第三十九話『ゲーム』
青白い光が見えた場所の近くまで。中に入ろうとしたら手が震えて触れるのを拒んでしまう
こんな事は無かった。ただ、クトュルフ神話特有の嫌悪感がその先の扉から感じていて、有り得ないと思った
全く違うゲームで少なからず混じってるとはいえ……この場では俺しか持たない異質な力なのに……
スライムを見ると跳ねて扉の隙間へと入っていた
「……流石に無いだろう」
暫くするとスライムが扉の隙間から出て来て安全と確証を得られて中へと
雰囲気的には昔ながらの物置小屋……数百年前の日本の形だった。懐かしさは無いけど……
「今とは考えられないな…………いや……」
おかしい……この世界は……
「お前か……?」
いや、有り得ない……あのゲームで彼奴は……
「考えても仕方が無いか」
そのまま周囲を見ると銀色の球体状が置かれていて
「……関係……」
そのまま出ようとした時に立ち止まって再び見た。スライムがずっと眺めていて
「おい。行くぞ」
そう言うけどスライムはただ俺を見てから再び見た
明らかに変な様子で流石にスライムを手にしようとしたら……弾かれて跳ねて銀色の球体をなぎ倒していた
「勘弁してく……」
拾おうとしたら目眩がして机に手を着いてしまう。スライムを見ると飲み込んでいた
「おまっ……!?」
手を伸ばそうとした時に意識が遠のいてその場で崩れ落ちてしまう
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目を開けると最初の場所……
「なるほど……お前か。だが何故だ……」
もしそうなら……いや、深く考えるのは止めだ。取り敢えず……あの銀色の球体の正体を突き止めるのが先だな……
向かおうとしたら……
「お前がそんな性格じゃないのは知ってるが……はぁ、何で『生きてんだ』?。真白那由多」
振り返ると少女が立っていた
「死んでるよ。今はただ無理矢理生かされてるだけ。私がリチャード側と知ってる?」
肩を竦めて
「今知った。それで、今から殺るか?」
彼女は目を伏せて
「こんな事は初めてだからね。私は君が好きだった。好きで殺したいくらいに傍を置いて永遠にする為だった」
狂ってるな……まぁ、俺も言えないが……
「君に頼みたいのは……私を解放して。それだけ」
そう言うと蜃気楼のように消えていった
「……はぁ、仕方がねぇな」
そのまま歩いて向かう。取り敢えず……この状況を作りあげたのは彼奴で確定。となれば……問題はこの村を狙った理由になるか……
ただの実験なら他でもいい……聖騎士……
「大規模な何かを……」
あの球体の近くが……
「なぁ、お前は何を感じたんだ?」
スライムを見ると変化して銀色の球体に。なるほど……これで調べろと……だから飲み込んだのか
見た感じは真っ二つに分かれるタイプ……ただ、中身は無し……スライムが再現出来ない何か?
とも思うけど……真ん中に球体が有るだけで良く分からない……
これの何が……
「んだよ?」
スライムが変化すると色の変化を教えてくれる。暫くすると青白く光り収まる……
最初に見た光景……
「まさか……放射能か……」
青白く広がるが影響は無い……ただ、周囲に影響を及ぼし確定で……
何で気づかなかったんだ……
それなら俺が倒れた理由にも納得だ……となれば……
「実験都市的な……」
……
「取り敢えず……設置した奴とリチャードの国の関与を探すか……」
立ち上がって再び小屋へと。多分有るだろうし……無ければ次に進むしかないしな……あの少女が出てこないのが証拠だったしな……
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まぁ、いくら探しても無駄なのは分かってるし……仕方が無いか。次に進む……
「さて、始めるか……」
声が聞こえたのと同時に影へと。流石にタイミングが良すぎだと……いや、彼奴か……
「なぁ、本当に世界を変えれるのか?。このゲームの世界で成功したら……」
成功……?
