『テレサービス』と言う名のお話。その後。
前作で書ききれなかったオチの回、だと思います。はい。
息抜きに書いた物です。暖かい目で見てくださると嬉しいです。
前の物を読んでから読むと、1.057倍位面白い……気がします。
それでは、どうぞ。
[前回のあらすじッ]
動画サイト、Veelでの『テレサービス』のイベントで優勝してしまった、郁未。
そんな郁未に、とある話が舞い込む。
▪▪▪
あの一件から翌日の放課後。
友達の知奈と帰ろうと、正面玄関で待っていた。
すると、校門からリムジンらしき車が入ってきた。
急なお出ましに、周りがざわめく。
車からサングラスを掛けた男性が降りる。
……あれ、何処かで見たことがある。
「すいません、どういう用件で……。」
事務員の人がその人に聞くと、サングラスを外した。
「Veelの創設者の、天谷宗矢と言います。此処に新近郁未さん、という方がいらっしゃると思いますが。」
思い出した。最近、ニュースとかで「イケメン社長」って特集されてたっけ。
「………あっ、あの。私がそうですけど……。」
「ああ、貴女様でしたか!」
そう言って近づくと、跪き手を取る。
「貴女様に、Veel専属動画モデルを頼みに参りました。」
「えっ………え“ぇ“ぇ“ぇ“ぇ“え“え“ッ!」
▪▪▪
流石に学校前じゃあアレ、なので近くの喫茶店へ向かった。
「あ、あの……さっき言ってた『専属動画モデル』ってのは?」
「先日、『テレサービス』のイベントがありましたでしょう。……貴女様の照れ顔に惚れましてね。それで、我が会社の専属モデルとしてオファーをと思いました。」
有り得ねえ、絶対有り得ねえ。
至って平凡の私が、私が……オ、オファー、だなんて。
は、恥ずかしい……ッ!
カァァァッと顔が赤くなる。
「ふふっ……。その赤ら顔、可愛いですな。」
「へっ!?」
「あぁ、すいません。悪く思わないで下さい。……急なお誘いで困惑でした、よね。ええと、一応名刺を渡しておきます。」
名刺を受けとる。裏に番号が書いてある。
「もし気が向いたら、そこの電話番号にかけてください。……では。」
▪▪▪
「郁未ー?」
………ん?この声、知奈?
「起きてよぉ!」
「………っ!あれ?」
…………あれ?部屋?
机のところに……漫画の読みかけ?
……あれ?
「キョトンとしないでよ、郁未。……出かける話をしてたのに、集合場所に来ないからわざわざ家に来たんだから。そしたら、寝てるから……。」
「………天谷さんは?」
「何寝ぼけてるのよ。知らないわよ、そんな人。」
「え、Veelを運用してる会社の偉い人って。」
「だから、知らないわよ。」
「………じゃあ、Veelで『テレサービス』が流行っているのは?」
「………え、知らないわよ。」
あれ?
これ、夢だったのか………。
[Veelをご利用の方に、お知らせします。……本日の午後3時より、『テレサービス』の動画再生数イベントを開催いたします。]