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おてんば娘







「メリー、痛いのか?どこじゃ?」

「…………」



 メリーは何も答えないが、老体の顔を穴が空きそうな程睨みつける上に何より怒気が強い。さすがに焦る老体はメリーの身体に異常がないか必死に探す。



「メリー、どうしたんじゃ?言わんと分からんじゃろう?ん?」

「………………」

「メリー……?」

「……………………………………………………もう……………………い……嫌……なの……」



 凄く……凄く小さな声で話すメリーに老体は更に困った顔をする。



「……??……メリー?……何と言ったんじゃ?メリー?」



 不意に……ドンッ!と、老体の硬い胸筋に衝撃が走る。それはメリーの震える拳だった。





「【ーー逃げてよっっ!アタシなんか守ってないで!逃げてよっ!!死んじゃうところだったのよっ!!アンタが死んじゃったら!!また……アタシ……アタシ…………ぅぅ……ぅううああぁぁぁぁんぅぅ…………ぅぅうう……嫌よ、……もう嫌なのよ…………もう【あんな思い】……したくないよ………………ぅぅぅう……】」



「メリー……」



 老体の胸で泣き崩れるメリーの胸中を痛いほど感じた老体はメリーの両肩をガシッと力強く掴んだ。そして、強引にメリーの泣き顔としっかり顔を突き合わせた。



「【嫌じゃっ!!ワシはまた同じような状況になれば何度だって今と同じことをするっ!!メリーがワシを……【大切な人】だと言ってくれたようにワシにとってもメリーは【大切で大事な〈やかましい〉おてんば娘】じゃっ!!短い付き合いかも知れんが死に物狂いで守るし、それと同じくらいその成長を見守りたいと思っておる!だからーー……」

「ーーぅぅ……うるさい!うるさい!顔怖いんだからそんな近づけないでよっ!力強いんだから肩掴まないで!ビクともしないじゃないっ!怖いの!……こ……〈怖いのよ〉……」

「ーーメリーっ!」

「な……何よっ!!」

「〈ただただ怯えるな〉!ーー



 【〈失う怖さ〉と向き合う強さを持てっ】」



 メリーは息を飲んで瞼を長く閉じて、再び老体の目と真っすぐ向き合った。老体はそっとメリーの肩を離す。



「アタシは……どうすればいいの?」

「ワシにも分からん」

「は?」

「だから旅をして、それを探そう。色んな人と出会って色んな強さを知って行くんじゃ……一緒に」

「何よ、それ……無計画もいいところじゃない」

「ホッホッホッ……確かにのう……でも、今やるべきことはハッキリしとるぞう?」

「……そうね」



 2人は視線を同じ方向に向ける。





「倒すぞ」

「倒そう」





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