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Warrior 〜異世界戦士伝〜  作者: モン吉
4/6

出会い

更新遅れて、申し訳ありません!

ブックマークしてくださった方々に感謝です!


次回から更新ペースを上げていきたいと思います。

これからもよろしくお願いします。

「うぐあぁぁ!!」


悲鳴とともに目が覚めた。


化物に襲われる夢を見ていた。

最悪な夢だ。

緑の怪物に食われる夢だ。


荒れた呼吸を落ち着かせると、額に手をやった。

冷や汗で額がビショビショだった。

まだ、頭痛が残っていて、体もだるい。


リョウはゆっくり体を起こすと辺りを見渡した。

古風な石造りの壁に、梁や天井は無垢材でできている。


「ここは・・・」


そうだ、たしかアフガンで偵察任務中にハリケーンに襲われて・・・

その後の事はうまく思い出せない。


簡素なベッドから降りると、部屋の小窓に目をやった。

少しふらつく足で窓に近づき、観音開きの木製冊子のガラス窓を開けた。


「どういう・・ことだ」


リョウは外の光景に驚愕した。

一面に広がる緑の大地、遠くに見える山脈から流れる大河、そしてそこで生活する人々の姿があった。

その光景はまるでアフガンとはかけ離れていた。


アフガンにこんな土地は存在しないはずだ。

夢でも見ているのかと、リョウは頭を左右に振った。


だが、肌に感じる温度や風、地面を踏みしめる感触や手に触れた物の質感は本物だ。


(現実だとして、ここは一体どこだ?・・・アフガンじゃないとしたら、あのハリケーンが関係あるのか?)


思考を巡らすと、ピキッと頭痛がした。


「痛っ!」


その瞬間、頭の中に伸びきったビデオテープのような部分的な映像が見えた。

怪物が襲ってきて、それを別の巨人が叩きのめして・・・

最後は少女の顔。


「まだ、安静にしていてください」


「!?」


リョウは声のする方に瞬間的に身構えた。

そこには民族的なポンチョを羽織った少女が立っていた。


(いつの間に!)


反射的に腰に手を伸ばすが、そこにあるべきホルスターと肝心のハンドガンがない。

すぐさま腰のナイフに手をのばすが、それも無い・・・


その間抜けなリョウの姿に少女は首をかしげ、不思議そうな顔でリョウを見ていた。

少女はタオルと水さしをベッドの横にある机に置くと、リョウの方に振り返った。


「ずっと、うなされていたんですよ」


「・・・一体何があったんだ」

まだハッキリしない頭を抑えながら彼女に訪ねた。


「危ないところでした。森で魔物に襲われそうになっていたんですよ」


(魔物だと!?・・・じゃあ、さっきの夢は本当だったのか?バカな・・・)


「すると、君が俺を助けてくれたのか?」


「はい、助けたのは私というよりゴーレムですけど」

少女はニコッと微笑んだ。


(ゴーレム?神話やファンタジーの世界のか?何を言っているんだこの子は・・・そういう世界感が好きなのか?彼女くらいの歳の子はそういった幻想に浸る傾向があるらしいが・・・)


