ベルフリーデン
早速3人はダンキュリーを追って沿岸方面へ急ぐ。その途中、騎士の取り逃がしたアクアリザード数体に道を阻まれる。直後、老体は加速して距離を瞬時に詰める。
「ーーちょいと退いてくれるかの?」
《ーーゴッ!!ーー》
「ーーグェェエエエッッ!!ーー」
進路を塞ぐアクアリザードの内1体を、加速した勢いのまま飛び膝蹴りをかましてぶっ飛ばす。口から何やらの液体をぶちまけながら前方に転がるアクアリザードは痛みに悶えるが、すぐに体勢を立て直し進路を塞ぐ。
「ーーっっ?妙な手応えじゃのう……」(触れた瞬間、魔力を感じたが……身体強化の魔法でもかかっとるのか?もしや、騎士達が手こずったのはこのせいかのう……?)
攻撃直後の刹那……分析、予測、対策を思案する。
「……なんか武器が欲しいのう」
強化されているであろうアクアリザードを武器なしに仕留めるのは骨が折れる。周囲を確認がてら近くに居た他のアクアリザードにも警戒して目をやる……すると。
《ーーパキパキパキ……ーー》
「…………ギッ……ギギギギィィ……」
尻尾から頭にかけて徐々に氷漬けになるアクアリザード達の間を魔導杖を構え、涼しい顔で歩いてくるメリーの姿が。そして、その後ろにイズがしっかり付いてくる。
「……フンっ!このくらいになら全部アタシが片付けてやるわ」
「ほほぅ……これは……」
(驚いた……野営した時にメリーに教えた、魔法の【出力調整】を、もう戦闘に応用しておる。今のは氷魔法を必要な箇所に適した出力に調整したのか。無駄な魔力の行き先がない分、目立たず悟られにくい上にピンポイントで威力を高められる……)
メリーの方を向いたまま、思考に気を取られる老体。
「ーーちょっと!後ろ!」
思い呆けていた老体の後ろから、先程ぶっ飛ばしたアクアリザードが反撃に迫る。
すると……他の騎士とは装飾の違う格好の金髪の青年騎士が颯爽と現れ、その間に入る。
《ーーズバァッッ!!ーー》
「ーーグゥギェエエエッッ!!ーー」
アクアリザードは金髪騎士の素早い斬撃によって断末魔を上げて絶命する。金髪騎士は一息ついて老体へ視線を向ける。
『ふぅ……外に居ると危ないよ?おじいさん、早く家に帰んな?……危ないからさ』
他の騎士とは一線を画す雰囲気がある。
「お……おお、ありがとう……。助かったわい……」(もしや……【上級騎士】という奴かのう?)
失礼ながら値踏みするように金髪騎士を眺める。目鼻立ちがハッキリとした端正な顔に特徴的な金髪。やんちゃながらに爽やかな印象。ダンキュリーに近い背格好だが、やや線は細め、先程見た通り只者ではない身のこなし……。
「ーーちょっと!何ボサっとしてんのよっ!危ないじゃないっ!!」
心配して駆け寄るメリー。
「いやいや、すまんのぅ……ーー」(お主の成長に感動……もとい驚いておったんじゃよ……なんて言い訳にならんか……)
『ーー女の子じゃん!可愛いね君ーー』
突然、メリーと老体の間に入るように大声を出すブロンド青年騎士。そして、メリーに対してより距離をグイグイ詰める。
「……な、何よ!?」
「ねー君さ……名前は?教えてよ」
「え、え?あ、アタシ?」
いきなり初対面との会話に動揺するメリー。
「……メ、メリーよ。……」
「ーーへぇー、メリーっていうだ。
俺は【蒼炎騎士ベルフリーデン】、王都から来た上級騎士なんだよねー、よろしくねメリー」
「は、はぁ……どうも」
相手のテンションに尻込みするメリーは、あまり見たことのない困り方をする。
「ここは俺に任せて安全なところで避難しててよ!速攻で終わらしてくるからさ、そしたらまた君に会いに行くよ、じゃあね!」
「ーーっえ?は?…………は?」
エルフリーデンはそう言って、困惑するメリーをその場において沿岸の方へ向かっていった。
「………………なんなの、あれ」
立ち尽くすメリー。
「……爽やかな青年じゃったのう、顔も悪くはなかったぞい?いわゆる、イケメンじゃのう。また後で会うんじゃろ?」
「なっ!会わないわよ!」
「おや、そうなのか……」
急に嫌悪感を出すメリー。
「アタシ、あーゆうのダメなの!外面が良くて、女に愛嬌振りまいて、自分はすべての女性に好かれて当然みたいな感じの王子様?みたいなの!それで色んな女に気を持たせて『みんな平等に愛しているんだ』とか抜かすのよ!絶対っ!!」
「……ぐ、具体的じゃのう」




