捕縛命令
怒号の響く浜辺で3人が目にしたのは、倒れる無数のアクアリザード達、その中に立つダンキュリーに対して……凛と立ち、剣を向ける金髪の騎士ベルフリーデン。背丈の半分強ほどある大剣を軽々と片手で持ち、切っ先は微動だにせずピタリとダンキュリーに向けられる。
『アンタには騎士団から【捕縛命令】が出ている。大人しくしてもらうよ、アルフレア・ダンキュリー』
『あぁ!?オレが何したってんだコラァ!』
『……そんなの知らないよ、言っただろ?【捕縛命令】が出ているんだ。従わないなら強引に捕らえさせてもらうよ?』
『ーーやってみろガキがっ!』
瞬く間に……2人は口論の末、戦い出した。
予想だにしない展開と光景に、老体含む3人は状況が読めずただただ固まる。
「え……どうゆうこと?」
メリーは混乱し、
「ダンキュリーさん……大丈夫かな……」
イズは心配し、
「うむ、やはりあの若者……なかなかやるのう」
ジジイは感心した。
目の前で戦いを繰り広げるベルフリーデンは、あのダンキュリーを相手にしても引けを取らず互角以上の動きを見せる。戦いの最中……ベルフリーデンは老体一行に気付き、目線を向ける。
『あ!さっきの【可愛い子】じゃんか!俺のこと心配して来たんだな、きっと……よし!さっさと終わらせてデートに行かないとな!』
目線は……主にメリーに向けられていた。
よそ見をするベルフリーデンをダンキュリーは見逃さず、重たい一撃をベルフリーデンの鎧に叩き込む。ベルフリーデンは衝撃をうまく逃がすように後ろへ飛んで距離を取る。
『……チッ!……なんだよ、このおっさん……結構強いな』
『……ハァ……大層な鎧つけやがって生意気なガキが……ハァ……ハァ……』
フィジカルの強さでダンキュリーがベルフリーデンを上回るが、ダンキュリーの疲労が目に見えてきたのを老体は察する。そろそろ助け舟を出そうと思った……次の瞬間……ーー。
【『ーー何をしている、ベルフリーデン』】
ダンキュリーの後方から声がした。
「ーーっっ!!ーー」
驚いたダンキュリーは声のした方向から距離を取り、背向ける形で老体一行の方へ飛ぶ。
「ハァ……ハァ……、いつからそこに居た、気付かなかったぜ……クッソ……」
ダンキュリーの零す独り言が鮮明に聞こえる。そして静かに同感する老体。
「…………大丈夫かの、ダンキュリーさん」
(ワシも全く気づかんかったわい……)
「ああ……」
あまり余裕のない返事をするダンキュリーが向ける目線の先、突如現れた声の主は……直剣を持った軽装細身の騎士で、軽装に似合わず重甲なフルヘルム(兜)で顔を覆っている。
『ーーもう先輩!何してたんですか?遅いですよ』
『うるさい。【下級騎士】共の尻拭いに手を焼いていただけだ……』
先輩と呼ばれた細身の騎士は不愉快そうにベルフリーデンと話す。
『ダメっすよ先輩、【下級騎士】なんて言っちゃあ……有力貴族の御子息も騎士の中いる手前、そうゆう呼び方は廃止になったじゃないですかぁ」
『知らん、【下級】は【下級】だ。邪魔で仕方ない……さっさと死んでくれたほうがマシだ!』
『まあ、そこは同意しますけどねー』
『無駄話はもういい!状況を説明しろベルフリーデン』
『はいはーい』
ベルフリーデンと先輩騎士は老体一行を無視して、淡々と状況説明をし始めた。