ゴーレムに魔物、まるでファンタジーだなとリョウは苦笑いした。

リョウは彼女を完全に妄想好きの女の子と思ってしまっている。


「で、君は誰だ・・・?」

リョウの言葉にハッとしたのか、慌てて自己紹介を始めた。


「ごめんなさい!私はフィーナ、フィーナ・リオス・アルフル」


「フィーナと呼んでください」


フィーナと名乗る少女は、歳は10代くらいだろうか。

白いロングの髪に白い肌、整った顔立ちに綺麗なスカイブルーの瞳。

いわゆる美少女だ。


そのスカイブルーの瞳に一瞬目を奪われそうになった。


「・・・それよりも聞きたいことがある」


とにかく聞きたいことが山ほどあった。

ここはどこで君たちは一体何者なのか。

まず冷静に状況確認が先決だ。


「私も聞きたいことがあります」


唐突に質問返しをされて戸惑った。

容姿に似合わず、鋭い目でこちらを見ていた。


「お名前くらい教えてください」


そう言った彼女は少し緊張していた。

無理もない。

リョウもまた刺すような目付きで彼女を見つめていた。


「あぁ、すまない・・・君が名乗ったのだから、こちらも名乗るのが筋だな」


リョウが少し表情を緩めると、彼女も肩の力をぬいて緊張を解いた。


「俺は・・・」


リョウは一瞬迷った。

どこか分からない場所で正体不明の少女に身分を明かす必要はない。


ここがもしアフガンでタリバン勢力圏内だとしたら

特殊部隊シールズだと知った瞬間、ビデオカメラの前で容赦無く首をはねられる。


だが、彼女に敵意は感じられない・・・


迷った末、偽名を名乗ることにした。


「俺は・・・マーク・チェン」


咄嗟に思い付いた名前だ。

この名前は昔好きだった香港映画の主人公から取った。


「じゃあマークさんね」


フィーナはニコッと微笑むと、水さしからコップに水を注いで、それをリョウに渡した。


「本題に入るが、ここは何処だ?俺の知る限りアフガンでは無いようだが」


「アフガン?ここはナジャルですよ」


ナジャル?聞いたことも無い地名だ。

中東系の地名ではあるが、風景や環境がまるで違う。


「ここは、サントリオ王国のナジャル地区です」


「サントリオ王国?聞いたことないぞ・・・」


そんな国は中東周辺でも聞いたことがない。

さっきからこの少女は俺をからかっているのか?

それとも何か罠にはめようとしているのか?


「え?じゃあ、マークさんはルーン大陸の人じゃないのですか?」

ルーン大陸?何を言っているのか、さっぱり理解ができない。

少女は説明を続けた。


フィーナの説明によると、ここはルーン大陸の南部にあるサントリオ王国。

行政府のある首都エルグラードは大きな城を中心に街が広がっており、商業が盛んである。

首都は海沿いにあり、他国との貿易の要所でもある。


自分達がいるナジャル地区はサントリオ南部にある山岳地帯で、ナジャル人と言う民族の自治区らしい。

豊かな大地で農業が盛んだ。


フィーナが説明を終えると、リョウはため息をつきながらベッドから立ち上がった。

もう付き合っていられないと頭を左右に振った。


「OK!君のストーリーは素晴らしいよ。だがな、大人をからかいすぎるのは良くない」


「え?」


リョウはブーツ隠していたフォールディングナイフを取り出すと、素早く彼女の背後にまわり、羽交い締めにした。


「うぐっ!な、何をするんですか・・・」

ナイフを首筋に当てられ、身動きがとれないでいる彼女はリョウの行動が理解できない様子だ。


武器を持っていないか左手でボディチェックを素早く行う。

幸い武器は持っていないようだ。

アフガンでは子供でも手榴弾や銃、更にはIED(テロ爆弾)をも所持していることがあった。

自爆テロなどを防ぐため、こういうことは徹底して行うのがプロだ。


しかし、脇や腹に太股を触られたフィーナはこの男に乱暴されるのではないかと更に恐怖した。


「や、やめて・・・」


「お前は何者だ!」


リョウは彼女を左腕でゆっくり締め上げると尋問を開始した。


「俺たちをどうするつもりだ!そして、ここはどこだ!」


「うぅ、さっき話したとおりです。は、離して・・・」

彼女の涙が頬を伝って、リョウの腕に落ちた。


しかし、リョウは容赦なく彼女に尋問を繰り返した。


「答えろ!」


バン!


突然、部屋のドアが開いた。


「リョウ!やめろ!その子を離すんだ!」


そこに現れたのはハンクだった。


「ハ、ハンク!」


突然現れたハンクに戸惑った。

リョウはパニック寸前だった。


「ハンクどういうことだ!ここはどこだ!」


「とにかく落ち着け!彼女を離せ!」


「誰か説明しろ!!」

その状況を見たハンクは「クソ!」と、窓の方にアイコンタクトを送った。

すると、窓から勢いよくジョーが突入してきた。


「何!」とリョウは反撃する間もなく、ジョーにナイフを手刀で叩き落とされた。

リョウは為すすべもなく、右腕の関節をキメられ地面に叩きつけられた。


リョウから解放されたフィーナはその場に崩れ落ちた。恐怖で腰が抜けてしまっていた。

ハンクは彼女を肩を支えると「心配ない」と話しかけた。

うつ伏せの状態で拘束されたリョウは苦しそうにもがくと、ハンクはジョーに「落ち着かせろ!」と命令した。


瞬間、首筋に鈍い痛みが走った。


リョウはそのまま気絶した。


「マークさん!」

気を失ったリョウの姿を見て死んだのかと勘違いした。


「大丈夫だ、気絶しただけだ」


「おい、ジョー!そいつをベッドへ連れていけ」

ジョーはハンクの指示に頷くと、リョウをベッドに寝かせた。


フィーナはリョウの行動が理解できない上、リョウと同じく素早い動きで人間を行動不能にしたハンク達に驚き、戸惑っていた。


これが彼らと彼女の最初の出会いとなった。

次回はフィーナサイドの話にしようと思います。

今後の展開があまり決まっていないので(^_^;)


次回「フィーナ」乞うご期待!

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