20話 地上と上空の戦い
【ティナとミナは話し合い、生きている可能性がある母親を探す事と国に引き込まれた父親を倒すことを決意した。そして2人は『フェニックス』の基地内へと戻った。】
「ティナ大丈夫か?それにミナも。さっきのことでまだ気持ちの整理はついてないよな。」
「当たり前だ。ハヤト。普通ならもう戦う気すら失せてしまうような話だ。」
「ううん。その逆。」
「え?」
「私たちは戦い続ける。そしてお母さんを探しお父さんとの約束を果たさないといけない。」
「約束って…それってつまり…」
「うん。倒すってこと。救えるものなら救いたい。けどお父さんはもう正気ではないかもしれない。それで仲間に傷をつけるなら許さない。それに倒してくれって言ってた。」
「…。救えるなら救いたい…か。結局はそっちが本心だろ?」
「うん。でもそんなこと言ってられるほど戦争っていうのは簡単なものではない。レンのお母さん、セイジの娘さん。そして今まで戦ってきた人たち。みんな元はいい人たちでこんなことになってなかったら楽しい人生を送っていたかもしれない。引き込まれたからって国に味方して、こんな戦争を起こしたお父さんは許されない。だからもしお父さんがお父さんでなくなっていたら私は容赦なく戦う。ミナとそう決めたから。」
「わかった。私たちも協力する。今のところ本当の独裁者が誰なのかもわからない。」
「落ち着いたならもう一度ジュリに話を聞きにいこうか?」
「うん。私もジュリにもう一度謝りたい。そしてこれからのことをちゃんと決めたい。だよねミナ?」
「うん。お姉ちゃん。」
「お姉ちゃんか…。なんか違和感あるな。その呼び方。」
「確かに。今まで通りティナでいいよ。ミナ。」
「じゃあティナで。」
「そっちの方がしっくりくるなミナは。」
「ははは。まったくだ。」
私たちはすっかり前の私たちに戻っていた。
『いつまでもこんな楽しい会話ができたらいいなと思った。』
そして私たちは寝床へ向かった。
するとアカネが立っていた。
「ティナ、リーダーと話はできたか?」
アカネが話しかけてきた。
「ええ。話せたよ。」
「リーダーの過去の話は聞いたか?」
「うん。ケンタさんのことも私のお父さんの日記も読んだ。」
「…。そうか。」
「いろいろ知れてよかった。より一層『tears』のやるべきことが明確になった。そして『フェニックス』と協力して国に勝つ。」
「『tears』の勝利は『フェニックス』の勝利と以前リーダーが言っていた。最初は疑問に思ったが、リーダーの言うとおりだった。これからよろしく頼む。『tears』の指導者ティナ。」
「こちらこそ、アカネ。」
「止めて悪かったな。少しでも休んでくれ。またすぐに戦いが始まるはずだ。」
「そうさせてもらう。アカネ。ありがとう。」
去り際に手を上げた。
そして私たちは仮眠を取ることにした。
だが戦争というのは休まる時間も一時の幸せまでも一瞬で奪う。
「はぁはぁ…リーダ大変です!!」
外が騒がしく私たちは起きた。慌てて私たちは飛び起き外へ出た。まだ上空は暗かった。
「どうした?!何があった?」
ジュリとアカネの声が聞こえてきた。
「敵がどうやら早朝に攻めてくるらしいです。数まではわかっておりませんが、偵察隊が滑走路から飛び立つ準備をしているのを確認したそうです。」
「上空から攻めてくる…?」
「はい。何を思ったのか一気に畳みかける気かと。」
「もしかしたら私たちが倒してきた能力者の仲間かもしれない…。」
「関係ないとは言い切れないな。いま愛知を指揮してるのは恐らく『マサキとシグレ』。『tears』が倒してきた【エイタとユウマ】の仲間だ。」
「…。敵討ちってことか。病院付近で戦ったときに4人いたが残りの2人だな。」
「相手の力がどういったものかもわからない。だが上空から攻撃してくるのは間違いない。」
「上空となると私たちは戦えない。」
「いや上空での戦いなら『フェニックス』の出番だ。」
「リーダー恐らく地上からも攻めてくるはずです。私も出動します。」
「頼む。」
「俺たちも戦う。いいよな?」
「何を当たり前のことを言っている。我々は既に同盟を結んでいる。共に来てくれ。」
