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人類の終焉  作者: 桐生学
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二 戦士の帰還

あらすじを多少修正させて頂きました。また、一の方に※を追加しました。

社会民主労働党党首室にて


「本日自衛軍が中東から帰ってこられますね。」


「先日内閣も解散され、現在政治的空白状態が続いている。全て予期した通りだ。」


「先生がおっしゃった通り、やはり政府は国会での決議なし、無断で期限延長の条約履行を断行しました。」


「所詮は流れに身を任すことしかできない俗物どもだ。主体性を放棄し、今にも溺れ死にそうでなにかにしがみつくことで必死なのだ。」


「統合幕僚長(※)の方は?」


「高木なら信用できる。わが同志でもあり、思想も共有できる。そしてなにより驚くべきは行動力。計画の方も問題はなに一つ見当たらなかった。」


「自衛軍員20万というのは大胆ですね。これなら国家の機能をも容易に・・・・・・」


「そうだ。そして無血による転覆。軍を用いるといっても、民主的でなくてはいけない。国民がついてこなければ、革命とは言えない。なにより自らの主義に反してはいけない。あるべき姿を見誤らず、意志を貫き通せば天も我らを許すであろう。」


「新たな時代が始まりますね。」


「いや・・・・・・歴史を書き正すのだよ。」




日本に帰還した一条は国の変わり果てた姿に驚きを隠せなかった。


(海の向こうの戦争により、ここまで国が、世界が危機に瀕しているとは・・・・・・)


中東の動乱のためにかつてないほど石油が高騰していた。インフレに襲われ、財政破綻により、政府が機能していない国もあった。


日本も政府の市場介入や、貿易の制限、消費税引き上げなどの政策により財政はなんとか保たれているが、国民は困窮し、その不満の矛先は無論政府に向けられ、連日デモや、反戦運動が繰り広げられていた。


そして、自衛軍に所属する一条としては政府が無断に断行した期限延長に一瞬驚きを見せたものの、直ちに全てのことを理解した。


政府は戦争はすぐ終わるという口上により、世論を黙らせるだろう。そして次の内閣が組閣され、新しい首相が就任しても、うわべばかりが変わるだけである。


(そんな安易なものではない。戦局が均衡していて、すぐには終わらないだろう。それは俺たちが一番知っている。仮に終わったとしても、それ以上に再建の時間がかかる・・・・・・)


一条は内心憤ったものの、それを表情に出すことはせず、朝食をとりに軍宿の食堂へ向かった。



※統合幕僚長=防衛大臣の補佐機関、統合幕僚監部の最高議長(自衛軍最高職、最高士官)。陸空海軍を一体的に運用可能。

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