「力を手に入れて世界を手にするて……これはその試作だとさ。興味は無いが……
これに何の意味が……?」
……
「能力による力を凝縮させたモノが詰め込まれてるらしい。戦争し、ゲームのシステムを崩壊させるのが目的らしいな
つまりはテロ……ただ、これは遊びだから付き合うだけだろ?」
遊び……?ゲームだからか……?
「だな。ぶっ飛んだ理論だしな」
そう言って設置し終えると出ていく音が聞こえた
「なるほどな。まぁ、あのリチャードだな
さて……」
これをどうにか……
「そこまでよ。過去を変えるのは駄目よ」
彼女……那由多が球体に触れて周り
「……お前はどっち何だ?」
彼女は微笑み
「君よ。さて、じゃ、答え合わせ……
デーモンコアは分かるかしら?」
俺は頷いた
「これは能力により相乗的に効果を発揮し……かならず起こす装置
村はその実験場なだけ
リチャードは私の死者を蘇らせる力を利用してこの場を作り上げたに過ぎないだけ」
……
「じゃ、終わったし……ここからは……」
そう言って手をかざしてきたのを、払って攻撃を仕掛けようとしたのと同時に吹き飛ばされて小屋を突き破り地面に
彼女を見るとゆっくりと歩いてきて
「別に攻撃する気は無い。解放して欲しいだけ……その為に、君の中で目覚めてるクトュルフに話があるだけ」
……
「どういうつもりだ?」
彼女は俺の目の前にしゃがみこむ
「こういう事」
手が顔にかざされて意識が朦朧としそのまま堕ちてしまう
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ゆっくりと起き上がる。流石に久しぶりだけど……気にもたれ掛かり
「久しぶり。グレート・オールド・ワン
約束果たしてもらうよ。私は対価を払ってもうこの世に存在しない人間になった」
私は笑って
「たかがゲームの為に?」
彼女は私を見てから空を見て
「君は私の大好きな彼のお陰で自我を持ったのだから、そんなの興味無いでしょ?
その自我と力を私に……
私は一つになりたくて……なりたくて、死んで、無駄にリチャード側に着いた上でこうしてようやく君の元へと来れたんだ
良いでしょ?
だって……私は彼を愛して……愛して、愛した上で支配して殺したいくらいに奪いたのよ?」
私は笑みを零してる
「狂ってるね……別に構わないし、それがそういうのだから文句は無いけど、その支配的欲望とヤバい思想はどうにかしないと駄目よ」
苦笑して言うと彼女は平然と
「駄目かしら?。だって……いや、どうでもいいや。どうせ終わるのだから」
私は納得して
「じゃ、上手くやるのよ」
ゆっくりと目を瞑る
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話が終わったのか俺は彼女を見ると微笑みながら
「じゃ、そろそろ始めよっか」
そう言うと床に手を添えるのと同時に周囲が崩落し崩壊した村の……元の場所へと
そして、リチャードが立っていた
「……どういうつもりだ?」
俺は目を見開いて
「何で……ここにいんだ?」
リチャードは俺を見て
「……全く、君がそうさせたのか。本当に厄介だな……恩を忘れ……お前何した!」
困惑して彼女を見ると
「別にぃ
ただ、私の枷が外れたのかしらね?
だって、死んだ以降……私はこの世界で生きて、そして、貴方によって利用されたのよ?。始めから、利用出来てると思ったら間違いよ……
既に仕込んで……君の望む結果を見せただけ。この村を見捨てたのは……
私にとって仕込みの前提だった話
ゲームだから、ただのAIと思った貴方の考えが間違いなだけ」
何の話を……
「お前……人間だった……だったら何故……存在してる!!」
彼女は微笑んで……
「覚醒し、そうなるように望んだからよ。世界が欲しいとか変えたいとかじゃなく……
世界一愛して……殺したくてたまらない彼の為にそう望んだからよ」
そうハッキリと答えていた




