プロローグ
新作です。長編を書いてみようと思います。官能小説らしい官能しょうせを書いてみようと思います。よろしければお読み頂けましたら幸いです。感想などもお待ち申し上げております。どうぞ宜しく!
抗う術は持たなかった。
自分の意志に抗う術を。
生きるってこんなもの━━。
生きるのをやめようと思うってこんなもの。
その瞬間までに初めて知ることはたくさんある。
もうやめよう。考えることは。
すべてが夢であったらいいとも思う。でも、震える脚の確かな感覚が、これは夢ではないと告げる。
意外に涙は溢れなかった。涙なんてものはもう、渇れ果てたのかもしれなかった。
思い出すのは奴等の顔だけだった。奴らの顔はみな、笑っていた。わたしを嘲笑っていた。
鉄柵は、きんと冷えて感じられた。でも、もう間もなく冷たいも温かいも、関係なくなる。
鉄柵を越えた。
ここは校舎の四階の上、屋上だった。
風が髪を揺らした。
意外に怖くはなかった。生きる方が怖かった。
間違えて脚を滑らせたら気がついたら・・・、というパターンが一番いいと思った。
膝はへこん、と曲がっていた。
やはり恐怖があるのかもしれなかった。
お読みになっていただきまして誠にありがとうございます。続き 書き進めていこうと思います。よろしければお付き合いくださいませ。