Ep;2 スーツの女
眠気まなこに目ヤニがひどい。
寝ぼけているのか、目の前にはスーツ姿の女性がいる。
目をゴシゴシ擦ってもやはりいる。
「佐々宗樹さんで間違えありませんか?」
確かにそうだが、彼はこれまでの人生で人を信じられなくなっていた。
面倒ごとには関わりたくない、その思いが彼に嘘をつかせた。
「…人違いじゃないですか…」
聞いた瞬間に眉間に皺を寄らせ、ツカツカと歩み寄って顔を近付けるスーツの女。
すると突然、宗樹の襟首をグッと引っ張り寄せてニヤリとする。
「嘘つき。」
するとスーツ女は距離とってこう言い放った。
「貴方には使命があります。」
キョトンとする宗樹に構わずスーツの女は話し続ける。
「貴方のその胸のコブには人類を守るための力が宿っているのです。」
その言葉が耳に届いた瞬間、宗樹の本能がコイツには関わったちゃいけないと判断した。
直ぐさま反対方向に走り出す宗樹。
息を切らしながら抜けた路地の先には信じられない光景があった。
爆音。
聞いたこともない、とてつもなく大きな音が町中を駆け抜けた。
鼓膜が千切れんばかりの音に耳を塞ぎ、視線を向けた先には見たこともない巨大な
“何か”がいた。