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【完結】悪役令嬢は王太子のバチェラー(婚活バトルロワイヤル)に招待されました!~私を愛することはないっていいながら、特別待遇なのはどうして?~  作者: 淡麗 マナ
3章 バチェラー2日目

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14話 マシューの屋敷 / 王太子の執務室

 もう僕のことは忘れてしまったよね。1話でアニマに婚約破棄をしたマシューさ。改めてよろしくね。



 僕の屋敷の寝室でケイティにキスをした。

「今日はドレスや宝石を売りに商人が来るわ」

「わかった」



 アニマに言った婚約破棄の理由は嘘だった。両親は別に反対などしていない。本当は妹のニーナと付き合いたかったが、アニマの両親が許してくれなかった。もっと高位貴族でお金持ちと結婚させたかったのだろう。



 しかし、もう関係ない。僕は本命の令嬢ケイティと付き合うことができたから! 

 

 アニマのやつ、捨てた時は相当悲しい顔をしていたな! そりゃそうだ。この僕に振られるんだから。並大抵の悲しみじゃないだろう! かわいそうに。




 ケイティを伴って執務室に座ると、執事が紅茶を用意した。

 ケイティは爪の手入れの為に我が家の侍女を4人使っていた。


 執事が僕の前に立って、お辞儀をした。

「マシュー様。アニマ様ですが、次はいつ当家にいらっしゃいますか」

「おいっ! ケイティの前だぞ!」

 ケイティは顔を上げ、興味なさそうに爪に目を落とした。

「かまわないわ。昔の女でしょう」


「アニマがどうしたんだ?」

 僕は小声で言った。

「アニマ様に至急お伝えしたいことがあります。このままではその、当家の財産の問題が……」

「我が家に金はたくさんあるだろう。なにを心配している」

 執事は喉になにか詰まったような顔をして、ケイティと僕を交互に見た。


「なにか喉に詰まったのか?」

「いえ。私は言いづらいことがあると、こういう顔になるのです」

「苦労をかけるな」

「けっして、そのようなことは」

「アニマはもう来ないぞ」

「なんですと!」

 執事は喉になにか詰まったような顔をした。



「なにか喉に詰まったのか?」

 執事はなにも言わず、喉になにか詰まったような顔をしていた。


 メイドが商人の来訪を告げる。


 ケイティが立ち上がる。

「さあ、マシューにたくさん買ってもらわないと」

「ああ……でも、この前もしこたま買ったが……」

「えっ?」

 ケイティはマシューに顔を向けた。

「な……なんでもない」

「そうね。さぁ、マシュー。行きましょう」

 そうやって微笑むケイティに僕の頬は緩みっぱなしだった。




◇◇◇◇◇◇







 バチェラーの1日目が終わった夜。セシル殿下は執務室に腰掛け、息を吐いた。机には蝶の入った籠が置いてある。

 

 ロイドは棚に隠していた絵や彫刻などを出す。


 それはバチェラーに参加した令嬢の絵や彫刻だった。


「お役に立てたようで良かったです。アニマ様にも気づかれなかったのでは」

 ロイドの言葉にセシルはうなずく。

「大変役に立ちました。自然に対応できたと思います。さすが師匠です」



「話は変わりますが、マシューはアニマ様と婚約破棄をする前から、他の令嬢を屋敷に入れていたようです」

「ははっ」

 セシルは唇の端を持ち上げた。


「引きつづき、アニマ嬢とマシューの屋敷を見張っておいてください」

「承知しました」



 扉をノックもなしに、入ってくる者がいた。


「セシル! いますか?」


 ロイドは老いを感じさせない足裁きを見せ、絵や彫刻を見えないようにした。


 突然入ってきた王妃はセシルの机をばんばん叩いた。

「まったく。勝手にバチェラーをやるなんて決めて! こちらが決めた結婚相手にすればよかったのに。まぁ、バチェラーは許しますが、相手は自由には選ばせません。これ以上勝手なことをしたら、バチェラーもすぐに止めます」

 


「すみません。どうしても一度、バチェラーというものをやってみたくて。もちろん王家の意向(父と母の総意)に逆らうつもりはありません。安心してください」


「それならいいのです。あなたがバチェラーを選ぶなんて意外だったから驚いてしまったの。クライドは健康に難があるし、優秀なあなたを王にしたいの。ほんとうは20歳で継ぐ約束だったけど、あなたがどうしても伸ばしたいっていうから、その願いを渋々、聞き入れたのよ。それだけは分かって」


「わかっております」


「わかっているならいいの。これから、国賓のリストを作って、セシルの結婚の招待客を決めて、ああ、一週間後の舞踏会の後の伯爵のチェスのお相手をまだ決めていなかったわ……」

 ぶつぶつと言いながら、王妃は執務室から出て行った。



 ロイドが言った。

「お忙しそうですね」

「ええ。ろくに構ってもらったことはないですよ。家庭教師(ナニー)の方がよっぽど多くを知っています」




 扉がノックされる。

「どうぞ」

 ロイドが言った。



 クライドが恐る恐る入ってきた。


「こんばんは。兄さま。お疲れのところごめんなさい。蝶を取りに来たんだ」

「かまわないよ。どうだ。お願いされていた蝶かな」


 クライドは母譲りのブロンドの長い髪を耳にかけて、虫かごを覗き込んだ。

「この蝶だよ! ありがとう」

 


 虫かごを抱きしめてクライドは微笑んだ。 

「この子はカキパリ蝶っていうんだ。2頭の群れで生活して、1頭の蝶だけが蜜を集めるの。もし、働いている蝶がケガをしたり、いなくなると休んでいるもう1頭が2頭分の蜜を集めるの。面白い蝶だよね……って面白くないよね。これは僕と兄さまの関係そのものだもの」



「気にしなくていい」

 セシルは首を振った。



「今日がバチュラーの初日だったのでしょう。大丈夫? 何か手伝えることがあったら言ってね」

「ありがとう――」


 そう言おうとしたらクライドは咳き込んだ。

 セシルはクライドの背中をさすった。


「ごめんね……いつも」

「謝る必要はない。ほんとうに」


「兄さまには迷惑かけっぱなしだね。でも兄さまが結婚して王になる。それは素晴らしいことだよ。国にとっても僕にとってもね」

「そうだな」

 セシルはぎこちなくうなずく。


「邪魔しちゃったね。それじゃあ、おやすみなさい」

「おやすみ」

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