第三十五話『抜け落ち』
炎が混じり飲み込もうとするのをただ見てるだけ……
手を出せば邪魔となる。そんなの分かりきってるのに……黒く染まった子供と赤いが楔により堕ちた親が
『邪魔するんじゃない!』
向かってくる悪魔の体を貫きながら、そのまま地面へと叩き落として、フェニックスの方を……
炎が収縮すると赤と黒の翼を生やし、長く体を同じ長さの黒と赤の髪をなびかせて、胸元の楔にヒビが入り、砕け散ると目を開く
彼女は私の元に来ると受け止めて、悪魔の方を見て
『終わった?』
私が聞くと私を見てから
『うん。大丈夫。それよりも……』
悪魔の方を見た。再生しきり立ち上がる。フェニックスの親の炎をまといながら向かってくるのを、羽を広げて炎で全てを包み込むと一気に下降してすれ違い
そのまま反転したのと同時に手を前へと突き出して、炎の球体をぶつけて爆発させていた
そのまま飛んで戻ろうとしたのを、フェニックスは反転して上へと上がる
そのまま、下を見ると悪魔が追ってきていて
『おかあさんの力を……』
そのまま回転しながらアクロバティックな動きをしながら攻撃を仕掛けつつ、そのまま旋回飛行していた
一気に下降すると蹴りで悪魔を地面へと叩き落として、一気に飛んでいく
『吐きそう……』
そう呟くと
『我慢して……しつこい』
動きが止まると、そのまま下へと落ちて一気に加速しながら落下していく
『ちょっ!?』
そのまま地面に落ちそうになるのを、炎が一気に周囲を焼き付くしながら叩き付けられる
が、フェニックスは普通に立っていて
『……面倒』
炎が急激に収まり、私は降ろされる。ただこの違和感……
『殺る?』
見上げると悪魔が急接近に向かってくるのを見て
『ううん。勝てない……』
それと同時に周囲が大爆発し全てを吹き飛ばしながら私達を包み込み、悪魔を巻き込んでいた
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轟音が響く。それを聞いて見ると爆風が周囲を吹き飛ばしながら炎が一気に包み回り込み破壊していた
腕で顔を防ぐが腕が焼き付いていき、触手で更にガードするが……それすらも貫通する程に熱が突き刺さる
「……大丈夫だろうけど……悪魔は死んだ……ないか」
勢いが収まり、何とか致命傷を防ぎつつ耐えたけど……分かるのはキツイことだけ……
それでも、そのまま歩こうとすると体が動かなくなり、炎の中へと崩れ落ちそうになるのを
『逃げよ』
声を聞いたのと同時に意識が完全に落ちた
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目が覚めて起き上がると俺を見たイリアスが呆れた顔をしながらも
「貴方の眷属で助かったのよ。本当に……
逆流不完全爆発を思いついて、全てを破壊する覚悟で行うとは思わなかった」
あの爆発は……そういう事か
「だから、空中の酸素が落ちたのか。で、2人は?」
イリアスが指を指すと、寝ていて
「勿論安静になるんだよな?」
イリアスは肩を竦めて
「当たり前よ……て、言いたいけど、悪魔の死体確認は出来てない上に、新たな楔よ
予想していた事だけど精霊樹……狼、火の鳥……
伝説上の生物に埋め込まれてるのが私の推測だったけど……当たりみたいよ」
……
「予想は分かるが……行けるのか?」
彼女は首を横に振って
「残念ながら国王様でも行けない場所よ。ただ、急いで欲しいのは私の本音なのよね。だから、あの二人が起き次第任せるよ」
そう言って立ち上がると眠そうに部屋から出ていく。多分……ログアウトだろうし、ずっとログインしていたのか……
「……」
俺はベットから降りて立ち上がり
「悪魔を殺しきれない……か。どうしたものか」
自分の手のひらを見た。包帯でグルグルに巻かれていて、ほぼ動かすのに痛みを感じていて
『御免なさい』
フェニックスが起きていたのか俺の手に触れてそう言う
「構わん。それよりも大丈夫なのか?」
聞くと
『うん。もう大丈夫。それよりも……行くの?』
聞いていたのか……
「まぁ、休憩とは行かないけど……流石に手に負えなくなってきてるし、この次で仕留めないと……」
俺がそう答えると
『じゃ、行こ』
そう言うとフェンリルも目を開けながら
『……もう?』
……
「はぁ。楔の件を聞かないとな」
そう言えば聞いてなかったけど……けど……
『聞いてある。有るのは……サーペント。蛇よ』
……
「なる程……」
