オレ、ピンクブロンド。誰だよー。ピンクレンジャーなんて名前つけた奴。絶対絞めてやる。エッ、王太子妃様‼素敵な名前ですね。
ピンクブロンド男子のお話がないな~と思い書いてみました。「転生したピンクブロンド令嬢五人は、ピンクレンジャーを結成します。」の数年後のお話です。
後半を大幅に加筆しました。
転生して驚いた。ピンクブロンドなんて、小説の中だけの髪の色だと思ってた。初めて鏡をみた時、真っ先に目が行ったのはピンクブロンドの髪だった。
「誰だ、こいつ」
オレは、他人事のように鏡を眺めてた。そして、理解した。
ピンクブロンドはオレ自身だと。
* * * * *
「おぼっちゃまのように男性でピンクブロンドなんて珍しいですね。」
「そうですよね。それもきっれいなド・ピンク。」
「女性はピンクブロンドが珍しくないけど、男性の方は、今までお会いしたことがありません。」
勝手に俺のピンクブロンドの髪で遊んでいるのは、うちのメイドたちだ。
「無駄口たたかず、仕事しろー。」と、言いたい。
オレは十五歳になっていた。一応男爵家三男だ。だが、三男なんて将来は平民まっしぐらだ。学院も16歳には卒業だ。その上の学院もあるが、三男の俺には関係ない教育機関だ。そろそろ将来を考えないと。
オレはピンクブロンドの髪を持つ男だ。女のピンクブロンドは多いのに、男は知っているのはオレだけだ。
小さい時、クレープが世に出た。
「あー。簡単な料理だから思いつく奴はいるんだな。」
軽く考えて、美味しくいただいた。でも、店の名前を見て驚いた。
「レンジャー・クレープだあ。もしかして……。」
さらに、レンジャー遊びが流行った。おかげで姉たちにいいように遊ばれた。あげく、レンジャー制服なるものを着せられた。女たちには遊ばれ、男たちには嘲られた。
「誰だよー。ピンクレンジャーなんて名前つけた奴。絞めてやる。」
絶対、絞めてやると決意した。時も、ありました。
「エッ、王太子妃様!?ピンクレンジャーなんて素敵な名前ですね。」
長いものには巻かれろだ。
でも、オレは断言できる
「ピンクレンジャーは、転生者だ。」
そこで考えた。オレだって転生者だ。あっ、言ってなかった?オレは日本生まれの転生者だ。日本生まれって、わかるよね。日本で生まれ死んで、こっちに生まれ変わりました。とさ。
まあ、それなんで、ジャパン・レンジャーに就職してやろうと思ったわけだ。さて、どうやって?ジャパン・レンジャーの五人も男爵家だったはず。コネぐらいどっかに落ちてるかも、と思ったのは浅知恵だった。あちらさんたちは、資産家に成りあがっていて、うちみたいな平凡な男爵家にはコネなんてなかった。
あたって砕けろだ。ジャパン・レンジャーの本拠地に殴り込みだ。履歴書を携えて。履歴書は日本式だ。こっちには履歴書なんてない。コネにあたる推薦状があるだけだ。
やっぱり門前払いだよ。砕けた心を引きずってトボトボ歩き出した。でも、幸運って落ちてるんだな。オレはしっかり掴んだぜ。
トボトボ歩いていたオレに声を掛けてきたのが、まさかのオーナーの一人だったんだよ。馬車から顔を出して、
「あなたの髪は地毛かしら?」
「はい。そうです。」
返事と共に履歴書を差し出した。一応ミッションクリアだ。履歴書を眺めながら、オーナー殿は笑ったんだよ。
「三日後、同じ時刻にいらっしゃな。待っているわ。」
待ちに待った三日後だ。案内された部屋には、ピンクブロンドの本物のピンクレンジャーが勢ぞろいだった。
「よく来たわね。早速話を聞かせて。」
「答えたくないときは、黙秘権もOKよ。」
「この履歴書には学部が明記されてないけど、文系?理数系?どっちかしら。」
「理数系の機械科です。」
「で、どこに住んでたの?」
「実家は、千葉県です。」
「あなたのやりたいことは?」
「生活を便利にしたいです。」
「「「「「さいよ~う」」」」」
オレを門前払いした奴は首だとさ。ざま~。
社訓の最優先が
【ピンクブロンドの髪の人が来店したら、必ずオーナーに連絡すること。】
門前払いした男は、無能となり無用になった。
オーナーの皆さん、ご懐妊のようで産休を取りたいんだと。
その為に転生者を探していたらしい。出来れば、ピンクブロンドの髪の持ち主が望ましい。しかし、ピンクブロンドはいるが転生者は見つからなかった。で、あきらめていたところにオレが登場した。
今までピンクブロンドで良いことは無かった。でも、肝心の所で役に立ってくれた。
なぜ、なぜ、名前を変える必要がある?
