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南洋諸島沖海戦

お待たせしました、今回はバルチック艦隊との決戦を行います。拙い文章ですが、宜しくお願いします。

 日本海軍第1、5艦隊は南洋諸島西800キロメートル周辺地点を航行するバルチック艦隊を捕捉、これを撃滅せんと航空母艦翔鶴、翠鶴から攻撃隊を発艦させた。日本海軍の目標はまず敵空母(飛竜母艦)そして戦艦、巡洋艦である。駆逐艦、水雷艇は長期航海に不向きとされて同行されていない。

 日本海軍攻撃隊の来襲を魔導探信儀で捉えたバルチック艦隊は無駄とわかりつつも飛竜の全力出撃を命じた。これまで得られた戦訓によって海面スレスレを飛行すれば探知されずらい事がわかっていた為迎撃部隊は海面近くを飛んだ。

 これは非常に有効であった。何故なら攻撃隊に探知されず、ほど近くまで接近に持ち込むことができたのだから。

 迎撃部隊の接近に気付いた日本海軍攻撃隊は一斉に空対空誘導弾を発射した。しかし接近していた為迎撃部隊46騎中22騎しか削れず、両軍はドッグファイトに持ち込んだ。

 迎撃飛竜部隊は善戦した。しかし、速度で劣り海面近くを飛行していたことによって位置エネルギーでも劣る彼等は1騎、2騎と撃墜されていった。圧倒的な機体性能差が存在する場合、技量でその差を埋めることは難しいことが改めて証明された戦いであった。

 迎撃部隊を片付けた攻撃隊は空母と護衛の巡洋艦へ狙いを定め、翼下に吊したASM-3改を一斉に発射した。ASM-3改はASM-3を元に改修し、装甲貫通力を向上させた対重装甲艦用ミサイルであり、言わば日本版グラニト、あるいはモスキートと言ったようなものである。

 護衛の巡洋艦部隊は必死に迎撃を行った。しかしこの世界の主力対空兵器、魔導誘導弾は生命反応を探知して追尾する。ASM-3は生命反応が無い上にその速度は音速の3倍以上である。追尾することは適わず、できたとしても振り切られてしまうのは目に見えている。

 また、この世界の魔法は魔導科学に近いものであり、結界等は存在しない。したとしてもミサイルの飽和攻撃に耐えられる可能性は低いが。唯一魔法らしい魔法は件の翻訳魔法程度である。

 発射されたミサイルは各艦に命中。その装甲を食い破ってその体の中で高性能爆薬の鏃を炸裂させた。命中した場所の装甲が薄く、貫通してしまった場合を除き命中した艦は一瞬で轟沈していった。

 僅か一回の後継によって巡洋艦8隻、空母2隻、前ド級戦艦3隻が撃沈。残った巡洋艦4隻、前ド級戦艦4隻、ド級戦艦3隻も大破、中破していた艦ばかりであり、無傷な艦は存在していなかった。

 バルチック艦隊も何とか日本艦隊への攻撃を行おうとするが、如何せん距離が離れ過ぎている上に艦隊唯一の航空攻撃能力を持つ飛竜母艦は既に沈められており手も足も出なかった。

 そしてバルチック艦隊の誰もが来ないことを望んでいた第2次攻撃が行われた。第2次攻撃は第1次後継隊からの情報を受けて前回よりも少数であったが手負いの艦隊にとどめを刺すには十分な力を持っていた。

 第2次攻撃隊はろくな抵抗も出来なくなった彼等に対し再度対艦誘導弾を放ち、機械的に敵の息の根を止めていった。

 第2次攻撃が終了した後に浮かんでいたのは支援艦である為あえて攻撃対象から外していた病院船や油槽船だけであった。日本側は溺者救助を行った後に降伏せよとの要求を行う。降伏した場合の処遇は国際法に従い対処するとの通達に迷っていた彼等はこの要求を受諾、ここに南洋諸島沖海戦は幕を閉じた。

 日本にとっては2回目のバルチック艦隊迎撃は前回のような華々しいものと違い、非常にあっさりと終了し、日本国民は拍子抜けしたと言った感じであった。言っては何だが、日本国民はバルチック艦隊と聞いて日本海海戦の再現のような海軍史に残る大海戦を期待していたからだった。

 但し、この世界の海軍史にこの戦いは大きく記録された。何故なら空母の集中運用という新しい戦術と、飛竜を主体とした従来型航空戦力の能力不足は戦争の形を大きく変えてしまうこととなり、この戦いは新しい戦争のその始まりの戦いとして後世に記録されたのであった。

 戦勝に対し、様々な形の反応をする日本と対照的にロマルーシ帝国は葬式もかくやと言った具合であった。多少の損害は覚悟の上であったが艦隊が文字通り全滅し、その引き換えに得た戦果は皆無となっては当たり前である。

 更に、この艦隊はロマルーシ帝国海軍の残存主力のほぼ全てを投入した艦隊であった。即ち、ロマルーシ帝国海軍はこの戦いによって事実上壊滅したのである。

 これはロマルーシ帝国皇帝アレクサンドル・イワン四世の考える有利な講和は実現不可能となった瞬間でもあった。

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