表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

錠剤の檻

掲載日:2026/03/18

うん?どこだここ?目覚めたら知らない場所にいた。周囲を見渡すと見慣れない機械があって…救急隊員がいた。耳を澄ますと普段耳にする聞き慣れたサイレンが聞こえる。あぁそうか救急車の中か。そんな事を考えていると救急車が止まり、タンカーで運ばれた。「降ろしますよ。1、2、3!」とドラマでよく聞くセリフがモヤのかかった頭の中で響く。


これは修学旅行の初日に発作で倒れた私、「詩島あざみ」の物語である。


毎日飲むように、と薬を処方された。私の病気は「若年性ミオクロニーてんかん」というらしい。簡単に言えば脳の神経信号がバグって体が思うように動かせず、なす術なく倒れてしまうらしい。初めて倒れたあの日、修学旅行の初日は背中に背負ってたバックのおかげで頭を石畳みに直撃することはなく、気を失っただけらしい…痙攣しながらだが。たまたま他校も修学旅行中で他校の先生とお土産屋さんの人達のおかげでこれといった大きな怪我を負うことはなかった。人生でたった一度きりの修学旅行を失った訳だがしょうがない。最初は与えられた薬を飲むだけ。たったそれだけだと考えていた。自分よりも辛い病気の人がいるから薬を飲むだけがなんだ、簡単な事だろうとも考えいた。人間、無意識のうちに比較してしまう生き物だ。だからこそ特有の苦痛に気付けなかった。


面倒くさい。薬を飲み始めてから約2年が経とうとしていた。食後に飲む。これだけ聞けば楽な事だろうと思う人が大半だろう。だが、面倒くさいの根元は副作用に振り回される毎日が嫌だったというのが正直なところだ。花粉症や風邪、インフルエンザなどの多くの人が薬を飲む期間があるだろう。それとこれとは訳が違う。飲む期間、眠気、集中散漫、平衡感覚の喪失などが学校生活で起きる。千鳥足で転ぶのを防ぐ謎の技術が身についたり、天を仰ぐ様に寝そうな事もあった。ここまで書いといて今更ながらこれは私の場合だ。同じ病気でも他の人は違うという事を理解してほしい。


この病気は他人への説明が難しい。それ故に"てんかん"という名称に短縮される…果物の"ポンカン"と1文字違いである。そうなると起こり得るのが果物の種類の1つと誤解されそうになる。そして…別に大した事のない病気だと思われる。発作が起きると全身が痙攣し、マネキンのように倒れる。当たりどころが悪ければ頭に大きなダメージを与えるだろう。それを防ぐために薬を飲んでいるのだが、副作用が酷い。これは私の場合だが薬の副作用が出やすい体質らしくお医者さんいわくどうにもならないらしい。対策として処方されたのは夜寝る前に飲む薬なのだがこれがまあ凄まじい。薬を飲んでベッドに入れば2分も意識が保てない。強力な睡眠剤のような効果だった。明日も頑張るぞ的な事も反省会な事も出来ず夢の世界へひとっ飛び。恐怖である。


この作品のタイトル「錠剤の檻」は私が感じる他人からの扱いだ。たかが薬を飲むだけというレッテルは消えない。テレビで放送される程の大病でなければ珍しい病気ではない。だからなのだろうか、軽くあしらわれているのは。誰かに話しても理解されない苦しさがそこにはある。だが、理解なんてされた事がない。上っ面の情報だけで心配したり同情してくれる人がいる。それだけでも充分に人との出会いに恵まれていると言われても仕方がない。"人は思っている程、人に興味はない"。私が友人に言われ驚いた言葉の1つなのだが頭の中で整理すれば理解出来る。結果だけを見る。ただそれだけ。過程なんか知ったこっちゃない人達からしたら私の嘆きなど軽くあしらわれても仕方ないのかもしれない。だから「檻」なのだ。相談しているのに1人な感じがして閉塞感を感じるのは結局のところ私を理解してほしい、というエゴなのかもしれない。


これを読んでくれた方の周りにはきっと誰にも言えずに1人で悩みを抱えている人がいるかもしれない。"大病じゃないから"、"深刻な病気じゃないから"と考えているかもしれない。爆弾を抱えながらも頑張って"普通"を過ごしているのかもしれない…そんな人がいるかもと考えを変えてくれたらいいなと私は思う。


「錠剤の檻」はいつ開くのかはひょっとしたら何者でもない貴方が関係しているのかもしれません。

私が当時感じた事を少しマイルドにした随分と偏った初のエッセイでしたがどうでしたか?下にある⭐︎から作品への評価をお願いいたします。正直に感じた気持ちで評価してくださると幸いです。ブックマークもいただけると本当にうれしいです!他にも私が書いた作品があるのでそちらも何卒宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