「この子の名前は、どうする?」
「ド・ピンクだけど、男の子だし。」
「ブラックで良いっしょ。」
「そうね。レンジャーにはブラックが必要よね。」
「ちなみに、あなた、拒否権無いから。いいわね。」
「はい。」
どこの世界でも、女性には逆らうな……だ。
あれよあれよと、各オーナーに引き回された。そこで、ある疑問がわいてきた。
「オーナー五人分の仕事をオレにやれと・・・。」
口をそろえて
「「「「「「せいか~い。」」」」」
おれ、まだ学生なんだけど・・・。
福利厚生はどうなんだー。
「「「「「ないわよ~。」」」」」
ここは、そんなもんない世界だ。
「オレは、好き勝手してやるー。」
* * * * *
好き勝手したよ。
まず、名刺を作った。ゴムががあったからチマチマほったさ。名前はブラックにした。ジャパン・レンジャー商会のオレの名だ。彫り終わったゴムを木に張り付けて出来上がり。長方形に切った紙に押せば手作り名刺の完成だ。
ついでに、丸印さ。これもチマチマ彫ったよ。丸の中に一文字、黒だ。これは硬い木を使った。名刺のブラックの後ろに色を付けて押してみた。完成した名刺に満足した。
名刺をオーナー五人に配ってみたが、失敗だった。注文が入ってしまったんだ。五人全員から。
オレは、自分のだからできたんだ。チマチマ他人のなんか彫れない。そこで、手先の器用な奴に作らせてみた。大当たりだ。本人も彫刻家に目覚めたようだ。
そいつにゴム版に絵をかかせて版画もどきを作ってみた。静かなブームになった。
並行して思いついたのが印刷もどきだ。1cm四方のゴム版に字を一文字彫って、それを並べてペッタンと押していく。事業としては成り立たなかったから、特許だけは申請した。
ちなみに、申請料は会社持ち。純利益を会社とオレで折半だ。オレが会社を辞めても有効だ。文句はない。だって、会社ありきでできた製品だ。オレ個人だと必要性がないから、絶対できないし作らない。
そんな金があったら、他にまわす。
いろんな物を、オレのひらめきで作ってやったさ。キックボードとかさ。自転車があったんだ、いろいろ思いついたんだ。でも、
「生活を便利にしたいんでなかった?」
言われちまったので、ピューラーなるものを作ってやったよ。
「今まで、なぜこれを思いつかなかったのかしら?」
お褒めの言葉をいただきました。だが、言いたい、
「あなた方は、皮むきなんてしないからではないでしょうか。」
オレはしたよ。働かざる者食うべからずだ。兄姉共に二人ずつ。末っ子のオレにできることは、皮むきぐらいしかなかったんだよ。その頃から、思ってたんだ。ほしいな~。ってね。
そんなこんなで、オレはブラックとしてレンジャーの仲間入りを果たしたんだ。唯一の懸念は、商会の人たちに受け入れてもらえるかだったんだけど、
「うちの商会は、ピンクブロンドに甘いんですよ。何か、オーナーの頭が浮かんじゃって、しょうが無いな、ってね。」
オレは、ピンクブロンドの髪のおかげで人生が変わった。オーナーの五人もそう言ってる。
ピンクブロンド、万歳だ。
読んで頂いてありがとうございます。




