもらうように忠告しようと思いながら、それでもちゃんと作っていった。



 集中して二本とも作り終えると、どれだけ時間が経っていたのか、もうすっかり外は静かだ。

 強張った背中を伸ばすと、テッドリィさんほどじゃないけどお酒を飲んだからだろう、眠たくなってきてしまった。

 けど、もうちょっとだけ作業しないと。


「ごめんね、テッドリィさん」


 小声で断りを入れてから、テッドリィさんの手を取り、指で撫でたりして手の形を確かめていく。


「んっ、んぅ~~……」

 

 くすぐったいのか、軽い寝言が漏れ聞こえてきた。

 そのことに軽く笑うと俺は手を放して、テッドリィさんが握りやすくなるようにナイフの柄を加工する。

 丁寧に作業して一本目が終わったとき、誰かが背中に乗っかってきた。

 この部屋には俺とテッドリィさんしかいないので、誰かはすぐに分かった。


「テッドリィさん、起きたの?」

「お~う~。誰かさんが、イタズラしてきたからな~」


 まだ酔っているのか、俺に甘えるように抱きついてくる。


「ちょっと、テッドリィさん。重いってば」

「バルト、失礼だぞ~。ん~? なに作ってるんだ~?」

「ナイフだよ。テッドリィさんにあげようと思って」

「ふ~ん。二本あるなら、一本はバルトのってことか? 別れるときに、同じ物を持たせるなんて、意外と夢見がちなんだな~」


 二本ともテッドリィさんのものだと否定する前に、俺は彼女に投げ飛ばされていた。

 状況が理解できずにいると、ベッドに落ち、そしてテッドリィさんが馬乗りになってくる。

 さらには俺のことを脱がそうとまで!


「ちょっと、酔いすぎだよ!」


 どういう意味かを本能的に理解して、慌てて手を押さえる。

 すると、テッドリィさんはにやけ崩れた顔を俺に近づけてくる。


「んふ~……なんだよ、あたしじゃ嫌だってのか~?」

「嫌っていうわけじゃないけど、酔ってそういうことしたら、絶対後悔するでしょ?」


 テッドリィさんが身持ちが硬い女性だと、一緒に暮していて知っている。

 酔って――その、エッチなことをしたら、自己嫌悪に襲われるだろう。

 しかしそんな心配をよそに、テッドリィさんはさらに笑顔になって、俺を脱がそうとしてくる。


「いんや~、後悔しないぜ。だってよぉ~。本当は、この宿を取ったのは、バルトにこういう教育もしてやろうって、思っていたからだしな~」

「えっ!?」

「なんだよ、驚くなよ、傷つくだろ。あたしだって、命懸けで守ってくれた男に、ときめくことぐらいあるんだぜ。こういう薬を買っちまうほどにな」


 ごそごそと自分の服を漁って、テッドリィさんは小さい赤い実のようなものを何粒か取り出した。


「……なに、それ?」

「んふ~。一夜の過ちで、子供を作らなくて済む薬さ~。夜の商売をするヤツなら、常備している安全なもんだぜ。あの開拓村で離れてたとき、これを買いに行ってたのさ~」


 ぱくりと一粒飲んでから、テッドリィさんは自分の唇に舌を這わせる。


「これで準備よし。んで、教育開始だ。バルト、これから女を抱くときは、さっきの薬を使っておけよ。さもなきゃ、子連れで冒険者をする羽目になるからな~」


 言いながら服を脱がそうとしてくるので、必死に止める。


「ちょ、ちょっと待ってよ! 待ってって!」

「……なんだよ。やっぱり、あたしみたいながさつな女は、嫌だってのか?」


 いつもは男勝りなのに、こういうときに限って泣きそうな顔で弱さを見せるのはずるいと思う。

 俺だってテッドリィさんを嫌っているわけじゃない。むしろ好きなぐらいだ。

 それに男だし、こういうことをしたいって気はある。


「……はぁ~、もう。分かったよ。お互いに後悔しないって約束だよ」


 抵抗をやめると、テッドリィさんはとても嬉しそうな顔になった。


「うんうん、後悔しないぜ。むしろ、ずーっと喜ぶ」

「なに言っているんだか。俺、初めてだから、色々と教えてよ」

「バーカ~。あたしだって、そんなに経験のあるほうじゃねーっつーの」


 言葉を終えると笑い合う。

 そしてどちらともなく口づけして、服を脱がせ合い、ベッドの上で交わり始める。

 そこからは、テッドリィさんと濃密な時間が過ぎたとだけしか、初体験の俺には記憶が残らなかった。


魔法で作った鉄について質問があったので、ちょっと補足。

樽生成で出来る鉄は、高純度の鉄です。

このままでは武器として使えないので、鍛冶魔法でねってこねて、好みの硬さに仕上げます。

その仕組みについて、バルティニーは前世の冶金知識が無いので、そういうものだと理解していて不思議に思わないので、詳しく書くつもりはありません。あしからず

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