神獣と言っても……四神とかじゃなく、フェンリルは白虎、フェニックスは朱雀
玄武は知らんが、青龍はサーペントになるのか。となると凡そ絞られてくるが……
本当に手に負えなくなるな
「さっさと行って終わらせようか」
フェニックスが頷くと炎を纏いながら火の鳥になると俺とフェンリルは背に跨り飛び立つ
流石に炎は出さなかったけど……これ、乗り物としてなら便利になるのか……
まぁ、時間が無いし仕方が無いけど……
気が付くとそのまま上空を旋回していて
「降ろして。と言うよりか、そのまま待っててくれ」
俺がフェニックスの上から飛び降りた。まぁ、地面に叩きつけられずに触手がクッション代わりになったけど……
「悪魔は……」
居なさそうだから……さっさと終わら……
「クトゥルフ化にするか?」
楔により操られたらたまったもんじゃないし……そもそもとして蛇……サーペントを見つけれてないからどうにもならないし……
厄介な事に……
『お客さん……?』
声が聞こえて振り返る。そこには透き通る肌に白銀の髪……だけど、それよりも気になった……異質な物体……
「お前……それは楔か?」
彼女の胸元には楔が既に打ち込まれ、手遅れの状態に……けど、目の前の子は目は濁り虚ろな赤い瞳だけど意識はしっかりしてるのか……
『……不思議に思ってるでしょうね
これと、これは私の命……残念だけど……手遅れ。でも、私も好きでこうした訳じゃない……』
彼女は楔の前に立ち、手を広げ
『君はこれを破壊したい
けど、私はこれを破壊されると困る
だから……私は、これと混じった上で君の仲間になる
そうすれば……君の求むアレを殺せる存在に私はなる
君をずっと見ていたから。私は君に協力をしたい。したいけど弱いから……もう命も少ない
少しでも強くなるには……』
彼女は楔を受け入れ始めていて、その楔が茨となり彼女を突き刺していく
「……はなからそういうつもりかよ!」
俺は剣を抜くのと同時に、剣を弾かれ、そのまま吹き飛ばされてしまう
見上げると冷たい目の彼女が俺を見下ろしていて、しゃがむと
『少し付き合って……』
そう言うと俺を突然抱え始めてそのまま水の中へと飛び込んでしまう
流石に困惑するが……息は出来てる……ただ何か変な感じ……彼女を見ると苦しそうにしていて、俺は彼女の肩に触れると離してくれて
周囲を見た。そして彼女を見て、楔を求めた理由を探す
環境汚染が原因なら彼女の力でどうにかなる。死にそうになる程で水の中を……
スライムを手のひらに、そして剣にして、水中深くへと潜る。そのまま確認を……
「……」
俺は彼女を見ると彼女は俺の所まで降りてきて
『二つ。一つは私でどうこう出来る
二つは……私が持たない』
そう答えられ、俺は彼女を見て、そのまま楔に剣を突き刺して一気に引き上げるように合図すると
物凄いスピードで一気に水面へと浮上し弾き飛ばされ、彼女に受け止められながら地面へと
「お前……殺す気か?。人間だぞ?」
剣を地面に突き刺して彼女の楔を斬った。楔は剥がれ落ち、彼女は座り込み
『こうでもしないと……やってくれないでしょ?』
剥がれ落ちた楔は水中に居た楔へと混じり、無数の茨の人型へと変化していた
悪魔が来てないのが気になるが……今はそんな事よりも目の前の状況……
剣を抜こうとしたら剣に手を添えられて
『もう大丈夫。それに……敵として認識したから』
そう言うとフェニックスとフェンリルが降りてきたのと同時に、空に影かさすと三人を飲み込んで周囲を巻き込むように飲み込んでいく
楔はそれを認識してか、攻撃を仕掛けようとしたが、黒いモヤから透き通る手が掴み防いでいて
『久しぶり……だなぁ』
透き通る声が響くと炎が舞い上がり楔のツタを引きちぎると焼き尽くしていた
炎を纏う手が変化していて異形の形に。もう片方は凍っていて、普通だけど、何か歪な形をしていて
『もう普通ではいられないし……本来の姿になるのは数千年ぶりかなぁ……
まぁ、こうなったら……止められないから』
そう言うと飛び出し楔を掴み地面突き抜けて水面へと叩き付けて、そのまま一気に水面を蒸発させる勢いで熱していく
「マジか……」
熱湯となり周囲を蒸発させる勢いで湿度を高めていた
『まぁ、本来の姿に君のクトュルフで酷くなっただけどね……
言うなれば……
『外神・猟犬妖蛆鳥』。君の言う方ではね
まぁ、こっちでは……名も無き神獣。それが私』
……納得かな。取り敢えず……楔がまだ生きてるのと、殺せない事が分かった上で……悪魔が向かってくるのが見えてしまった




