表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

私のあなた

作者: 役立 愚弐他

 あなたに、心はなかった。感情はなかった。

 ただ、表面に浮かんだ笑顔が、私の方へ向いている。

 それだけで良かった。あなたが私を見てくれていること。私があなたを見つめられること。それだけで、紛れもない幸せだった。

 私はあなたに語りかける。

「ねえ、今日は何があった? 私はね――」

 私がどんな話をしても、あなたは何も応えてくれない。けれど、笑顔のまま、ただ私の言葉を受け止めてくれる。

「そうだ、今度買い物に行こうよ。雑貨屋さん。もっといいのが欲しいんだ」

 あなたは肯定も否定もしないけれど、私にとってはそれで充分だった。その笑顔を、また明日も見たい。


 買い物に出かけた私は、雑貨屋さんで色々なものを手に取った。あなたに似合うものはどれだろう。あまり賢くはない頭で、必死に考えた。ああでもない、こうでもないと、小一時間は悩んだだろうか。

「……うん、これだ!」

 悩んだ末、選び抜いて、決めた。

 あなたに合う、額縁はこれだ、と。


 あなたは今日もいつも通り、心のないまま、私に笑顔を向ける。

 黄色いチューリップをモチーフにしたフォトスタンドが、あなたの笑顔を際立たせた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