「聞くまでもなかったな。すまない。」
「ヒマリたち非戦闘組はここで待機だ。怪我人がでたら治療を頼む。」
「わかったわ。みんな気を付けて。」
「じゃあ アカネ。戦闘の準備を始めてくれ。」
「はっ!『tears』、武器庫へ案内する。ついてきてくれ。」
「それからティナとミナちょっといいか?」
「え?」
「行ってこい。俺たちは戦いの準備をしておく。」
私たちは軽く頷き、ジュリの後をついていった。
駐機場に案内された。そこには戦闘機がズラリと並んでいた。そしてその一番奥に赤い戦闘機が一機。
胴体に【不死鳥】のペイントがされていた。
「これがケンタの戦闘機『フェニックス』だ。」
「これがケンタさんの…。」
「ケンタが大切にしてきたこいつと共に政府を倒す。そして争いのない世界にする。それが私の戦う理由だ。」
私は思い切って質問した。
「ジュリは自分の国を作りたいの?」
「自分の国か。私が目指してるのはそこではない。誰もが幸せになれる世界を作りたいだけだ。政府を倒したら私はもう戦う理由はないだろう。」
「…。私たちは国を作りたい。自分たちの国を…。ジュリが考えている国に私もしたい。その為に今日まで戦ってきた。これからもこの気持ちは変わらない。」
ジュリは『フェニックス』に手を当て目を瞑った。
「この先、もっともっと辛いことが待っているだろう。そして救いたいものが2つ、目の前にあったとしてもどっちかを犠牲にしなくてはいけない時だってある。それぐらいの覚悟を持たないと戦争には勝てない。国を作るということは簡単に人の命を左右できてしまう。多くの犠牲を作ってしまうことだってある。けれどティナたちになら安心して任せてもいいと思っている。2人からは希望を感じるからだ。ケンタが言っていた意味がなんとなく分かった気がする。」
「ティナとミナが重なり合うとき希望が生まれる。今の2人を見ていると明るい未来が見えるんだ。」
「ジュリ…。」
「何かを決意した時こそ仲間を頼れ。1人で抱え込もうとするな。私も沢山の仲間に支えられているからこうして戦い続けられている。これから『tears』として戦っていくのなら尚更だ。私も『フェニックス』もついている。だから前だけを見ろ。」
ジュリはティナとミナの肩に手を置いた。
2人は、大きく頷いた。
「…。いい顔だ。」
「さて、そろそろ戦いの時だ。」
私はフェニックスを見つめ言った。
「ジュリ、この戦闘機って1人しか乗れないの?」
「いや、2人乗ることが出来る。」
「…私も乗せてもらえない?」
「ティナ? 何言ってるの?」
「…。上空は地上と違い、ティナの能力はまったく発揮できない。それに乗ったことないんだろ?訓練を一切受けていないものだと飛行しているだけでも体が持たない。あまりにも危険すぎる。」
「そうだよ。ティナ。私たちは地上で戦おう。」
「私は『フェニックス』の戦いを近くで見たい。そしてここから上空の戦いがメインとなるなら私も先陣をきって戦いたい。さっきジュリは言った。仲間を頼れと。だから地上は仲間に任せる。今のこの気持ちが私の決意だから。」
「そうか。それなら私も断る理由はない。」
「ちょっとジュリ。ティナは空で戦ったことがない。万が一のことがあったら…」
「万が一なんて起こさせない。私がついているからな。それに私も見たくなった。『tears』の為に戦うティナの決意をな。」
「そして戦争には練習などない。如何なる時でも常に実戦だ。目の前に敵が現れたときには相手は待たずして攻撃してくる。すぐに対応できないと殺られる。」
「うん。戦いとは『やるかやられるか。』だから。」
「そのとおりだ。だからミナも地上でみんなを引っ張ってやるんだ。ミナとティナは一心同体のようなもの。『tears』の指導者の一人でもあるんだ。ティナの代わりに仲間を導いてやれ。」
「…わかった。ティナ私も頑張るからティナも絶対生きて戻って来て。」
「もちろん。みんなにはミナから伝えといて。」
「うん。わかった。」
(2人はこの短期間で悲しみを乗り越え戦う意思に変えた。本当に強い子たちだ。)
ティナとミナは別れミナはみんなのいる方向へ走っていった。
段々と日が昇って来ていた。
