第39話「ホレ薬の効果」
千代ちゃんのくれる「ホレ薬」。
あれ、本当に効くんでしょうか? 効かないんでしょうか?
もう、レッドはあれでキスしまくりです。
わたしとコンちゃん、ホレ薬を口にして店長さんにアタック。
勝負の行方は本編で!
「おふろ、あがった~」
レッドがトテトテ歩きながらやってきます。
お風呂上りでホコホコしてます。
湯気たちまくり。
わたしとミコちゃんでお菓子やジュースを持って行きます。
シロちゃんとたまおちゃんもお風呂から出てきて、すぐに合流。
みんなで寝る前にちょっと甘いのを食べたりするんです。
リビングには店長さんやコンちゃんもいて、わたし達を待ってますね。
「はい、今日は羊羹で~す」
小豆や抹茶の羊羹です。
見た感じも涼しげ、冷蔵庫で冷やしてあるの。
すぐに手を出すのはレッド……でも、コンちゃんに叩かれて手を引っ込めます。
「こりゃ、レッド、手で取ってはいかん、楊枝を使わんか」
「は~い」
って、レッドも言われて楊枝を使うけど、小さいからなかなか難しいみたい。
そんなレッドにはミコちゃんが取ってあげたりします。
って、わたしがお茶をみんなの前にやろうとしたら、もう羊羹残りわずか!
「み、みんな食べるの早ーいっ!」
むー、こうも家族が多くなると食べるのも弱肉強食・早い者勝ち。
って、ミコちゃんが笑いながら、
「ポンちゃん台所で切ってる時、つまみ食いしてたわよね」
「う……ミコちゃんそれを言ったらだめだよ」
「太っちゃうわよ~」
「そ、育ち盛りというんです」
一瞬みんなににらまれるかと思ったけど、とりあえず大丈夫でした。
羊羹……ついに最後に一個です。
こう、最後の一個はちょっと手を出しにくいですね。
「さいごは、ぼくの」
って、もうレッドのって決まってるみたい。
楊枝で刺して持っていっちゃいました。
そういえば、最後のはレッドのって暗黙の了解みたいなの、あるんです。
いやいや、お昼のおやつで最後のを店長さんが食べちゃったら、その日一日レッドが落ち込んじゃった事があるんですよ。
この世の終わりみたいな感じの顔をするんです。
お客さんもいないので、お店のテーブルでおやつを食べていると、カウベルがカラカラ鳴りました。
入ってきたのはレッドの手を引いた千代ちゃん。
「ポンちゃん、レッドを送ってきたよ」
「あ、千代ちゃん、いらっしゃい」
「ポンちゃん迎えに来ないんだ」
「うん、お店もあるし……それにわたしが行くと祟りがあるかも」
「祟りじゃなくて、女子プロでは?」
「う……言わないで……」
わたし達が話している間、レッドはおやつをもらっています。
そんなレッドを見ながら千代ちゃんが、
「なんだか私に懐いちゃって」
「ふーん、そうなんだ」
って、レッドがメロンパンを二個持って来ました。
一つを千代ちゃんに渡しますよ。
「ねぇねぇ、レッド」
「なに、ポン姉」
「レッドは千代ちゃんが好き?」
「すきすき~」
「ほう、コンちゃんやミコちゃんと比べてどうですか」
「へんじに、こまります」
って、言いながら千代ちゃん見てますよ。
レッドのほっぺが赤くなっちゃって、かわいいもんです。
「では、千代ちゃんのどこが好きですか?」
質問してるとコンちゃんやミコちゃんも集まって来ました。
レッドは体をくねらせて、
「めがね、すてき」
そ、そこですか……つくづく眼鏡スキーですね。
って、コンちゃんが千代ちゃんに手を伸ばして眼鏡を取っちゃいます。
そして自分で眼鏡をしてから、
「こりゃ、レッド、わらわが好きかの?」
「!!」
レッド、眼鏡コンちゃんを見て固まっちゃいました。
コンちゃん眼鏡をミコちゃんにバトンタッチ。
「はい、私はどうですか~」
「は、はうっ!」
眼鏡をしたミコちゃんを見て、レッド涙してます。
「かかかかみさま~」
感動してるんですね。
千代ちゃんは眼鏡を返してもらうと、
「眼鏡がお気に入りなんだ……」
つぶやきながら、ポケットからなにか出しましたよ。
こ、これはっ!
あの「ホレ薬」ですよっ!
