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豊穣祭②

読んでいただきありがとうございます。

※本日2話目の投稿です。

さすがは年に一度のお祭り。

あちらこちらに屋台がひしめき合い、大通りは祭りを楽しむ人々で溢れ返っている。

それも祭りの醍醐味とばかりに、押し合いへし合いしながらも皆がそれぞれ目当ての屋台に向かって進んでいく。


エレナが食べたいと言っていた一角牛の串焼きを始め、鎧ニワトリのトサカ揚げに紫毒蛇の蒲焼きなんてものまである。

僕たちは気になる屋台を見つけては買い込み、食べ歩きを楽しんでいた。


「ダナ君。口の周りにソースが付いちゃってる」

「ん?」

「ほら、拭いてあげるから顔をこっちに向けて」


エレナがハンカチでダナの口周りを拭いている。

そんな二人を見つめながら、僕は心の中で悪態をつく。


(クソっ……)


僕の身長を追い抜いたはずなのに、どうにもダナのほうが幼く見えるようで、エレナはダナの世話ばかり焼いていた。

今だって、エレナとダナが並んで手を繋ぎながら、護衛二人に挟まれた僕の前を歩いている。

羨ましい。


(そういえば、最後に女の子と手を繋いだのはいつだったっけ……?)


そんなふうに軽く現実逃避をしていたからか、僕の歩くスピードが遅くなり、エレナたちと僕たちの間に空間ができてしまった。

すると、その空間を埋めるように、人の波が押し寄せてくる。


(おっと……)


気づけば、エレナとダナ、僕と護衛二人に分かれてしまっていて、慌てて歩くスピードを上げた。

しかし、人混みのせいでエレナとダナの姿を見失ってしまったのだ。


(どこに行ったんだ?)


護衛たちとともに大通りを前へ進みながら二人を探す。

すると、路地からひょこっとダナが姿を現した。


「あいせる!」

「ダナ!」


慌ててダナに駆け寄ると、なぜかエレナの姿が見えない。


「エレナ様はどこだ?」

「ともだちといっしょ」

「は? ともだち?」

「うん。えれなが『じょしゅあでんか』ってよんでた」

「ジョシュア……?」


どこかで聞いた名前。

一瞬の思案の後に、それがエレナの元婚約者でありメルソーナ王国第二王子の名前であることを思い出す。


(まさか、エレナ様を連れ戻しに……?)


王子自身が来るのかという疑問もあるが、エレナの事情を何も知らないダナが第二王子の名前を口にするはずもない。


「えれなはそのままどっかにいった」

「どうして追いかけなかったんだ!?」

「ん? だってダナはあいせるのごえい。きょうははなれちゃだめ」

「あ………」


ダナの考えを理解し、その場で頭を抱えたくなってしまう。


(そうだ……そうだった……)


レナード対策のため、僕をしっかり守るようダナに言い聞かせていたのだ。

まさか、ここまで融通が利かないとは思いもしなかったが……。


「ダナ。今からはエレナ様を探すことを優先してくれ」

「ゆうせん?」

「エレナ様を探すのが一番。僕を守るのが二番だ」


ダナの顔の前に指を一本、二本と順に出しながら説明をする


「エレナ様が見つかったら、また僕の護衛に戻ってくれればいい」

「わかった」


コクコクと頷くダナ。


「さて、手分けして探すか……」


すると、ダナがピシッと片手を挙げる。


「ダナ。えれなのにおいわかる」

「匂い?」

「うん。においでどこかわかる」

「まさか匂いでエレナ様の居場所がわかるのか?」


どうやら狼獣人は人間よりも嗅覚が優れているらしい。


「においこっち!」


言うやいなや、ダナが路地の中へ駆け込んでいく。


「二人ともダナを追いかけてくれ!」


慌てて僕も護衛たちに指示を出す。

そして、駆け出した護衛たちに続こうと、僕が一歩を踏み出した瞬間、後ろから伸びてきた腕に拘束されてしまう。


(なっ……!?)


あまりに突然の出来事に身体が何も反応できないでいると、耳元で低くくぐもった声がする。


「クソガキみーっけ!」

次回は明日の朝8時頃に投稿予定です。

よろしくお願いいたします。

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