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落ちた先は、不思議の国ではなくて・・・・図書館?

暗い穴の中を落ちていく二人。

だが、お互いの姿が確認できるのだから一概に暗いとは言い切れない。


「なんで私たちが落ちるのよ〜。しかも穴、閉じてるしっ!!」

「え〜〜、穴閉じちゃったの? それに・・・ウサギがいないし追いかけてもいないのに、穴に落ちちゃったからねぇ〜」

「お姉ちゃん、今そんな事いってる場合じゃないよ。どうして私たちが落ちてるのかだよ」

「有栖、冷静過ぎじゃない?」

「えっ? だってお姉ちゃんがいるんだもん」


訳の分からない穴に落ちているのにも関わらず二人のやり取りは、第三者から見れば二人して冷静だなしか言えない。

端から見れば冷静だが、二人の頭の中はパニック状態だ。

話している内容も冷静なんだが、やはりどこかズレている。



しばらく落ちていると、だんだんと気持ちが落ち着いてきた。

どこまでも落ちていくが、底がいっこうに見えない。

と、いうよりも『落ちている』という表現が正しいかすら分らない。

ただ見えている互いの髪が上に向かって浮いているので、『落ちている』と言っているに過ぎない。


「・・・・・・これは、ますます有名な『不思議の国のアリス』のようだねぇ・・・」

「だったら、お姉ちゃんがウサギで私がアリス?」

「そうかも。私は羽咲(うさき)でウサギ、有栖は有栖(ありす)だからまんまアリスだね」


なんて事のないように話しているが、さすがに不安になってきた。

いつまでたっても底につかないうえに、周りの景色もなんだかおかしい事になっている。

本や本棚、机に椅子。

それらが周囲に浮いていたり、歪んだりしている。

二人は、たしか有名な映画でもこんな感じで穴を落ちてたっけと、ぼんやりと思っていた。

どうする事も出来ないまま落ちていく。

歪んだ景色がしばらく続くと、二人の顔色がだんだんと悪くなってくる。


「・・・・・うっ・・・・酔ってきたかも・・・」

「・・・私も同じく・・・・」


基本乗り物に酔ったりしない二人なのだが、ふわふわ浮いた状態でこんな景色を見せられたのだから神経が参ってきたのだ。

乗り物で例えると、時化た時の船に乗ったような感じになる。

船乗りなどじゃないとさぞかしキツイだろう。

だが、景色が変わる事なく二人は落ち続ける。


「もう・・・そろそろ・・・キツイ・・・・・・」

「うっ・・・私も・・・」


耐えきれなくなって若干涙目になる。

いよいよヤバくなりかけた時、下の方に陣が現れ光ったと思ったら、二人の体はそこから消えていた。

別の場所に陣が空に現れ、その中から羽咲と有栖が出てくる。

ドサリと二人の体は何か柔らかい物の上に落下した。

ある程度の広さがあったので、二人はその上から落ちずにすんだ。

ずっと浮いていたので、しっかりとした足場がある事にホッとする。

先程まで落ちていた場所とは異なり、きちんとした場所というのは認識できた。

伏せていた顔を上げ周囲を見回すと、薄暗い中に見えたのは大量の本棚。

重厚な本の背表紙が所狭しと並んでいるうえに隙間なくぎっちりと押し込められている。

かろうじて読む事の出来る所にあった本の題名は、彼女たちが見た事もない言語で書かれていた。


「落ちた場所は不思議の国じゃなくて・・・・・」

「図書館・・・・・・?」


大きなソファーの上で、二人は首を傾げる。


「ようこそ、狭間の大図書館に」


二人が声の方向に振り向くと、そこに立っていたのは今まで見た事がない美女が立っていた。


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