エピローグ
千桜はぼーっと警察署から窓の外を見ていた。
(なんか⋯まだ生き返って人間界に帰ってきたっう実感がないんだよなぁ)
そんなことを考えている千桜を秋を感じさせる少し冷たい突風が襲った。驚き目を細めた時、白いふわふわした物が目の前で、困ったように目をキョロキョロし、クルクルと風に弄ばれながら吹き飛ばされていった。
「?!」
驚いた千桜は窓から身を乗り出し白い物体が飛ばされていた方向を見るが、すでにその姿はなかった。
(今の⋯⋯。ってかアイツすっげー飛ばされてたが大丈夫なのか?)
千桜はじっと白いふわふわが消えた方向を見た。
「ちょっ!先輩!何やってんですか!?」
その時、背後から慌てた声と共にグイッと首根っこを捕まれ窓の中に引っ張りこまれた。
「うおっ!なんだよ高瀬」
「何やってんですか!もー危篤状態から戻ってからなんか変ですよ!起きた時も異人がどーのとか話してたって聞きましたよ?おかしくなったからって早まらないでください!」
そう言いながら後輩の高瀬は心配そうに千桜を見た。
「おかしくなったってお前なぁ⋯。てか、それ誰から聞いたんだ?」
「え?妹さんですよ?」
(千陽のやつ⋯)
千桜は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべたあとにため息をつくと高瀬に視線をむけた。
「別に飛び降りたりしねぇよ。ただ⋯いじ⋯いや、なんか白いもんが飛んできたから何かなぁって見ただけだよ」
「もーびっくりさせないでくださいよ!ほら、会議いきますよ」
そう言う高瀬に千桜は「えへへ」と笑って見せた。
「すまん!机に資料を忘れてきちまったから先に行っててくれ」
「わかりましたが⋯本当に飛び降りないでくださいよ?」
「だーかーらしねぇーよ!」
くわぁと叫ぶ千桜を高瀬は、じどーっとした目つきで見る。
「なら一緒にいき⋯」
「だぁぁぁ!大丈夫だから先行ってろ!」
疑うような視線を向ける高瀬に千桜は叫ぶと部屋の出口を指さした。高瀬は渋々、会議室に向かうが、彼の信用がないのか出口に向かう間に何回も千桜の方を振り返ってきた。その度に千桜は苦笑いしなから、早く行けとシッシッと手を振り自分のデスクに行った。
机の上の書類を手にし会議室に向かおうとするが、クルリと向き直り、デスクの引き出しをあけ中から白に金色の糸で神社の名前が刺繍されたお守りを取り出した。そして、お守りをスーツの胸ポケットにしまうと、ポンポンと軽く叩くとデスクの引き出しを閉め足早に会議室に向かった。
~完~




