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16, 入学式と理事長の話

 それからホームルームを終えた伊織たちは入学式のため体育館に集められた。一学年が150人ほどで各クラスの人数は30人ほどの計5クラスだ。生徒はそれぞれA〜Eまでのクラスに振り分けられており、その素質や才能、レベルや入試成績によって分かれている。


 式場は地下にあるようで案内されるがままに広々とした部屋に移動した。これが俗にいう、体育館というやつだろう。紅白幕が式場をぐるりと一周、張られており天井も高く立派なものだ。


 そんな晴れ舞台、多くの一学年の生徒全員の前でこれから話を始めようとしているのはその理事長だ。流れるような茶髪にどこかおっとりとした空気を纏うといった印象か。表向きは。


「初めまして、理事長のクレア・ナミュールです。さて、私のありがたいお話を始める前に一つだけ報告したいことがあります。実はですね——今貴方達のいるここはダンジョンの内部なんです」

「なっ……!?」


 その思わぬ発言に喫驚の声が漏れてしまった。しかし、動揺しているのは伊織以外の生徒も同じようだ。


「どういうことだ?」

「なんかの冗談だろ」

「いや、でもダンジョン内部に特殊施設があるって噂されてたし」

「え、それ本当だったの!?」


「おそらく何人かの優秀な生徒はここにきた時点で、その事実に気付いていると思います。しかし、安心してください。ダンジョンといっても安全性は保証されていますので」


 やはり伊織の早とちりではなく、理事長のクレアはこの学校がダンジョン攻略者養成校だと知ってたことになる。


「貴方達はこれら施設は主に訓練や実技演習で使われることになります」


 クレアは軽く手を前にかざすとそこから紫色の魔法陣が顕現して炎の魔法が発動する。その炎はすぐに消えたが、『スキル』が使える——それが紛れもなくここがダンジョンである証拠だ。


「世間では、残念なことに17歳以下のダンジョンへの出入りは法律で禁止されています。しかし、ここの施設は特別に15歳から入ることができるのです。今まで『スキル』の鍛錬はしてこなかった人も多いと思いますが、この学校は違います。おそらく、これからダンジョンは貴方達の才能をこれまで以上に伸ばしてくれるはずでしょう。皆さん、これより三年間、伸び伸びと学び続けてください。そして君たちが立派な『攻略者』になることを心より願っています」


 そこからはなんとも呆気なく話は進んでいき理事長の話は終わる。伊織はそんなクレアの感動的な演説を聞きながら、心の中で思った。


 ————入学する学校を間違えた、と。

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