四 國を愛して、國を憂える
三の※を修正しました。
「では具体的な話に入ろう……」
一呼吸……この一瞬の間隔が、歩みを止めてしまった者にはあまりにもどかしかった。皆、己の進むべき道を指し示して欲しいのだ。歩き続けることしか知らないのだから……
「まず解散前の政府が決定した期限延長には、クーデターを敢行することによって反対の意志を表明する。このまま政府の横暴な悪政に國や、國民には耐える力が残されていないだろう。混沌を迎える前に、今すぐに手を打たなくてはならないと我々は決意したのだ。真にこの國を愛するがゆえ、武力を用いてでも転覆を、憂えるがゆえに放伐をなさねばならない、この國を衛るために…濁流は塞き止めて清めねばならない。」
その場にいた者たちに、それが正しいことなのか判断できる者は少なかっただろう。彼等の多くがとうの昔に善悪の概念など切り捨てていたのだから。
「作戦は陸軍20万をもって議員、その親族、駐留米軍の身柄を拘束する。これらは容易な任務であろう。だが、君たちの部隊は今回の最重要任務を担ってもらう。イラク戦線に続き酷ではあるが……だが、イラクの土を踏んだ君たちだからこそこなせる任務だと思っている。作戦内容はこの後、山本一尉から話してもらう。以上が今回の主旨である」。そして最後に……。正義は我々にある。安ずることなかれ。前途に光明を見出だすために、天から授かりし鉄鎚を今こそ下そう!諸君らの健闘を祈る。」
「敬礼!」
山本の声に皆が続く。
「では一尉、後を任せます。」
敬礼が終わると、高木は静かにこの場を後にした。