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魔法使いと繋がる世界EP3~Clover destiny & World end archive~  作者: shiori


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第十二話「Clover Point」2

「私たちもあの若さを見習ないとね……」


 唯花が隣に並ぶ達也に言うと、達也はそうだなと考えるそぶりを見せながら頷いた。外見上でも、内面的にも一番大人びた達也はどう振舞おうとしても知枝のようにはなれないと自覚させられてしまうのだった。


「お姉ちゃんも真面目なところだってあるんだけど、ただ舞い上がっちゃってるだけだと思う……」

 

 そんな風に緊張が表にまで出てしまうのは、男性と二人きりであることに限らず、相手が想い人である浩二であるからということに、気付いていないのはこの場では達也だけであった。


「いいんじゃない、お姉さんも一日一緒にいれば、さすがに慣れるでしょう」


「そうかな……お姉ちゃん、仕事とか学校じゃない、プライベートな空間だと余計に経験なさ過ぎて慣れそうにないんだけど」


 実の弟でありながら姉に対して失礼な発言をするが、先程の様子を見てしまったこの場のメンバーはフォローできる意見は出せず苦笑するしかなかった。


「こうしてても時間が勿体ないから、私たちも移動しよっか?」


「うむ、僕はどうも世間に疎いからどこに行けば楽しめるか分からないから、唯花に任せるよ」


 性格的にも受け身で優しい達也は唯花の言葉にこう答え、唯花の後を付いて歩いていった。


「あっちの方が、どっちかというと重傷っぽいかもしれないね」


「うん……千歳の言うとおりだと思う」


 唯花の後ろを付いて行くだけの達也を見ながら千歳は言い、その言葉に光も同意するのだった。


「それで本当にやるの?」


 四人がいなくなり、二人きりになったところで千歳は光を見ながら言った。

 女性ではあるが千歳の方が少し身長が高いので、彼氏の光を見下ろすような姿勢になった。


「うん、僕がお姉ちゃんと浩二君を付けて行くから、千歳は達也君と唯花さんだよ」

「了解、どっちも結構面白いことになりそうだから。情報共有はよろしく!

 光、昼食には合流して食事にしましょう」

「うん、それじゃあまたね。あっ、食べたいもの決まってる?」

「えーと、たこ焼きと抹茶パフェ!」

「それ……食事じゃないでしょ……」

「うそうそっ! おうどんでいいからっ! 適当に集まりやすい場所で集まってお店決めましょ」

「はいはい……それじゃあね」


 千歳と光はお互い手を開いてギュッと繋ぎながら目を合わせ、信じ合っているのがよく分かるようにウインクをするとすぐに手を放して、お互い二人組を追いかけるために走り出した。付き合いの長い二人にはそれで十分だった。


 二人の計画はこうだ。

 京都散策の様子が気になる二組を分かれてこっそり見守り随時報告し合うというものだ、いわゆるストーカー行為に間違いないが、一応二人には卒業アルバムの写真を撮るというミッションがある。

 それこそ盗撮になってしまうが、思い出を保存するという意味で、仲の良い同士で共有するための写真撮影である。

 今日の段階では怪しい行為だが、後々になれば貴重な一枚としてどのカットも重宝されると二人は確信している。


 本音で言えば千歳は唯花の体調を気遣い心配していて、光の方は姉の知枝がポカをして浩二を困らせないかとヒヤヒヤしてならないのだった。


 千歳はミントグリーンのショートパンツに白ブラウスと夏らしく動きやすい格好をして、胸の膨らみも長くなってきたサラサラの髪も隠すことなく女性そのものの雰囲気を醸し出しながら、唯花と達也の二人を追いかけて走っていく。

 肩に掛けているため走ると一緒に揺れる軽い肩掛けカバンには、高いだけで便利とも言えないカメラと長財布がしまってある。


(……よかった、まだ電車に乗ってないみたい)


 持ち前の運動能力を発揮し、息切らすことなく駆け足で追いかけて五分とせせず地下鉄のホームに辿り着いた。

 そこに気付く様子もなく立つ二人を見つけた千歳は走るのを止め、捕捉した二人の様子を隠れながら見つめた。


 今日は休日だったが、平日と客層が違うだけで客数は変わらず多かった。

 観光地だけありやはり観光客の姿も多く、同じ修学旅行生と分かる仲の良さそうな学生同士もいれば、日本人以外の外国人観光客も多くいる。日本人に比べて明らかに体格が良く、背も高い。

 高齢者人口は年々減りつつあるが、それでも外国人と同じくらい観光を楽しんでいる様子だった。


(唯花さん無理しないでね……後、達也君も早まらないで……)


 雑踏の中、探偵の真似をするように帽子を被り柱の裏から一人見つめる千歳。つい気を紛らわそうと空元気を見せてしまう唯花の心情が同性である千歳にはよく分かった。

 それに達也が唯花のことを長く片想いしていることも知っている。

 三年生の修学旅行というこのまたとない機会が、大きな転機になることは十分に考えられることだと千歳は一人妄想を膨らませていたのだった。


 白衣の下に薄いグリーンシャツにネクタイを着け、ベージュのノータックパンツを履いた達也に変わった様子は見られなかった。


 一方唯花は、これと言って大きな動揺や変化は見られない。

 だが、ベージュのサイドスリットのあるタイトスカートを履いて着ていて、普段履くようなロングのフレアスカートやワンピースよりも露出が高く、どこか綺麗な素足を晒し無理をしているように千歳には見えた。


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