-その時敵側でも動きがあった。
「もうすぐだな。」
「ええ。やつらもこちらの動きを知ったのか騒がしくなっているらしい。」
「ふっ。今更この戦力に何ができる。俺とお前だけで十分やつらの首は取れる。」
「上空の戦いを得意としていても俺たちの前では死に急ぐようなものだ。」
「憎き『tears』と邪魔な『フェニックス』を同時に仕留められるんだ。こんなチャンスはない。」
「そろそろ行くか。」
「我々の勝利を願って。」
-ティナたちは戦いに向け準備をしていた。
「ティナそろそろいけるか?」
「うん。大丈夫。」
ジュリは『フェニックス』の部隊に号令を出した。
止まっていた戦闘機が一斉にエンジンがかかり、飛び立っていった。
「ティナ、乗り込め。」
私は『フェニックス』の後ろに乗った。
「ティナ、私の声聞こえるか?」
「うん。聞こえる。」
「OK。それじゃあ飛び立つぞ。」
飛行機にも乗ったことがない私は心臓がバクバクしていた。
滑走路へと向かい徐々にスピードが加速していった。
そして勢いよく飛び上がった。
言葉が出ない程怖かった。
段々と基地が小さくなっていった。
-ティナと別れたミナは仲間の元へ戻った。
「ミナ、ティナはどうした?」
「ティナはジュリと戦闘機へ乗り込んだ。」
すると戦闘機が何機か飛んでいった。
「あれに乗ってるのか…。」
「だから地上戦は私がティナの代わりに『tears』を勝利に導く。」
「ああ。ミナはティナのようなもんだ。頼りにしているぞ。」
すると1人の男が声をかけてきた。
「俺も混ぜてくれ。」
「リク!」
「遅れてすまなかった。三重はもう大丈夫だ。」
「リク無事でよかった。」
「アカネもな。そういえばリーダーは上空で戦ってるのか?ティナの姿も見えないようだが。」
「リーダーとティナは一緒に『フェニックス』に乗り上空で戦っている。」
「そうか…。上空は2人に任せて俺たちは地上でやつらと戦うぞ。みんな俺についてきてくれ。」
「わかった。ヒマリ、あなたはここで怪我人がでたときのために残って。」
「うん。わかった。ミナちゃん。気を付けて。」
「私も残る。ヒマリだけだと心配だから。」
「じゃあミオもお願い。」
「じゃあ行くか。ここからの戦いは上空にも気を配りながら戦ってくれ。」
「仲間の爆撃で命を落とす奴もいる。戦闘機が上空を飛んでいたらなるべく敵に接近しないように立ち回ってくれ。」
「了解。」
「俺たちは接近戦を得意としてるからこそ要注意だな。仲間からやられるのだけは避けたい。」
「ああ。上はティナに任せて俺たちは下だ。気合入れていくぞ。」
-ティナたちは上空で戦っていた。
「ティナ横をみろ。」
私は言われる方向を見た。
5機…いや6機がこちらに向け飛んできた。
既に戦いが始まっていた。
「こちら『フェニックス』第2部隊 敵の戦闘機と交戦開始。」
「こちら『フェニックス』第4部隊 地上で敵と交戦中 援護求む。」
次々に通信が入ってきた。
「こちらジュリ。了解。なんとしても敵の進行を許すな。」
「敵の戦闘機は仲間に任せて、地上の援護だ。」
ジュリは低飛行を始めた。
「ティナ撃ってみろ。」
「え?!」
「やれるんだろ?」
「…。」
「わかった。」
私は機関銃のハンドルを握りしめた。
敵の車両が走っていた。
「いた…!」
標準を定め狙い撃つ。
「よし当たった。」
(初めてとは思えない腕前だ。)
「よしこのまま敵の進行を止めるぞティナ!」
「ええ!」
-その頃敵側の2人も戦闘機に乗り込もうとしていた。
「戦いに行かれる所失礼します。『tears』と『フェニックス』の指導者が戦闘機で戦っているとのことです。それから地上部隊も進行を妨げられています。どうしますか?」
「行動が早い奴らだ。だが、構わん。計画に変更はない。地上の戦闘はどうだっていい。こっちは空から攻めるだけ。俺の能力は空でこそ生きる。それにティナとジュリが空に出てきたのは好都合だ。」
「そうだね。私の能力がやっと本領発揮できる戦いだ。私の力からは逃げられない。エイタとユウマの仇もここで取る…!」
そして地上戦で戦う兵が何万と出動した。戦闘機も50近く出動した。
地上と上空で激しい戦闘が始まった。




