帰結
まぁ、鬱……かな?
「山羊さん?」
「まぁ、頭はな」
頭が山羊な、大きな人が目の前に居ました。
ボーッとしていた意識が戻って来た時、どうやら変な所は頭が山羊さんな所だけじゃない事に気づきました。
背中には翼が生えてますし、馬さんみたいな尻尾が生えてますし、足は……アヒルさん?
「ガチョウだ」
山羊さんはどうやらエスパーみたいです。
「山羊では無い。悪魔だ。
名はバフォメット」
「バフォメットさん……ですか?」
「あぁ、まぁ呼びたいように呼んでくれれば良い」
「そうですか……では山羊さんで」
「まぁ、それでも構わぬ。
それで小娘、我に聞きたい事があるのではないか?」
「いえ?特に無いです」
女神と女王に仕える白い山羊 完
「イヤイヤイヤ!!!終わらせるでないわ!!!」
「えぇ……でも本当に聞きたい事なんて無いですよ?」
「自分が今何処に居るか?」
「死ねたって事は分かってるので興味無いです」
「我が何者か?」
「良い人そうですので、深く訪ねるのも悪いですし」
「コレから自分がどうなるのか?」
「ごめんなさい。本当に興味無いです」
此方に質問して来る山羊さんに何だか申し訳無くなって頭を下げる。
「………そうか。
では、我からお主に質問しよう」
「はい。何でしょう?」
「お主はもし、来世があるなら、何をしたい?」
「…………特に何かをしたいというのは有りませんが………」
そこで、私は言葉を切りました。
最初は何も思い付きませんでした。
だから、悪魔さんにもそう伝えようとしました。
でも、言葉を紡いでる途中にふと、
特に何の前触れも無く、生前の事が頭に過ぎりました。
私は、とても小さな島のとても小さな村で生まれました。
私が産んだ後、母は他界しました。
そして、その村には大婆様という、長老的な役目を担っているおばあさんが居ました。
大婆様は、私を村に災厄を齎す悪魔と予言しました。
この時点で、村の人達は私の事を忌み子と呼んでいました。
物心が付いた時には村の人達からの苛めは当たり前になっていました。
父は私に対して特に何もしては来ませんでした。
唯、ご飯だけを渡してくれて、それ以外には会話すらした事もありません。
私が大きくなるに連れて、苛めは激しくなっていきました。
体中に痣が出来、服も服と呼べる物では無くなってしまいました。
でも、辛いとか、苦しいとか、死にたいとか、そんな事は考えていませんでした。
そりゃ、最初は考えていました。
痛い。ごめんなさい。苦しい。辛い。
助けて……
そんな感情が溢れ出していました。
でも、拠り所の無い私が壊れるのなんて一瞬だったのでしょう。
直ぐに私は、何もかもに、特に自分に何も思わなくなりました。
そして、村人もやがて、私を苛めなくなりました。
そして、ある日ピタリと苛めは消えました。
だからと言って特に何かあるわけでもなく、
ただ何もせず、外でボーッとしていると、
父が私の肩を叩き、私を家に入れて、
自分の部屋に連れて行き、吊るした縄を見せました。
「…………すまない」
父は泣いていました。
私は、本当に今更に人生を終わらせる決断をしました。
首吊り台に乗り、台を蹴って、私は私を終わらせました。
死ぬ直前に見えたのは、窓に映る……
泣いている自分でした。
そうだ。あの時私は泣いていたんだ。
泣いて、私は確かに何かを願いました。
また、気づかない所でした。
自分が泣いている事に……
ふと、前を見ると、山羊さんは真っ直ぐ私を見据えていました。
悪魔とは思えない真っ直ぐな瞳でした。
「すみません。山羊さん。
遅くなりました」
「構わぬ。
己の望みを、欲を見つけるのは、その年では容易な事ではない。
寧ろ、予想より早くて驚いている」
「じゃあ、言いますね。
先ず、もう痛いのは嫌です。
二つ目に、出来れば遊びたいです」
「ふむ……」
私の望みを、山羊さんは顎に手を当てて聞いてくれている。
「三つ目に、やっぱり友達が欲しいです」
「なるほど……まぁ、予想通りだな」
山羊さんが私の望みの感想を言います。
「次で最後です……」
「む?そうか、分かった」
「………」
「どうした?」
「いえ、言っていいのか迷ってて……」
「我は悪魔だ。
多少変わった願いでもさして何も思わぬ」
「そう……ですよね。
分かりました。では、言いますね
もし、来世があるなら、殺したい奴や、ムカつく奴を、滞りなく殺せる力が欲しいです」
夏バテで投稿ペースが下がってしまい申し訳ありません




