2025年シノセント帝国情勢
今回はシノセント帝国の情勢ですが、非常に短いです。そして穴がやっぱりあると思います。
新たな躍進を始めた日本とは対照的なのがシノセント帝国であった。かの国は日本に対する賠償金の支払い、戦災からの復興を行う為に増税に継ぐ増税を行っており、政府の求心力は一気に低下し始めていた。
元々帝国は様々な民族、国家を力によって押さえつけていた国家であった為、国軍の力が低下したことで各地では分離独立運動が盛んとなりつつあり、その鎮圧に更なる国力を投入するという悪循環に陥っていた。
また貿易においても苦しい状況が続いていた。日本との貿易赤字が嵩んでいたのである。当初、日本との貿易は日本側が大量の鉱山資源を輸入した為、黒字となったのだが、それは賠償金の補填という形で消えて行った。
更に、秋津島の開発が進むにつれその輸入量は先細りとなり、対して日本側の生産能力が息を吹き返すにつれて大量の日本製品が流れ込んで来たのである。
日本製品は高品質であり、特に自動車はあちこちで採用されることとなった。日本の鉄道会社等が大量使用しているのを見て有力者や組織にとって日本車はステータスの一つとなっていた。
しかし、有力者や軍が日本製品を導入すればする程赤字は酷くなっていき、着実に国庫を蝕んでいた。しかし、麻薬等ならともかく自動車等を禁輸等できる筈も無く、彼らは自らの国の国力が日に日に衰えて行くのを見ているだけであった。
唯一の救いが日本が大陸に投資していた大陸鉄道であった。日本は資本と技術を出し、帝国が土地と労働者を提供する。この合弁会社は生活に喘いでいた民衆の受け皿として機能しており、この鉄道を使われることで国内に落とされる外貨は大変貴重なものとなっていた。
しかし、この鉄道の噂を聞きつけて各地の困窮した人間がこの工事に加わろうと考え、人口の流出を招いていた以上、一概に救いとは言え無くなっていた。
このように野蛮人と蔑んだ側が蔑まれた側の後塵を拝す。この痛快な出来事は日本国内で広まり、シノセント帝国を軽んじる風潮が日本勢力圏で高まっており、この後に独立した外国人達からの扱いも嘗て日清戦争に敗れた清国と同様になっていた。
外国人国家のこうした自国を軽んじ、露骨に自国の利益を優先とした外交は非常に腹立たしいものであったが、彼らに対する攻撃は即ち日本勢力圏に対する攻撃である。日本との戦う事の恐ろしさは帝国自身が最も理解しており、その愚を再度犯すことは何としても避けるべきことであった。
それ故に、帝国は強い怒りを覚えつつも日本勢力圏に膝を屈する以外の選択肢は無く、この為国内の復興は更に遅れる事となる。その隙を埋めるかの如く日本企業が北東部に流入。実質的に日本の経済的植民地とされてしまう。
北東部は日本企業によってこの後軽工業を主体とする工業団地があちこちに建てられ、皮肉にも外貨獲得の場所となっていくのであった。
次の話辺りから戦争パートへ入ります。皆様もう少しの間お付き合い下さい。