第十三話『不明瞭』
『イベントが忙しかった……』
『それでは本編へどうぞ』
消えたと思ったら戻ってきて……
「それでどうですか?」
私に聞いてきて
「変な所は無かったかな。それより、何しに行ってたの?」
彼は周囲を見てから
「親友の元
まぁ、あっちはあっちで確信の証拠さえ見つけてくれれば後は……
はぁ、大人しく従うしかありませんね」
今の所は……攻略名目でラスボスが各プレイヤーの補佐的にしてクエストクリアをしてる
こっちは……進展しなささそう……
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暫くすると無数の本を乱雑に放置して読んでいた彼女を見つけたのを見て呆然と見ていたら
「……あった……研究者……リスト……」
えっ……?
「ちょっと待ってくれ!
このゲームで何でそれが……?!?」
彼女は俺の方を見て
「……私が……関わって……親友が……提供したから……
幾ら……ファンメイド……でも……難しい……なら……協力……して……炙り出す……その方……が……良い……」
趣旨変わってるし……
と言うよりか……手の内晒し過ぎだろ……
「んで、目的は?」
目線は読んでいて
「……無念……
それを……晴らすだけ……
……」
そう言って指が止まり
「……最初と……最後は……分かってる……
けど……中抜き……じゃないハズ……なのに……
何も残ってない……」
は?
「意味無いじゃないか……?」
彼女は考え込みながら
「……違う……知られたくない……
提供……したのは……確実……何も……してない……」
何もしてないのに中抜き……?
有り得るのか?
ファンメイドのゲームならそのまま流用しそうな事なのに……
「……一つだけ……
ファンメイド……作者……が……関係者……」
そうだとしても……理由が考えられない……ベータテストする必要は無い……だって、分からない方がメリットが大きいから……
「だとしてもよ……
それがそうならさ、分からないのはベータ版として出した理由だが?」
彼女は目を伏せて……
「……再び……実験を……始める……としたら?……」
……
「だとしても、デメリットの方が大きい……するにしても根拠が弱すぎる」
彼女は再び考え込むと
「……目的……は……私……?」
意味は無い……そう思うが……
「……あの時の……プレイヤー……私を……理想の……神と……言ってる……
そう考……えると……」
……
「宗教団体の関係者がしてると?」
彼女は頷いた
「馬鹿馬鹿しい……もし仮にそれがそうなら……巻き込みリスクが高すぎる。余程の異端者じゃない限りはな」
ただ、それでも、筋は通る……通るけど弱すぎる……
「……もう少し……欲しい……」
だよな……分からない事が多すぎる……だからこそ、周囲を見渡し探すしか…………
「……ねぇ……あの……植物……」
指を指した方向を見ると植物の根が生えていた。それ自体は変じゃないけど……
……
「なぁ、妹が居るんだろ?」
彼女は俺を見て
「……この体……が……」
……
「なぁ、まさかとは思うけど……」
彼女が頷こうとした瞬間に黒い影が飛びついていて彼女は地面を転がるように床に倒れていて
「だろうな……」
その正体を見て納得した。妖精王が彼女を抱き締めていて
「お姉ちゃん!」
そう叫んでいた。なるほど……彼女が姉妹なのか。となると、この植物でゲームを…………
「なぁ、聞くけど……この植物は君が?」
妖精王が抱き締めながら俺を見て
「うん。張り巡らせて僅かな感覚で見つけた。それよりも……どこに居たの……!」
……
「……言え……ない……」
マジか……このゲーム内の範囲全てに巡らせたとか……ラスボスだわ……
と言うよりか……この状況じゃ、仕方が無いか……
「……私……君の……姉……じゃない……」
そう答えていた。まぁ、知らない限りはそうなるよな……
「お姉ちゃんだよ!」
そう答えていたけど……仕方が無いよなこればかりは……
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妖精王に説明したけど、納得しかねていた……まぁ、無理もないけど……
「……離れない……」
彼女の膝の上に座り蹲るから動けないでいた。と言うよりかは……多分、また消えると思ってずっと傍に居るつもりだろうな感じだしな……
「良いもん
でも、それでも……お姉ちゃんはお姉ちゃん。それより……情報屋から伝言……
裏切り者はラスボス内。情報屋が守れてたのは私と彗星お姉ちゃんだけ
他は知らないと……」
なるほど……
「……それなら……問題……ない……」
そう言って抱き締めていて
「……裏切り者……つまりは……この……中抜き……した名前……の中に……居る……」
それなら、話は……通るか……
何となく見えてきた気がするが……まだ……少ない気がする……少ない気がするだけであるとは……思う……
「それと……ラヴクラフトお姉ちゃんにこれを持たされて……」
妖精王から本を受け取る
「……多分……そういう事……居るん……でしょ……?」
妖精王の影が膨れ上がり妖精王の体に溶け込むと赤い瞳となり
「バレてたかー。まぁ、遠隔操作してるだけだから。話はこの子を通して知ってるから身構えないで
貴女が……初めまして。ラヴクラフトよ」
そう言って机に座り
「……人間……じゃない……」
彼女がそう言うと
「正解。私はAIよ。簡単に言うと、シンギュラリティにより研究していた力に意志を持ち、この体……妖精王に宿ったのが私
この子の裏の人格になるのかな。まぁ、この子の意志とは関係無しに私は別でアバターを動かしていた事になるけどね
それじゃ、改めて……」
妖精王の体は黒く染まりドレスに白と黒の髪色のロングヘアーとなり、体に植物、顔の半分は文様で黒く染められ、赤く、何も無い方は黒い瞳へと
無数の触手と植物の尻尾を生やして
「ラヴクラフト・ティターニア。深淵王……そして、妹としては……
私、精霊王。月姫……」
そう言うと妖精王……精霊王の方になり
「初めて知った……」
無自覚……落としてないのか……
手をかざすとあの時のプレイヤーであるラヴクラフトが立っていて
「既視感は……あった……けど、分からなかった。でも……」
そう言うと自分の手を見て
「お姉ちゃんがしようとしてる事に私も協力する……!」
彼女を見ると諦めていたのか
「……まぁ……どの道……手詰まり……それに……何か……知ってる……から……わざわざ……意識を……操作……した訳じゃ……ないん……でしょ……?」
そう言うと
「まぁね。……と、あー、ゴメンだけど……寝てていいから」
そう言うと暫くの沈黙の後
「ごめんごめん。少し眠っててもらった。んで、質問に対する回答だけど、中抜きに関しては正直分からない
ただ、分かるのは……情報屋が提示した裏切り者についてよ」
……は?
