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異世界転移

はじめまして、武装親衛隊大将と申します。今まで読み専だったのですが、他の作者様の作品を読んで自分でも小説を書いてみようと思い、自分の欲望が詰まった小説を書いてしまいました。宜しくお願いします。

 力無き正義は無力なり、正義無き力は暴力なり

ブレーズ・パスカル著「パンセ」より

 

 それは突然の出来事であった。西暦2020年8月15日、未だオリンピックの熱狂が覚めやらぬ75回目の終戦記念日に「それ」は起こった。突然海外との通信が途絶えたのである。

 当初はオリンピック直後の為海外からの観光客が多く通信が輻輳しているのかあるいは特定アジア国家が近年の日本の態度を不服として終戦記念日にサイバー攻撃を行ったと考える者が多かった。

 日本政府はすぐにこの異常に対して調査を開始した、衛星からの信号が一部日本上空を飛行中だった衛星を除いてロストした上に非常用通信回線はおろか軍事用の秘匿回線までもが通信不能となったからだ。更に樺太や千島列島のロシアや在日アメリカ軍の無線を傍受した所、こちらもまた本国政府や司令部との通信が不能になっていることが判明したのである。


「これはただ事ではない、早急に大陸方面に海自、空自の哨戒機及び護衛艦を使って大陸、及び周辺の様子を探れ。いかなる情報も残さずに報告せよ。」


 時の総理大臣である斉藤博史総理ははこれらを受けて状況を把握する為危険を承知で偵察を行うことを決意、全自衛隊にあらゆる手段を使って情報を集めることを命令したのである。


 二日後、通信の再開はおろか政府からの正式な発表も無く、更には飛行機の海外線すら全て運休となり徐々に不安が社会全体に広がる中、総理以下閣僚全員、いや、統合幕僚長以下自衛隊幹部、情報機関責任者等、報告する側さえも信じられない結果がもたらされた。


「韓国周辺は済州島、鬱稜島以外の陸地は認められず、朝鮮半島に当たる陸地が確認できない。また中国も与那国島の先に陸地は認められないとのことです。」


「ロシア樺太州からの情報では千島列島最北端の占守島から見える筈のカムチャツカ半島、ロパトカ岬が無くなり、間宮海峡対岸の大陸が消え、陸地が確認できないとのことです。」


「アメリカ軍からもグアム、ハワイの太平洋艦隊や在韓米軍司令部との通信が完全に途絶。

あらゆる通信手段を用いて上位組織とのコンタクトを試しているようですが効果は無いようです。」


「生き残った衛星を使って衛星写真を撮って見ましたがユーラシア大陸らしき大陸は存在するものの、形と位置が大きく変化しております。また、小笠原諸島沖南方約700キロ地点に推定面積80万平方キロメートル程度の巨大な島が存在しております。」


 他にも多くの機関、組織からの報告はあったが、つまる所こういうことであった。


「日本は原因は不明だが、異世界に転移した。」


 そう、小説には多く描かれているが現実には起こり得る筈のないこと「異世界転移」が起こったのである。


「この結果には・・・間違いは無いのか?」


 斉藤首相は報告に間違いが無いのか、内心間違いがある事を期待して改めて聞き返した。しかし、それに対する回答は無情なものであった。


「間違いありません。衛星写真、大気成分の組成、自衛隊や各組織が得た情報を総括した結果信じ難いことですが日本が現在存在する場所は地球では無いと考えられます。

各天文台からもこの季節に観測できる星座が一切存在しないとの報告を受けていることことからも事実であると結論します。」


 この結果を聞いて呆けている暇は彼らには存在しない。事態が判明した以上、全国民に発表しこれからの対策をとらねばならないのだから。

 総理はこの荒唐無稽な冗談にしか聞こえない事実をマスコミに発表することを考えて重い足取りで記者会見場へと向かうのであった。 

 

