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魔法使いと繋がる世界EP3~Clover destiny & World end archive~  作者: shiori


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第八話「Lullaby of Birdland」2

 夕方に浩二君と公園で会って喧嘩別れをして、梅雨時の強い雨に降られながら水原家にとぼとぼと落ち込みながら帰った。

 疲れているはずなのに、頭がぼぉっとしたまま眠れなくて、朝方まで宝石への魔力転移をしていたおかげで起床した時にはすっかり昼前だった。


 どうやら魔力転移を終えて気絶するように眠っていたらしかった。


 メッセージには光から心配する声が寄せられており、端末を通してそれを私は確認すると大遅刻をかましたことに自己嫌悪して学園へと向かう支度を済ませた。


 相変わらずあまり食欲が湧いてこないので、エナジードリンクをちゅうちゅうと啜って飲み干すとゴミ箱にそれを放り込んで、私は手提げバッグを持って駐車場に置いている原付スクーターに跨った。


 ちゃんと食事を摂らないでいるといつもはプリミエールからの説教を受けていたが(本人は愛のある調教とか馬鹿をほざいていたけど)あの子もいないことだから、気付けば不規則でだらしない毎日を送っている。時々、光や舞の目を気にしてお姉さんらしく振舞ったりするんだけど。


 昨日の魔力転移で体内魔力総量は通常時に戻ったようで、ひとまず安心といったところだったから、今晩には身体の方から栄養を欲して食欲が湧いて来るだろうと、私は楽観的な考えを持っている。


 そんなことよりも思い出したくない問題が山積(さんせき)していたので、私は原付をぶっ飛ばして、ひとまず山積する諸問題から風に吹かれながら目をそらした。


 速度制限を守ってきたかの記憶もないまま学園まで到着し、すぐさま原付スクーターを駐車場に置いて、昼休み真っ最中の教室に私は静かに入った。

 そこには浩二君も唯花さんもいなくて、舞も光も学食に行っているようだった。

 私は机に向かって歩いてそのまま椅子に着席して、ぼんやりとしたまま昼休みが終わるのを待った。


 食欲が湧いてくることもないまま昼休みが終わるチャイムが鳴り響いた。

 教室の入り口に次々と教室に戻って来る生徒達をぼんやり見つめていると、浩二君が戻って来る姿を見た瞬間、昨日の一件を思い出して胸が締め付けられるような感覚に囚われた。


 昨日の言い争いが頭の中で呼び起こされると、今からどう話しかけてよいか私には分からなくて、そのまま私の前を通り過ぎて自分の机に向かっていく浩二君の姿を黙って見送ることしか出来なかった。


 唯花さんは……今日も休みだった。

 私に出来ることは何もないけど、早く復帰してくれれば、浩二君も真奈ちゃんの気持ちも浮かばれるのにと思ったが、それが都合がよすぎる話であることも分かっていた。


 こんな状況が続くのは心臓が悪いなと思った。

 だけど私が傷つけた、だから唯花さんは学園に来なくなった。

 そう考えることで罪悪感を覚えていれば、私は今度会った時にはちゃんと謝ることが出来ると思った。


 学園にいると退屈な時間が多く、つい考え事をしてしまう。

 大学の研究室にいるとやることが山ほどあって忙しいのにと、ついそんなことを考えてしまう。

 でも、今は浩二君のことも唯花さんのことも考えること自体が辛いので、心ここにあらずのまま午後を過ごした。


 その間にも修学旅行の班決めが行われ、羽月さんの進行の下、私は光と神楽さん、浩二君と唯花さんと内藤君の幼馴染三人と同じ班に決まった。


 女性は私と唯花さんの二人ということになっているが、神楽さんの正体を知ってる私たちとしては男女比は半々といえる。


 この班決めには神楽さんの事情が大きく関わっていて、神楽さんが本当は女性であることがバレなくて済むことが最優先された形だった。光の根回しのおかげといったところだけど、浩二君や唯花さんと同じ班になったことは私にとっては複雑な心境だった。

 唯花さんが修学旅行来るかどうか自体、今は分からないから私の思っていることは自分勝手かつ不謹慎なことだけど。


 委員長の羽月さんは本当はこっちの班に入りたかったのかもしれなかったけど別の班と一緒に行動することになったようだ。

 羽月さんも難しい年頃ということだろう、なんて私の考えは他人事ような物言いだ、頭が大して回っていないことを私は呆れながら反省した。


 何にせず、見たところ一番修学旅行のために張り切ってる光のためにも、落ち込んだところは見せないようにしようと私は思った。

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