「裏切り者はリチャード。ただし、これがそうなのか本当なのかは分からない
分かるのは……彼は宗教団体の幹部的クラスの立ち位置で、ラスボスに仕掛けるのはしなかったのは……強すぎたのと、そうするまでの準備が足りない事
私はラヴクラフトとして見て分かったのは善意なる悪意。無自覚に等しいくらいに、人を操るのが上手い
この、クエスト自体見つけられるのは時間の問題よ」
なるほど……ただ……
「何故あの時助けて……そうか。信用させる為か?」
彼女は頷いていて
「……ただ……証拠が……」
その時にラヴクラフトは笑みを浮かべ
「じゃ、これも……このゲームのファンメイドだけど、中抜き自体は無かったよ
問題はいつどうやってかだよ。それこそ……データ丸ごとそもそも存在しなかったとしたら?」
……
「……そうか……中抜きは……あった……
でも……その……中抜き……自体……丸々……無かった……事に……した……」
彼女は指をさして
「exactly。多分……何かしら、つまりはこの力によって行った可能性がある」
……
「なぁ、どうして分かるんだ?」
俺が聞くと彼女は笑みを浮かべ
「どうもこうも……私がこの子の為に作ったゲームだからよ。まぁ、協力者が君とは思わなかったし
私も認知出来ないほどに情報偽装されてるとは思わなかったけどね」
……は?
「運営は?」
彼女は頭に指を当てて
「見せたでしょ?。私は複数のアカウントを同時にラグ無しに操る
この子の技量は無理でも……私なら可能よ。その代わりに……動けなくなるけどね」
マジか……
「あっ、安心して……本体はこの私……つまりはこの体のこの子自身よ
身代わりは置いてきてるから」
なら……大丈夫じゃねぇ!
「仮にそうなら……俺達の存在が無かったことにされるんじゃねぇか?
こうして嗅ぎ回ってるし……」
彼女は首を横に振り
「仕込んであるから大丈夫。全プレイヤーが敵になったとしても問題無い
後は……この都市伝説を終わらせるだけ」
なら……
「……残念……だけ……ど……リチャードを……と……証拠……が……無い……」
だよね……仮に違うならややこしい事になる……
「まぁ、決定的な証拠さえ有ればだけどね。それについてはこのクエストで分かると思う……私でも分かればだけど」
……?
「私は飽くまでこの子の為よ。それに……」
バックで回転すると何かを弾いていて、手にはナイフが握られていて
「向こうも本気みたいだしね」
複数人のプレイヤーが立っていた。どれもフードを深く被っていて良く見えない
その時に彼女が前に出たのと同時に周囲が黒く染まり
「この体じゃ、実力不足だし、私の役目はほぼ終えてるからね」
そう言うと月雫に触れた。それが一気に包み込むと周囲が触手が無造作に貫いていて
闇の隙間から無数の目が現れていて
「……勝手にして……」
彼女の声が聞こえるのと同時に黒いモヤが周囲を包み込み、吐き出されるように月姫が崩れ落ちてきて、慌てて受け止める
無数の目が俺を見て
「……そう言う……事……」
そう言うと歩く音と共に闇が晴れる
黒と白の髪が混じり地面まで届いていて、右が白と黒の左が瞳と青と赤の瞳が四つも開いていて重瞳となっていた……
服装も着物風のワンピースを着崩して、肩から腕にかけて無数の目が開いていた
胸元の目が開き、彼女の目は濁り深く染っていて
「……私の……ゲームに……完全に……アップデート……した……
彼女の……データが……私に……」
そう言うと少し微笑んでいた
『書きつつです……』
『それでは今回はここまで。次の話まで……またね!』