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きっといつか消化できるかな

さて、そんな小学生の話は終わってしまいました。

お次は中学生のお話しです。恋に恋する浮かれたお話

中学というものはあらゆる小学校から人が集まる新しい世界が開ける。そして、多くのルールが設定されている空間。この時の恋は、今思えば恋ではなく嫉妬である。

中学に上がり私には小学校が同じという理由の素晴らしい友人が出来ます。彼女は『知的で、優しく、文才のある子』である。文才のある彼女『斎藤 絵里』絵里ちゃんは、自分の表現したい世界を表現する為に努力を惜しまず、勉学に励み、あらゆる教科はいずれ自分の小説への伸びしろに繋がるということを理解していた人格者と言ってもいいだろう。私は彼女が好きで、親友として一緒に登下校をしていた。この時の私は少し歪み始めていた。直接的な原因はわからないけれど、恐らく家庭環境にも少し影響があったと思う。

話を逸らすと、私の父親は『怒りやすい性格』であった。小さなことで怒られ、家での私は部屋にこもり勉強をする事が生命を守る手段である。と察していた。口癖の様に「勉強しなさい」という父に対し、私は逆らわず勉強に励むが、正しい勉強方法。問題の解き方。何をすることが勉強なのかわからない私の世界は狭く。学校の授業に遅れを感じ始めていた時、絵里ちゃんは、私に勉強方法を教えてくれた。そして、生まれてから読んだことがなかった。『漫画』というものを教えてくれた。

絵里ちゃんによって広がった世界。彼女広げてくれた世界。その世界は美しいと感じ、私はもっと知りたいと思い彼女に様々な漫画を教えてもらい読み漁った。自分の小遣いも漫画や小説を買うことにつぎ込み、中学という空間では漫画の話をする友人も増えていった。 けれど、父はその様子があまり好ましくなかったらしく、テストの点数が悪い時の怒鳴り方、叩き方は今でも恐怖を覚え処世術を家庭で使うような環境である。恐らくそんな家庭によって中学の仲間内の会話は私にとって甘美で尊い一時であったと言える。

では、話を戻して中学生だが、仲間内では男女混合でカラオケや、映画に行く事も多くとても楽しく、私は楽しさに集中し、盲目的にこの空間。仲間内という小さな世界を愛していたのだろう。ある日、仲間内の一人、ここでもムードメーカーと呼べる男の子『杉山 裕也』が私に相談を持ちかけてきた。彼は細い腰つきでありながら筋肉を持ち合わせた野球に熱中する男の子である。野球にはあまり詳しくないが、地域で行われる団体であろうか、小学生が集まるジュニアチーム。中学生が集まるシニアチームというものがあるらしい。そんな彼は野球部ではなくシニアチームに所属しており、甲子園に出たいから高校は野球部の強い学校に入り、いずれプロになる。そう語っていたのが印象深い。そんな杉山くんからの相談だが、「絵里さんに心惹かれている。告白したいと考えている。どうすればいいだろうか」悲しみが溢れた。絵里ちゃんが取られてしまう。嫉妬深く、執着心の塊であった当時の私は、杉山くんの告白にはとても驚き、ひどく悲しかった。故に、彼、杉山くんの絵里ちゃんへの告白への協力を願い出た。「協力するよ。」協力することで弱みを見つけ、空きを突き私に惚れてもらう。そうすれば私と絵里ちゃんの間に彼が入ってこなくなる。絵里ちゃんへの想いを杉山くんに向ければいい。歪んだ恋は私の人格を酷く醜いものへ変えていった。

杉山くんは絵里ちゃんにアピールしたいと願う。ならば場を設けていこうと行動し、支えた。絵里ちゃんは優しく、可愛らしく、頭もいい。絵里ちゃん、彼女は私の愚かな行為に気がついていたのかもしれない。私は杉山くんに勉強を教え、少しもで絵里ちゃんに釣り合う男の子になるように、テスト前などは夜中にメールをし、一緒に勉強をした時もあった。ある夜、携帯電話にメールが届いた「なんで俺にそこまでしてくれるの」杉山くんからのメールに驚き、私は嬉々としてメールを返した「貴方の事が好きだから」

結局最後に自分の大事な空間を壊したのは私自身であった。

5分、10分、時は流れ、メールが届く「ごめんなさい。あなたとは付き合えません。僕は絵里さんが好きだから」憎しみが、後悔が、なぜ壊してしまったのか。この関係を壊したくなかった。貴方を知れば知るほど好きになっていたのは私自身。中学生の私にはわからない。何がいけなかったのか。人の心はどうしたら掌握できるのか。そんな考えが憎しみを肥大させ、親友であった絵里ちゃんとの関係はある日を境にパッタリと途切れた。

あぁあの2人付き合えたんだ。いつも登校する待ち合わせ場所にいる彼の姿。ねぇ杉山くん、君の登校方向はこっちじゃないでしょ。なんで学校から離れている方向へわざわざ来て絵里ちゃんと一緒に登校する私の時間を奪うの?私は強くなく、とても弱い自分を目の当たりにして理解した。絵里ちゃんは杉山くんの告白を知らない内に受け入れて、一緒に登校するお話は親友であった私には教えてくれなかったんだな。

憎しみと嫉妬が思考を鈍らせ、2人の姿を見たとき私は嘘をついた「あ、筆箱忘れた。先に行っててくれるかな、すぐに取って学校に向かうよ。」逃げたい。あの2人の空間を壊したくない。これ以上私の心に踏み込ませたくない。笑顔でそう告げると、絵里ちゃんは困った様に「今からだと学校遅刻しちゃうよ。私のシャーペン貸すから一緒に行こう。」と告げた。嘘だと見破ったのだろう。けれど今の私にその優しさはとても痛い。なんでか息が詰まるんだ。絵里ちゃんは賢く、優しく、可愛い素敵な女の子。彼女を盲目的に愛したあまり、私は彼女から無理やり離れていった。彼女を傷つける言葉もメールにして伝えた。彼女は私を馬鹿な人で癇癪を起こしたお子様だと思っているだろうか。彼女は私を覚えているだろうか。忘れているだろうか。もう2度と会うことはないだろう。苦くて甘いこの思い出を私はまだ消費しきれていない。いつまでも愛している。この想いはきっと「依存心から生まれた歪んだ愛」

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