第九話「Unibirth」5
「はぁ……もう、驚きすぎて、大切なものを喪失させられた気分だよ……」
思わず大声を上げてしまって恥ずかしい思いをしてしまった私、貴重な誕生日パーティーの席でこんな辱めを受ける流れになるとは私も想像もしていなかった。私って意外と騙されやすいのかもしれない、信頼している相手だったからというのはあるが、隠し事を見抜けない辺り深刻だ。
最初から真奈ちゃんとの合同誕生会であることを知っていたらここまで驚かされることにはならなかったのに……。
改めて誕生日をお互いに祝いあって、クラッカーも鳴らして乾杯をした後で、私は光の隣の席でこっそり今日、一体なぜこんな流れになったのか、説明を聞くことにした。
「これはね……浩二君と一緒に考えて決めたことなんだ。
最初は浩二君から連絡が来て、お姉ちゃんとのことで相談されたのが始まりなんだけど」
それを聞いて私は何となく浩二君の心情を察した。
私は今、直接会話していないのもあるけど、浩二君が近くにいるにもかかわらず、意識しないで同じ場所にいられている。学園でも目を合わせないようにしていたのに、ちょっと不思議だった。
これもサプライズに気を取られてしまった結果だろうと私には分かった。
「それで、このいきさつを説明するとね……」
そこから、今日の合同誕生日パーティーに至る光の説明が始まった。
*
「……そうだったんだ、クラスでも何となく横から見てて二人が気まずそうだなって思ってたけど、そんなことがあったんだね」
僕はお姉ちゃんと浩二君が気まずい関係になってしまっていることの理由を聞かされた。
事情は唯花さんのことで感情的になってしまった浩二君のせいによるすれ違いなのかなと感想を持った。僕としても唯花さんには早く元気になってもらいたいし、二人が気まずい関係のままなのも良くないと思った。
今の二人の状況を唯花さんがもし知ったら、余計に自分のせいだと思って自身を責める結果になるだろう、それは良くないから早く仲直りをしてもらうに越したことはない。
僕はそこまで考えて、一つの提案を思いついた。
「あのさ、真奈ちゃんの誕生日あるでしょ?」
「ああ、それがどうした?」
「お姉ちゃんと一緒に合同誕生日会を開くのはどうかな? 真奈ちゃんの誕生日の翌日が、お姉ちゃんの誕生日なんだよね、実は」
「知枝の誕生日が、真奈の翌日?」
「うん、そうなんだよ。これ使えると思わない? 誕生日の近い二人を一緒にお祝いしながら、それをきっかけに浩二君もお姉ちゃんと仲直りの機会になると思うんだ」
僕の提案は名案として浩二君も納得してくれたようで、それから舞にもお願いして”ファミリア”で合同誕生日会を盛大に開催できることになったのだった。
やっぱりせっかく二人をお祝いするなら楽しめるよう盛大にやった方がいいしね、そういう意味では舞に協力してもらって、”ファミリア”を貸し切りにするのは、最善の選択だったのだ。




