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無限の転生者 古の王者  作者: りしや
1/1

ナニカ

何処にでもありそうな世界。

そこは、何処までも続く"暗闇"と"無"によって支配された世界。

そう、全てが"暗闇"に包まれており、"無"と言う名が相応しい静かな場所。そして、それ以外にそこにはけして何も存在しない。

筈だった。

そんな"暗闇"と"無"の世界の中でナニカが蠢いていた。

そのナニカの姿は、"暗闇"そのモノ。其ほどにナニカの体は闇で出来ていた。

何も無い筈の世界で、そんなナニカは必死になって、ナニカを動かしていた。


……ナニカが動く度にクチャクチャと音を鳴らし出す。そして、時おり、ボキッと音を立てる。

それらの音はまるで、


骨を断ち、肉を喰らっているように聞こえた。


ナニカは一生懸命、口にナニカを含んで喰らっていく。それほどにそのナニカは夢中になるような何かを持っていた。


そのナニカとは、


ある一人の若者の記憶や思い出だった。


そんな若者の記憶や思い出を喰らう度に、それらはナニカの記憶や思い出として変わっていく。

それらは喰らっていくナニカのナニカを満たしていく。

これを、記憶や思い出の"シンクロ化"と言う。

そんなシンクロ化していく記憶や思い出はナニカの頭と思われる場所の中で声を響きかせた。


俺は死んでしまった……。


それは、悲しみだった。


……殺してやる……。


それは、恨みだった。


シンクロ化を終えた記憶や思い出は、ナニカの頭の中で終わる事なく何度も繰り返し再生された。

そして同じような言葉を聞くたびにナニカの心は、


どんどんその感情に呑まれていった。


記憶や思い出のシンクロ化。……それは、怨念等もシンクロ化してしまう欠点があった。そして、その感情に呑まれてしまったら終わり。もう戻れない。

何時もならば、耐えきれる筈だった。


だって、其ほどに訓練をしていたんだナニカという存在は……。


だけど、結局は、


ナニカはその強い復讐心に呑まれてしまった。


侵食される度に、この世界にある"暗闇"の暗さは増していく。そして、


同時にナニカは壊れていった。


それはまるで、この世界の歯車が一本、錆びたて使え物にならなくなったみたいに……。


其ほどに、ナニカが喰らっていたモノは酷い記憶や憎悪だった。


これほど酷くなってしまっては、ナニカが元に戻ることはもう、ないだろう……。だって、侵食されたナニカはもう、


手遅れだったのだから……。


だから、もう……ナニカは壊れたまま………壊れた……まま……だ。


壊れて尚、ナニカは喰らう止める事なく記憶や憎悪を求め続けた。理由はわからない、ただ喰い続けないといけない気がしたから……。

喰らう度にナニカの憎悪や憎しみ等の思いは強くなっていく。其ほどに、


残酷な記憶だった。


喰らっているナニカの頭の中に喰らっていた若者の感情が流れ込んでくる。


……どうして……?


だって、


……俺は……弱くて、


本当にそうだろうか?


……情けなくて……こんなにも、


どこが?


惨めなんだ……。


知っているよそんなことは……だからこそ、


コロスと決めたのだろ?


……そうだ………そうだそうだそうだそうだそうだよ!!


コロスコロス。


殺さなければ、仇をとらなければ、


例え、人間を辞めてでも……。


そして、記憶の欠片を全て喰らい終えたナニカは、


正常へと戻った。壊れた状態で。


もう壊れた"暗闇"の世界は、矛盾だらけとなった。


そして、ナニカは、


気が付けば、"暗闇"に支配された森の中にいた。


……本来は居なかった筈の場所。……だけど、其だけでナニカは全てを悟ってしまった。


俺は、まだ運命を弄ばれているのだと。


「……そうか……俺は……また弄ばれるのか……あは…あはははははは…………あはははははは」


ナニカは笑い続けた。お陰でナニカのネジは全て弾け飛んでしまった。

だけど、弄ばれているのは都合がよかった。だって、


復讐が出来るのだから……。


だから、


ナニカは戻れないのかもしれない。いや、


も……う……オ……シ…マ……イ。


戻れない所まで来てしまった。


モう…コ……ロ……ス………


そんなナニカを嘲笑うかのように、目の前に運命は立ち阻んだ。


フザケル……ナ……。


そして、ナニカのその強い怒りが"暗闇"を生んでしまった。

あの世界にあった同じような"暗闇"を……。


だから、


もう……………、


「……死ねよ………、


そう呟きながら、ナニカは自分を見下ろしている運命を見上げで、睨み付けた。

立ちはだかっている運命は最悪のモノだった。


ナニカの運は最悪だった。


普通ならば。


ナニカの命は尽きようしていた。運命の前に。


本来ならば。


この世界でその運命の存在はあまりにも強すぎた。そして、


今のナニカの前ではあまりにも弱すぎていた。


"暗闇"がナニカの手のひらから水の如く沸きで始めた。そして、その沸き出た"暗闇"は、どんどん沸き出ていく。そして、

森を覆い尽くすほどに、物凄く膨れ上がった。そして、


それは破裂した。


破裂した"暗闇"は森のあらゆる所に飛び散り、森を汚していく。そして、そのあたり一面にヘドロみたいに飛び散った"暗闇"は、先程の同じようにその場から沸きでてくる。まるで、


森は"暗闇"に侵食された見たいに。


そして、"暗闇"膨れ上がっていく。飛び散ったスベテの暗闇が……。

そして、その膨れ上がった"暗闇"達は、


そのまま、森を覆い尽くした。


"暗闇"が森を覆い尽くすと同時に、グシャっと音がその場で鳴り響いた。

その音はナニカが運命に潰された音かもしれない。……もしかすると、

ナニカが運命を握り潰した音かもしれなかった…….

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