イケメン三日月君が寝言で私に告白してくるんですけど!?
「次科学なのに、何で私数学の教科書持ってるのよ~も~…」
次の授業が科学なので、科学の教科書を持って友人と科学室に向かっていると、途中で科学の教科書じゃなくて数学の教科書を間違えて持ってきたことに気づき。科学の教科書を取りに、私は一人教室に戻ってきた。すると。
「あっ、三日月君…」
私の席の隣で腕を枕にしながら、その男子は心地よさげな寝息をたてていた。
彼の名は三日月疾風。カッコよくて勉強もできて、それにスポーツも万能で。そんな彼だから、たくさんの女子にモテモテで。まあ…その女子にモテモテの中に、私も含まれるんだけど。つまり私も、三日月君のことが…好きで。でも、折角好きな人と席隣になったのに、ほとんど話せてないのが現実で。
それはそうと…
「え?そろそろ起きないと遅刻しちゃうよね?私が、おっ、起こさなきゃかな…?」
すぅすぅ…と、寝息をたてる三日月君。その寝息も何だか色っぽく聞こえて、ドキドキしてくる。
私は手を震わせながら、三日月君の方に手をゆっくりと伸ばす。
「早く起こさないと。私も三日月君も遅刻しちゃう…」
私の手が、三日月君の肩に触れようとした時だった。
「んんっ…春野花夏さん…好きです。俺と付き合ってくださ…ぃ…」
むにゃむにゃと、三日月君はうつ伏せたままそう言った。
…
……
「!!」
声に出して叫びそうになったがどうにか飲み込み、内心で叫んだ。
寝言?てか花夏って、私の名前…え?同姓同名の彼女とか?いっ今の告白?私に…いや、ナイナイ!!
と、すぅすぅと眠る三日月君の前で、私は顔を熱くさせながら動揺していた。すると。
「…ん?春野さん?どしたの?」
と、眠そうな顔をしながら、三日月君は顔を上げて言った。
「うわっ!?み、三日月君!?」
「あれ…みんなは?」
「あと、つ、つぎ科学なので!移動しました!!」
私は動揺のあまり、普段出さない大声で三日月君に話す。
「そーなんだ、じゃあ早く行かなきゃだね」
三日月君は机の上の科学の教科書を手に持つと、私ににこりと微笑んだ。カッコいい…私明日死ぬの?
三日月君は扉の方に行き、扉の前でぴたりと止まると、くるりと私の方に振り向き、そして。
「…さっきの、本気だから」
「え?」
「寝言…じゃないから」
そう言って三日月君は、ぱたぱたと去っていった。
「…え?えええ!?」
そして私は結局、科学と数学の教科書を替えるのを忘れて科学室に行き、隣の席の三日月君の教科書を見る羽目になるのでした。