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魔法使いと繋がる世界EP3~Clover destiny & World end archive~  作者: shiori


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第九話「Unibirth」4

「ちょっと……サプライズパーティーってそういうこと?!」


 私は想像していない来訪者の登場に、驚きつつ恥ずかしさもあって腰を低くしながら上擦った声を上げた。


「いらっしゃいませ、お待ちしておりました。今日は店主の許可もいただき貸し切りとなっております。さぁ、席の用意をさせて頂いておりますので、どうぞお寛ぎください」


 ”ファミリア”の制服を着た若い女性スタッフが浩二君達をテーブル席へと案内する、私は動揺を隠しきれずその様子を反射的に隠れながら観察した。


 接客スタッフとしてアルバイトできているであろう女性スタッフ。

 よく見ると舞同様にスカートは短く、足もスラっと伸びていてちょうどいい肉付きで色白肌だ。

 少しずつ視線を上げていくとさらにスタイルの良さが分かるほどくびれがしっかりあり、身長も高く愛想のいい笑顔を浮かべている。


(なんか、浩二君、ちょっと露出度の高い女性スタッフのことジロジロ見過ぎじゃない?! あんなに嬉しそうに鼻のした伸ばしちゃって……真奈ちゃんを連れながら、それはよろしくないのではないかしらっ!!)


 私は脳内が動揺で錯綜しているあまり、機嫌よくやってきた浩二君に対する目が厳しくなっていた。


 ”ファミリア”の制服は可愛いことで有名なこともあって露出度も高い、唯花さんや舞も普段着ているから直接言いづらいけど、私だったら身長も低くてこのスタッフのようにスタイルも良くなくて似合わないだろうし、恥ずかしくて着れないだろうと思うのが本音といったものだ。


(浩二君……やっぱりああいうのが好きなのかな……真奈ちゃんも制服姿で来てるし……やっぱり制服フェチっ!?)


 やっぱりとは一体なんだと思いながら、この現実から目をそらすように、私の良からぬ妄想は次々に言葉となって頭を駆け巡るように膨らんでいた。



 そうこうしているうちに挨拶するタイミングも逃し、三人はテーブル席に座ってしまった。店員は真奈ちゃんに私のてっぺんに付いているものと同じ帽子を差し出し、そのまま接客をするようでタブレット端末を片手にしていた。


「それでは本日はコース料理となっておりますので、お飲み物をこちらからご注文下さい」


 店員が腰を屈むと開いた胸元から、きわどく胸の谷間が強調される。

 あの女の子、見た目からして舞と歳が変わらないのに巨乳だ。舞との胸囲の差に思わず私の視線は釘付けになった。


 あれは、見せびらかしてるのかな……まさか色っぽい魅力で男を誘惑する悪女なのか……気を付けて! 浩二君!! って何を私は警戒しているんだろう……。


 気付けば私は身体を震わせ、怖いくらいに身体に力が入っていた。


「マナはアフォガードが飲みたいのー!」

「人様の前でアホとか言うものじゃありません! それに飲み物じゃないしだなっ!」

「おにぃ、そのツッコミはもう三回目だよ! もう飽き飽きなのですよ~!!」

「真奈ちゃん、今日も元気いっぱいだねぇ」


 見つかってしまうと気まずいので三人が仲良さそうに会話している姿を私は隠れて眺める。

 内藤君は今日は白衣の下に黒のオシャレなシャツを着て来ていて、ちょっとホストクラブにいそうな色気を醸し出している、いや、ホストクラブなんて行ったことないですけどねっ! ドラマとかアニメで得た知識で言ってます。やや私のテンションはおかしかった。

 

 ちなみにアフォガードというのはバニラアイスにエスプレッソをかけたものであり、たまにレストランなどでも見ることがあるイタリアの伝統的なデザートです。決して食前に食べるものではありません。


「じゃあ、マナはラッシーを頼みますです!」

「ラッシーはさすがに”ファミリア”にないだろう……」

「いえ、ありますよ」

「あるんかいっ!!!」


 笑顔ではっきりと言う店員に芸人ばりのリアクションを浩二君は息ぴったりで披露した。

 真奈ちゃんはリラックスした笑顔を浮かべ、いつになくご機嫌な様子だった。私は唯花さんの姿が見えないからちょっと心配していたけど、それは杞憂だったようだ。


 ちなみにラッシーは、ヨーグルトをベースにしたドリンクで、インドでは定番の飲み物だ。甘酸っぱいさっぱりとした味わいが特徴で、マンゴーなどの果物や野菜を加えるなど、さまざまなアレンジをすることで親しまれている。