本当はヨーグルト味のお菓子なんだけど……
一粒出すと、レッドに渡します。
レッド、ちょっとクンクンしてから口に入れますよ。
最初はちょっとすっぱい顔をして、でも、すぐに目を丸くして、
「ナニコレ、おいしー!」
千代ちゃんも、自分で一つ食べます。
そしてレッドに向かって、
「ねぇねぇ、レッド」
「なに、ちよちゃ」
「私はレッドが好き……レッドは?」
「すきすき~、ちよちゃ、すき~」
って、レッド、千代ちゃんにキスしました。
なんておませさんでしょう。
注意する間もなくピョンピョン跳ねながら行っちゃいました。
千代ちゃん、わたしを見てニコニコすると、
「ほら、このホレ薬、すごく効く」
「千代ちゃん、これ、ただのお菓子」
「だってレッドはキスした」
「子供だからですよ~」
「ふーん、ポンちゃんは信じないんだ」
「う……だってただのお菓子……」
千代ちゃん、四粒残ったのをわたしにくれて、帰っちゃいました。
コンちゃんがそんなお菓子をわたしから奪って、
「千代とやら、なかなかやるのう」
「レッドが子供だからですよ~」
「案外本当に薬かもしれん」
「ウソだ~」
コンちゃん、一粒食べちゃいました。
お菓子はすぐにミコちゃんに渡って、
「このお菓子、おいしいのよね」
「おいしくても、ホレ薬じゃないって」
「私は信じま~す」
「って、食べたいだけだよね?」
ミコちゃん食べちゃいました。
わたしも好きだから食べちゃいましょう。
「ねぇねぇ、ミコちゃん」
「なに、ポンちゃん?」
「ミコちゃんは誰に好きになって欲しいの?」
「店長さん」
「な、なんですと!」
「冗談よ、冗談、レッドに好きになって欲しいの」
「もう、充分すぎるほど懐いてるんじゃないのかな~」
「そうかしら?」
わたし、ちょっと考えてから、
「もっと好きになって欲しいなら、こんな薬よりも……」
「こんな薬よりも?」
「眼鏡の方がいいかもよ」
あ、ミコちゃん真剣な顔で奥に行っちゃいました。
わたしとコンちゃん、お昼の休憩&おやつの続きでテーブルへ。
残った一粒を見ながら、
「このお菓子が本当にホレ薬だったらな~」
「まぁ、わらわには必要ないがな」
「えー!」
「店長はわらわにぞっこんなのじゃ」
「でも、最近コンちゃんスケスケ寝巻きじゃないよ」
「!!」
「あれじゃないと、店長さんにアピール出来てないのでは?」
「むう、レッドがおるでのう、あの格好はもう出来ん」
って、ミコちゃんと交代みたいに奥から店長さんが出てきます。
「あ……もうおやつ、全部食べちゃったんだ」
「店長さん遅いもん」
「普通俺の分、残しておかないかな~、俺、ここの主なんだけど」
「レッドと千代ちゃんが来て食べちゃったから」
「まぁ、いいか……」
って、店長さん、わたしの手から最後の一粒を奪います。
「あるじゃん、最後のもーらい」
店長さん食べちゃいます。
美味しそうに口の中で転がしています。
わたし、コンちゃんに目で、
『て、店長さんがホレ薬食べましたよっ!』
『ポン、これはホレ薬ではない』
『わたし、まだ口の中に残ってるよ、告白しちゃおうかな~』
『うむ、わらわも残っておる』
って、コンちゃん急に神妙な顔になりました。
わたしだって、もう、店長さん逃しません。
さっき千代ちゃん、レッドとキスしてましたよ。
もしかしたら、今日のは本当にホレ薬で効いてるかもしれないし。
って、レッドがトテトテ歩いてやってきました。
店長さんの手にあるお菓子のカラのを見て、呆然としてます。
「ててててんちょー!」
「あ、レッド、お帰り~」
「そ、それは?」
「あ、これ、食べちゃった」
店長さん、全部なくなったのをレッドに見せてから、お菓子を舌に乗せて出して見せます。
「最後の、いただき~」
「そ、そんなー!」
「ふふふ……」
「さいごのは、ぼくのなのー!」
お、レッド、店長さんにしがみつき。
よじのぼってます。
店長さんニコニコしてますが……
……って、いきなりキスですか!
レッド、店長さんの口にキス!
いや、なんていうか「吸い付く」感じ。
あ、「スポン」って離れました。
店長さん唖然としてます。
レッド、舌をペロっと出して戦利品みせびらかし。
「さいごのは、ぼくのなの」
店長さんから飛び降りると、行っちゃいました。
わたし、コンちゃんを見ます。
コンちゃん、自分の舌にお菓子を乗せてますよ。
そのまま店長さんのところに行くと、
「ほれ、店長、わらわのをやろう、口移しで」
うわ、なんて直球勝負!
わたしだって、まだ残ってるんです!
「店長さん、わたしの方がおいしいですよ!」
「タヌキの唾まみれより、わらわの方がおいしくて楽しいぞ」
「わ、わたし『かわいいフラグ』立ってるんですっ!」
「どら焼き級のくせにっ!」
「わーん、コンちゃん言っちゃいけない事をーっ!」
夜空には沢山の星。
わたしとコンちゃん、並んでダンボールの中です。
「なぁ、ポン」
「なに、コンちゃん」
「店長はオクテなのかのう」
「違うと思うよ~」
ま、あのラブアタックのせいで、一緒にお外でお休みなんですね。
って、コンちゃんどこからともなく、例のホレ薬を出します。
「ほれ、ポン、一つやろう」
「って、コンちゃんどこからそれを!」
「うん? これかの? これは村のお店に並んでおる」
「や、やっぱりお菓子なんだよね」
「確かにのう、お菓子よのう」
「おいしいけど」
わたしとコンちゃん、一緒になって口の中で転がします。
「ね、コンちゃん」
「なんじゃ?」
「レッドを見てて思ったんだけど……」
「レッドを見て? なんじゃ?」
「こう、キスしようキスしようってのが、まずいんじゃないかと」
「ほう……」
「こう、なにか軽~いきっかけで『チュッ』って感じで唇を奪うわけですよ」
「なるほどのう」
いや、その夜は今までの「お外でお休み」と違って、コンちゃんと熱い討論ができたわけです。
店長さん、いつかきっと、キスしてもらいます。
こ、コンちゃんに先を越されないように頑張らないとね。
「こう、たまおちゃんに勝ちました……正当防衛」
「コンちゃんには二勝、神楽の時とこの間」
「今まで強敵だったシロちゃんにも勝ちました」
「うん……これでミコちゃんをやっつけたら、わたし、名実ともにナンバーワン」
ふふふ…ミコちゃんを倒してミッションコンプリート!




