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第二話「進んでいく道と迷いと」2

 愛用しているPCの液晶ディスプレイに映し出される次なる資料。私は最近酷くなっている肩こりを気にして、身体を伸ばしながらディスプレイに映し出される文字を追い、進捗を確かめる。


「舞台演劇合同発表会前日、舞原市の繁華街で発生したフォーシスターズのメンバーの一人、エリザ(本名:上田絵里(うえだえり))を襲った犯人の正体は防犯カメラや聞き込み捜査を経ても未だ不明で容疑者の逮捕には至っておらず、エリザの意識も依然として戻っていない。

 さらに、同日に行方不明になっているリズ(本名:神白由紀子(かみしろゆきこ))の行方も未だ分かっておらず、引き続き警察による捜索が継続されている現状である」


 未だ進展なしか……これには私も気がかりでならない。


 あれから一か月は経過しようとしているだけに、両名がこの状況では心配で仕方なかった。


 資料にはより詳細な情報も追記されており、ここからはあたしぃの見解も込み込みの情報ですと書かれていて、また妄想の類ではないことを願いつつ、テキストファイルを開いてそれにも私は目を通していった。


「エリザを襲った犯人の目測ですが夜の繁華街ということでしたから通り魔という可能性が高いのは確かです、この線で考えると目撃証言の乏しい現状ですと犯人が逮捕出来るかは難しいでしょう。


 知り合いという線で考えると、フォーシスターズのメンバーの天里(あまり)とウズメには家族と一緒に居たことからアリバイがあります。アリバイがないのはクラス委員長の柊明人(ひいらぎあきひと)で、彼は外に出掛けていたと証言しています。

 本人は警察の事情聴取に家の近くを歩いていただけと証言しているようですが、虚偽の供述をしている場合、事件前後でリズやエリザと会っていた可能性や、繫華街にいた可能性も残っています。


 そして、最も考えたくないこと可能性ですが、行方不明になっているリズがエリザを襲ったという可能性です。

 リズはエリザとはフォーシスターズのメンバー内で言い争いになることも多かったようで動機もあります、恨みを抱いて犯行に至った可能性は十分にあるでしょう。

 しかし、リズが行方知れずになっている以上、この推理も現在のところ意味をなさないわけですが……。


 現状分かっていることはこの程度ですかね。


 エリザの病状ですが、ナイフなどの刃物で刺された傷口は手術の末、塞がって治っていますが意識は戻っておらず、現在も昏睡状態のまま入院中です。

 出血も致死量には至っていなかったため、現在は点滴を受けながら生命活動は維持できているようです。

 さまざまな観点から目を覚まさない可能性を探して検査していますが、そちらはまだ原因不明のままといったところです」


 添付されていた写真なども一緒に確認したが、PSI(サイ)が関与した案件とは思えないし、治療に関してもこれといって自分に出来ることはなさそうな気がした。

 それに、理由もなしにエリザの病室に入るのも難しいだろうと考えた。


「今後の展望はエリザが目を覚ますか次第かな……。

 襲った犯人に繋がる手掛かりが見つかるとすれば、エリザ自身の記憶によるところしかもう難しいだろうから……」

 

 彼らの人間関係も複雑そうで、下手に首を突っ込むのも億劫に思えて、どう関わってよいか私も分からなかった。

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