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【夢の続き】2





 アタシは一応まだ魔導院アカデミーの生徒なので院の課題をこなす、その傍ら魔法管理局の課題を消化していくことに奔走した。







 【夢の場面は、そこから半年後に移る。】



 〈アタシは魔法管理局で局長の執務室に向かってまた、局の廊下を歩いていた〉





 向かう途中、何人かの局員とすれ違う、皆チラチラとアタシを見ては怪訝な顔をする。アタシは〈新しいローブ〉をなびかせ、何も気にせずに前へ前へと早るように歩みを進める。



「おい!お前っ!!」



 高圧的な声とともに呼び止められた。気分は台無し。



「あれから一度も顔を出さないと思ったら、今さらノコノコ現れやがって!」



 誰かと思えば、実習課題の書類を渡してくれた男性局員だった。



「なんだ?諦めたのか?丁寧にお願いすれば……ちょーーっと、くらいならアドバイスしてやっても……ーー」

「ーー終わった」

「は?」



 間の抜けた顔をする男性局員。



「【課題が終わった】、って言ってんのよ」

「何をバカな!そんな……こと……ある……わけ………………ーー」



 アタシは否定的な言葉を吐かれている最中に【ある4枚の書類】を男性局員に渡す。



「…………っっ!!」



 黙々と目を通す男性局員。1枚目、2枚目……、と書類めくっていくたびに目を見開いて驚きの様子を見せる。



 書類の内容は


【城壁補修担当責任者のサイン】

【農作地区の地区長のサイン】

【違法ポーションの製造元、及びその流通ルートを明確に示した書類】

【開発局の魔導具管理者のサイン】



 いずれも、課題の完了を示すものだ。



「……ぎ、……偽造かぁ?……お前」



 信じられないのか、疑わしいと口にする男性局員。



「じゃあ現場に行って確認して来なさいよ、すぐに分かるわ!」

「くっ……ぐぬぬぬ」



 堂々とするアタシに言い返せず、語彙力を無くす男性局員。



「そ!そうだ!まだ、課題が2つあったなっ!……



【移動魔法ゲートの習得】と

【上級魔導師試験の合格】だ!」



 勝ち誇ったような顔で思い出した残りの課題を言う男性局員に、アタシは背を向けて反対側へ歩き出した。それを見た男性局員は大はしゃぎして笑いだした。



「はーーっはっはっは!ほらなっ!!そんなこったろうと思ってたんだよ!帰れ帰れ!はーーーーっはっはっは……ーー

「……【ゲート】」



 唱えたアタシは消え、男性局員の後ろに姿を現した。



『習得したに決まってるじゃないの、バーカ』

「ーーうわぁああああ!!!!」



 目の前を歩いていたはずのアタシが急に後ろから話しかけて来たことに、死ぬ程驚いて腰を抜かす男性局員。



「おまっ……マジかよ……」

「アタシにはこんなの余裕なのよ」



 驚ろかせたついでに、ちょっと煽る。

 ……本当はこの【移動魔法ゲート】を覚えるのが、ダントツで他の何倍もの時間を食った課題だったのは内緒にしておく。



「あ!いや、試験!そう……そうだ!


【上級魔導師試験】だよ!


アレは無理だろ?さすがに。年に1回しかしてないし、この国に20人もいないんだぞ?上級魔導師……まさか、なぁ?無理だよなぁ?」



 まるで願うようにアタシに詰め寄る男性局員。その顔をジッと見つめるアタシは少しニヤける。



「……な、なんだよ」



 不信に思う男性局員。



「見て」



 ちょっぴり蠱惑的に言うアタシは胸を張る。

 すると、男性局員はなんだかソワソワした様子でアタシの顔色ををチラチラ伺いながら【一箇所】を至近距離でガン見する……。





「……前より、ちょっとおっきくなった?」

「ーー〈(そっち)〉じゃないわよ!コッチよ!コッチっ!!」



 アタシは羽織っているローブの襟を指差す。そこには〈白の3本線〉がしっかり縫い込まれている。



「ああ、なんだ、そっちか……」



 男性局員はなんだか物凄く残念そうにして襟に視線を向ける。もっと悔しがると思ったの腑に落ちない反応に拍子抜けする。





「ああ、認めるよ。お前は凄いよ……グレン様が呼ぶくらいなんだ。何かあるんだな、とは思ってたよ」

「え?……やけに素直じゃない」



 急にしおらしくなる男性局員にアタシは逆に戸惑う。男性は大きくため息をついて、書類をアタシに返しながら言葉を続けた。



「はぁ……嫉妬してたんだよ……お前みたいに若くて才能があるやつに」

「え?貴族だから平民のアタシを嫌ってたんじゃないの?」

「何言ってんだよ、オレも【平民】だよ」

「……え?そうなの?」



 ……ちょっと嬉しくなった。



「グレン様がいるこの魔法管理局は出生や身分なんかで差別されない、能力や人間性、頑張りを正当に評価してくれる。だから、俺はここに居られるんだ…………お前も、頑張れよ。じゃあまたな」



 なんだ、こいつ……

 そんなに悪いやつじゃないのね……。



「うん、ありがと」



 なんだか良い気分。



 男性局員が去る背中を見て、ふと思ったことがあって呼び止めた。



「あ、局長の……お面の中……、顔って見たことある?」

「グレン様の顔?そういえば、見たことないな。てか、お面を外してるとこなんか、たぶん誰も見たことねぇんじゃねぇの?」

「……ふーーん……そっか……ふーーん……」

「なんだそれ……」



 男性局員はヒラヒラと手を振ってまた去っていった。



 そして、アタシもまた、局長の執務室への

歩みを再開した……





 魔導卿の素顔を


 自分だけが知っている


 愉悦に浸って。







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