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魔法使いと繋がる世界EP3~Clover destiny & World end archive~  作者: shiori


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第七話「断罪される救世主」1

 翌日の放課後、唯花がビルの屋上から身を投げ出して自殺しようとしたきっかけになったのは知枝が唯花に告げた言葉にあったと知った浩二は、抑えられない感情に耐えられるはずもなく、知枝を夜の公園まで呼び出し、話しを聞くことにした。


「唯花のことで大切な話しがあるんだ、すぐに公園まで来てくれないか?」


 恐ろしく沈んだ声色で、通話越しに知枝に向けて浩二は言った。


 水原家の夕食前、すっかり陽が落ちて外は暗かったが、知枝は断る理由も見つからなかったので浩二の言葉に従った。


 真奈の命を救うために身体に取り込んだ大量の魔力がまだ体内を滞留している影響で身体が重かったが、浩二に対してそれを言い訳に断るなんてことは知枝には出来なかった。


「お姉ちゃん、こんな時間にどうしたの?」


 急いで支度を済ませて、ローファーを履いて玄関から出ようとする知枝を見つけた光は声を掛けた。


「うん、ちょっと出かけてくる、夕食は先にみんなで食べていて、たぶん、すぐに帰るから」


 冷静には見えなかった浩二の言動から、知枝は嫌な予感を感じながらも、光には心配させないように平静を保ちながら言った。


「うん……あんまり遅くなるようなら連絡してね、せっかくのすき焼きなのに」


 この暑い時期になってすき焼きを作る神経に驚かされたつい先ほどの記憶が知枝の中で蘇る。

 しゃぶしゃぶ派とすき焼き派の討論が思い出されながらも、今になっては穏やかな気持ちで振り返ることは出来ず、知枝は手を振って玄関を出た。


(牛肉たっぷりのすき焼き……生卵と一緒に食べたかったなぁ……)


 空腹のまま水原家を後にし夜の静かな街並みを歩く。一体何の話だろうと疑問に思いながら知枝は、最近買った白のローファーを履き、アスファルトをいつもの半袖の黒のワンピース姿で歩いた。


(―――浩二君、二人きりでちゃんと話すのは合同演劇発表会の日のタクシーの車内以来かな。私、何浮かれてるんだろう……浩二君、真剣な様子だったのに、私、会えるのを喜んでる)


 知枝が通話越しでも分かったのは、浩二は唯花や真奈のことで話がしたいということだった。

 それでも、自然と二人きりで会えるというだけで知枝は身体が火照ってしまい、緊張もしてしまうのだった。


(―――公園に近づくにつれて高鳴る胸の鼓動、自分の心音がどうなっているのかよくわかる。期待しているような甘い展開が待ち受けている訳なんてないのに、どうしてこんな私はバカになってしまったんだろう)


 もうすぐ訪れる公園での時間が甘い味であることをつい期待してしまう。

 知枝はもう、無意識に恋に溺れていたのだった。


 途中から浩二を待たせている気がして、早足になって知枝は夜の公園に到着した。


 あの日、ブランコに座り雨に濡れていた自分を救い出してくれた場所。

 今は月が天に昇る思い出深いその公園で、知枝はてっぺんに丸時計の付いた鉄柱にもたれ掛かっているジーンズに白いTシャツを着た浩二の姿を見つけた。


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