Digital2.恐怖の脱出劇
「シャ、心の影!?」
聞いた事が無い言葉を叫ぶと、壊れた壁から怪物もとい心の影たちが襲い掛かろうと、俺達に向かって走り出す。
俺は追ってくる心の影たちに向けてパイプ椅子を投げ飛ばす。
すると心の影達に当たって倒れだす。
よっし! 何とか逃げる時間を稼げたぞ。
そう思いながら、俺とイザナは急いで体育館から脱出する。
体育館から脱出してからは、ずっと走り続けている。だが俺にはまだ聞きたい事があった。
それは心の影は一体何なのか聞こうとする。しかし目の前に鳥の形をした心の影が俺らに襲い掛かる。
「避けろ!」
「ヌォォォ!?」
俺らは鳥の心の影の横に回避する。
イザナは回避したと同時に、懐から懐中電灯を取り出す。すると鳥の心の影に向けて電源を押す。
すると懐中電灯は光り出し鳥の心の影は強烈な光を至近距離で見て気絶した。
イザナは冷静に周りを見ながら注意するが、俺には何がなんやら分からなくなる。
どういう事だ? さっき体育間で見た心の影は人の姿をしていたのに、目の前にいる心の影は鳥だぞ。もしかして心の影は様々な形状があるのか?
俺が心の影について考えていると、イザナは理科室に指しながら叫ぶ。
「ココに隠れるよ」
「わ、分かった」
俺らは理科室に隠れる、俺は少し顔を上げて見るが心の影がいないことで安心する。
心の影についてイザナに聞こうとするが、俺は質問する前に硬直する。
何故ならイザナが突撃銃〈SIG MX5〉を組み立てている上にマガジンを装填していた。
俺は生まれたての小鹿のように震えながら聞く。
「な、なぁそれは一体何だ?」
「アア、これの事? これは突撃銃〈SIG MX5〉と呼ばれてて、原開発国はアメリカで――」
「そこじゃねぇよ! 何で普通に銃器を持ち歩いているんだよ! 日本じゃアウトだろ!」
イザナは〈SIG MX5〉について説明しようとしているが、俺はツッコみながら叫ぶ。
おかしいだろ。何で普通に所持している上に、慣れてるように組み立てているの? 銃刀法違反で逮捕されるわ!
イザナは〈SIG MX5〉を持ちながら頭を掻きながら、俺を落ち着かせようとする。
「落ち着きなよ、そんなに大声で叫ぶと心の影に気付かれるよ」
「そうかも知れないけど、心の影よりも目の前にある兵器が気になってしょうがないわ!」
「これの事について後で教えるから落ち着きなよ」
銃器の事と心の影について詳しく言うと聞いた俺は、ひとまず冷静になる。
イザナは俺が冷静になっている所を見ると別棟に指を指しながら言う。
「あそこの別棟には俺が所属している部……特殊野外活動部に詳しい人がいるよ」
「特殊野外活動部!?」
その言葉を聞いて俺は驚き出す。
何故なら、俺が体育館に向かっている時に聞いた言葉であった。
あの時の会話を思い出すとものすごく納得する。確かにアイツらの言う通りに銃器持っているし、慣れているように扱えているからな。
イザナは俺を見ると察したように呟く。
「もしかしてまたかよ」
「またって、まさか知っているのか?」
「そうだよ。俺達……特殊野外活動部は変人として忌み嫌われているからね」
イザナは特殊野外活動部の嫌がらせを元から知っていたらしく苦労したが、今は部室に避難するために向かう。
しばらく歩いて別棟に行くための廊下に近づけたが、別棟の前には心の影がいて中に入れなかった。
このままじゃ別棟に入れずに心の影に見つかるのも時間の問題だ。
どうすれば良いか考えているとイザナは屋上に行くために階段の方に向かう。
少し歩いて屋上に着くと、イザナは懐から懐中電灯を取り出すと、電源を点けて振り回すと、別棟の小屋から人が出てきた。
その人は灰のアップバングで、身長は一八五センチくらいありそうで、右手には案の定サブマシンガン〈H&K MP7〉を持っていた。
その人を見て、俺は額に手を当てながら呟く。
「何やってんのかよ、切嗣先生」
小屋から出てきた人はうちの担任である切嗣先生だった。
まさかうちの担任も、特殊野外活動部の担当だったなんて。最近のトレンドは銃を所持するのか!? でも落ち着け、所持するのは特殊野外活動部(あいつ等)だけだろう。
冷静になって、イザナを見るとなぜか違和感を探しているように見えた。
「どうした?」
「いや、もうそろそろと思うから、これを持って」
イザナはそう言って渡してきた物は拳銃〈CZP-10〉と木刀を渡す、しかも拳銃は事前にマガジンも装填されていた。
「もし心の影が襲って来たら、こいつで撃ちながら切嗣先生に合流して。ちなみにセーフティの解除は引き金近くにあるからよく覚えてね」
「分かった」
俺は答えながら拳銃〈CZP-10〉を見ると、確かにセーフティが引き金に近くて、親指で解除できそうだな。
「避けろ!」
「エ――」
イザナは何かに気付くような反応をして、俺を突き飛ばす。
いきなり突き飛ばしてどうしたか聞こうとするが、目の前に液状に近い黒の手が、イザナの首強く握りしめる。
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