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放流
魚の目は空虚である。どこを見ているのか何を感じているかもわからない。でもそれが当たり前のこととされているし誰も疑うことはない。
2026年春。雪もすっかり溶けてきて、テレビでは春から新社会人になった若者にインタビューするスタッフで溢れている。つい先月まで大学生だったのに社会に貢献したいだの親孝行したいと明瞭に目を輝かせて話す若者たち。彼らの目には就職面接を勝ち抜いてきた確かな自信が宿っている。
遠藤亜美もまたその1人であった。高校卒業後、県外の名の知れた国立大学に進学、そのままその地で就活し内定を得た。小さい頃から運動も勉強も一通り人並みにできた方ではあったし、これと言って特段苦労することもなく自分の人生はこのまま平坦に終息していくものだと思っていた。
(続)