 待ちに待った政府からの発表が成されたが皆半信半疑であった。

 それはそうだろう、いきなり訳の解らない通信途絶が発生したと思ったらその原因は異世界に転移したからと言われても信じられる筈が無い。

 初めは冗談と思われ、ふざけるなと罵倒が記者から総理へとが浴びせられた。

しかし、提出された資料からは紛れも無く事実であり、在日米軍などからも現状ではそれ以外に説明がつかないとされれば信じざるを得ない、だがやはりなかなか信じられないものがあった。

 特にオリンピック直後に帰り損なった外国人は祖国に二度と帰れない事実から意図的に目を背け頑なに発表を信じようとしなかった。

 しかし、そんな反応を後目に既に早急に対処しなければならない大きな問題が二つ存在していた。食料と石油である。

 日本は食料自給率が4割程度であり、国内の備蓄が尽きれば飢餓地獄が待っていることがわかっていた。

 減反政策は2018年に終了していたが、JAに食料増産を命じても即座に増産ができる訳ではない。それと同時に石油も輸入が消失した以上、早晩備蓄が尽きる事が予想された。

 幸いなことに樺太のオハ油田が共に転移し存在していた為、ここから輸入することを決定したが産出量は施設の老朽化から年々低下しており、日本の莫大な消費量を賄える訳ではなかった。

 政府は国内への節電、燃料節約を呼びかけると同時に各研究機関や企業に人造石油やバイオマス燃料の生産を命じた。

 しかし前者はオーランチオキトリウムによって高効率で石油を合成可能になったもののプラントから造る必要性があり、将来的にはともかく現状ではとても間に合うものではない、後者はただでさえ少ない食料を犠牲にする訳にもいかず生産は低調となりまさに八方塞がりであった。

 要するに、この時の日本は早急に他国を見つけ食料と石油を輸入するか資源地帯を獲得する必要があったのである。

 当然政府は付近に国家、あるいは油田等の資源が存在しないか否かを確かめる為に自衛隊に捜索を命じた、特に小笠原諸島南の巨大な島はボルネオ島に良く似ていた為、油田の存在が有力視されていたこともあり、最優先で調査隊が派遣された。

 

 転移二ヶ月半後、晩秋に差し掛かり広がる社会不安と日本に取り残され自暴自棄になった外国人らによる犯罪が多発し本国の治安が悪化しつつある中、ようやく調査隊は成果をあげることができた。

 そう、油田が発見されたのである。それもあまりの多さから一部が地下から染み出しているという、望み得る中で最良の結果であった。

 後に衛星や地質調査を含めた詳しい調査を行った結果、推定可採埋蔵量は550億バレルを超え北海油田並みの埋蔵量が確認され狂喜することとなる。

 とにかく日本は石油枯渇の危機から完全とは行かないまでも解放されたのだ。この巨大な島はざっと調査しただけでも石油を始めとする各種資源が豊富であり、絶対に手放す訳にはいかなかった。

 幸い原住民も今の所確認されていなかった為日本政府はこの島を秋津島と命名し日本直轄領として編入することを決定した。無論野党や自称平和団体からの非難があったが明確な統治者が存在せず、公的には日本が最初の到達者となる以上日本が領有を宣言するのはなんら問題が無いとされた。

 

 秋津島油田及びそれらの輸送施設を建設し、石油供給に目処が立った為日本は大陸、ひいては国家と接触する為に日本列島の西方1000キロメートルに存在した大陸に調査隊及び使節団を送り込んだのである。

 そして遂に転移後初めて現地の国家であるシノセント帝国とのコンタクトをとることに成功したのであった。

転移から資源地帯獲得、その後に現地の国家との接触。御都合主義だらけの小説で申し訳ありません。因みに次回も戦争にはなりません。最後にこの小説を読んで頂きありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 【そう、小説には多く描かれているが現実には起こり得る筈のないこと「異世界転移」が起こったのである。】 これが本当の【事実は小説より奇なり】か(笑)
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