 なお、飲むヨーグルトとラッシーに明確な違いはなくて、作る工程の違いでしかないらしい。


「それで……お姉ちゃんいつまでそうしてるの?」

「知枝、それじゃあストーカー行為じゃないかしら?」


 どうすることも出来ず、三人の様子を探偵のようにソファーの影に隠れて眺めていた私に舞と光双方からのダブルアタックが炸裂した。


「そんなこと言われたって仕方ないじゃないっ! あんなに三人で楽しそうにしてるのに、私が入る隙なんて……」


「何を嫉妬しちゃってるのよ、大人しく席に座るか挨拶に行くか、見苦しいからどっちかにしなさいよ」


 優柔不断な私を容赦なく一喝する舞だった。


「そういうオドオドするお姉ちゃんの姿、舞台演劇の時にもよく見たから、僕はもう慣れちゃったかな……」

 

 光はちょっと無礼にも呆れた様子で私の挙動不審な様子を遠目に眺めていた。


「お姉ちゃんの威厳が崩れていっているのを、今、自覚しました……」

「そんなもの最初からなかった気がするけど……あたしから逃げ出して公園で雨に濡れて泣いてた時点で……」


 私に追い打ちをかけるように言葉を放ち、舞は全く容赦がなかった。

 こうして仲直りを果たした今だから言える舞の言葉でもあるから、私は悪気があって言ってると思わないけど、ちょっと傷ついたよ、舞……。


「うぅぅ……せっかくのお誕生日なのに、言いたい放題言われてお姉ちゃんは悲しいよ」


 私は泣き真似をするように振舞いながら、本気で涙声になっていた。


 そうこうしている内に、私の気持ちの整理も付かないまま舞はこちらのテーブルに三人を呼んでいた。


「光おにいちゃんにまいにゃん、今日は招待してくれてありがとーなの!

 

 それに、ちえ、お誕生日おめでとうございます!!」


 真奈ちゃんが光おにいちゃんと呼ぶのは常時変わらないが、舞の呼び方は毎回違うような気がした、前にまいまいって言ってたような気がする……。今日はまいにゃんか、これはこれで可愛い、真奈ちゃんらしいアレンジだ。

 私のことをちえと呼び捨てになったのは私が許可したからだ。真奈ちゃんが本気で魔法使いになることを改めて知ることがあり、対等な関係にすることにした。


「うー! 真奈ちゃんありがとう、私は真奈ちゃんが来てくれて嬉しいよ!」


 私は酷い仕打ちを受けた後ということもあり、真奈ちゃんの私の誕生日を素直に祝ってくれる気持ちが慰めてくれているような感覚にもなり嬉しくなった。


 ようやく私は誕生日パーティーの雰囲気に入り、飛びつくように小さな身体をした真奈ちゃんに抱きついた。すると真奈ちゃんは可愛い声を上げ、照れくさそうに笑っていた。


「うん、こちらこそ真奈ちゃんが来てくれて企画した甲斐がある、お誕生日おめでとう! 真奈ちゃん」


「今日初めて見たけど、真奈ちゃんの制服姿可愛くって似合ってるね、お誕生日おめでとう! 今日はケーキの準備もしてあるから、一日楽しんでいってね!」


 光に舞と続けて真奈ちゃんに言葉を掛ける、ってあれ……何かおかしくないかな……今日誕生日なのは私で、私の誕生日パーティーのはず……。


「えっ?! もしかして、真奈ちゃんも今日お誕生日なの?!」


 目をぱちくりさせ同じ帽子を被った真奈ちゃんをまじまじと見ながら、私は反応が遅れながら真奈ちゃん目掛けて質問をした。


「マナはね……昨日がおたんじょうびなんだよっ! それでね、今日ちえのおたんじょうびパーティーとごうどうでお祝いしてくれるって、それで来たんだよー!」


 無邪気に両手を広げながら答えてくれる真奈ちゃん。真奈ちゃんは私が今日誕生日であることをここに来る前に知っていた様子だ。


「えぇーーーーーーー!!! そうだったの?! もしかして、知らなかったのって私だけなのかな? かな? かなぁぁ??!!!」


 最後には半ギレになっている私に対し、皆が一斉に頷く、こうして私は思わぬ形でとんでもない恥辱を味わうことになるのだった。


 そうか……サプライズパーティーってこういう意味だったのね……私は心臓悪い心地を味わい、苦笑いを浮かべながら衝撃の真実にようやく気付かされた。

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