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出勤、そして邂逅

処女作はスカトロという慈愛の結晶

 スーツ姿の彼はその全身に朝日を浴びていた。


 外見は普通のサラリーマン。だが、幼い顔立ちに165cmの身長から自称14歳を名乗っている。


 髪の毛はワックスで整え、スーツには埃やシワ汚れなど一切ない。


 完璧な起床、完璧な朝食、完璧な歯磨き、完璧な身だしなみ、完璧な出勤経路、完璧な時間管理。


 最高のスタートが切れたと思った矢先、衝撃は足元を襲う。


「最悪だ...... 」


 彼はうんこを踏んでいたのだ。


 日曜日の夜に丁寧に磨き上げた革靴。黒艶映える革靴は汚物に塗れ、今ではすっかりベージュ色の革靴へと変貌を遂げていた。


「なぜ、俺はうんこを踏んでいるんだ。いや、違うそもそもなぜここに立派なうんこが落ちているんだ。道のど真ん中でだ。ペットに堂々と道のど真ん中でうんこをさせる飼い主の気が知れない、異常者じゃないか、普通拾うだろ、道の真ん中で放置していいものじゃないぞ、はっつ! さてはyou○ubeの企画だな。マナーがなってない輩がいるとは聞いていたが、まさかこんな身近にいるとは思わなかった。どうする、正直動きたくない、数秒前に時を戻して欲しい、これ以上うんこ臭がスーツに着く前に早くここから立ち去り、帰ってシャワーを浴びたい!! 」


 道のど真ん中でうんこを踏んだスーツ姿のDQNが心の叫びをダダ漏れにしながらDQNしていた。


「どうしたんですか」


 固まって動けない彼の背後から、若い女性の声が聞こえた。


 足元は動かさず、上半身だけを振り返るとそこにはJKが立っていた。


 見られてしまった、他人にこの醜態を。と、動揺していることを悟られまいと毅然とした態度で答える。


「道のど真ん中ですみません、少々道に迷ってしまいまして」


 嘘をついた。完璧主義の潔癖症なこの僕が、目の前に立つ純真無垢なJKに嘘をついてしまったのだ。

 

 JKは驚きちかづき、彼の胸元にそっと手を置く。


「それは、大変です。私が案内しましょう」


 と言い、彼女は彼の腕を掴み引っ張ろうとするが、彼は動かない。動くわけにはいかないのだ。動けばうんこの存在を悟られ、彼女は察するだろう。彼がド畜生うんこマンであることを。


「どうしたんですか? 急がないと遅刻しちゃいますよ」


「いえ、お構いなく、僕は大丈夫なので先に行ってください」


 と抵抗するが、JKの力は強くうんこまみれの足を動かしてしまいそうになる。


 負けじと社畜は、全身を硬直させる。


「動いてください! じゃないと......! 」


 JKは社畜の乳首を思いっきり抓った。


「ひゃいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん」


 閑静な住宅街に響く社会人男性の狂声。その恥ずかしい悲鳴は風俗で遊ぶときにしか出したことはなかった。


 終わった、と思った社畜は不思議な感覚に陥る事になる。近隣の住人の気配を感じないのだ。


 まるで、社畜とJK以外には誰もいないかのような。


「わあ! 立派なうんこですね! 」


 足元の物体に気づいたJKは興味深々に言った。


「これは違うんだ。俺は、うんこを踏んだわけでは..................! 」


 言い訳を試みるが、意味はない。


「私、うんこ好きなんですよ」


 JKとは思えない暴言が飛び出す。


 青臭い思い出作りが大好きなJKがうんこくさいに惹かれるのはとても信じ難い。


「変わった趣味をお持ちのようだが、俺がここを退かない理由ははっきりしたでしょう。さっさと俺から離れてもらってもよろしこですかな」


 色々受け入れ難い現実に襲われすぎて、言動がおかしくなり始めた社畜。そんな彼をみて、JKはとても満足そうにしていた。


「JKだからって甘く見ないでください。誰にも言えない性癖の一つや二つ持ってるんですから」


 自信満々に変態自慢をしてきた。


 最近のJKは性に素直でよろしい! 性教育の賜物か! と感心しかけた社畜は洗脳されてたまるかと自らの両頬を叩いた。


「自虐趣味...... 」


 JKに変な誤解をされたようだ。


「違います。これは一種の自分への愛情表現なのです。あなたのようなイレギュラーと遭遇した時の対策として行う、いわば防衛本能と言うやつですね」


「それはつまり変態JKがトリガーとなって、目覚めてしまう禁断のあれこれということですね。あなたの性癖に益々興味が湧いてきました」


「............ 」

 

 誤解を解くことはできず、悪化させてしまった。


「私、嬉しいんです、あなたに会えたことが」


 呆れて疲れ果てた社畜に構わずJKは語り出した。


「運命なのかもしれません、そう感じるんです。あなたの思い描く理想に導かれたからこそ、私はここに来たんだと。だから、そんなあなたに答えを伝えたいんです」


 社畜は動かない。異質な雰囲気を醸し始めたJKを凝視する。


「あなたはうんこを踏んでしまったと思っていますね」


 JKは言う。


「それは、正解です。でも、本当は違うんです」


 JKは諭す。


「正しくは、踏ませた。が、正解なんです」


「なぜなら」


 彼女は微笑み真実を告げる。


「そのうんこは私がそこにぶちまけたものですから」


 真実はいつも残酷だ。


 眼前に立つJKの瞳はとても輝いていたからだ。

 

 その瞳に濁りはなく、ただ純粋に ”自分のうんこを他人に踏ませたこと” を喜んでいたのだ。


 そのことに気づいた彼は、サイコパチストなスカトラーの彼女に恐怖した。


 うんこも踏んだことを忘れて、眼前に立つ変態JKを直視する。


 JKはただのどこにでもいるJKであった。黒髪ロングの前髪ぱっつん美少女で、セーラー服がとても似合う。何の変哲もない正真正銘の美少女JKだ。


 これまでの事象を要約すれば、彼は美少女JKのうんこを踏んでいるということだ。何とも羨ましい情景ではあるが、彼にとっては地獄そのものだ。


 彼女は身動きのとれない社畜の腹部に指を這わす。Yシャツ越しに伝わる指の感触が彼の体をより敏感にさせる。


「とても臭いです」


 彼女の鋭利な言葉が社畜の心臓を切り刻む。うんこを踏んだ直後から息を止めているため、言い返すことができない。


「うんこは螺旋なんです」


 彼女は語る。


「うんこを踏んだ、つまり、螺旋を踏んだあなたは一生この時を過ごすんです。どこにも逃げることなんてできません。この螺旋で私とあなたは結ばれるのです」


 彼は戦慄し立ち尽くした、否、うんこを踏み尽くしていた。全く彼女が言っていることをわからなかったからだ。


「意味がわからないと言った顔をしていますね。時期にわかります、このように」


 JKは、社畜のスーツとYシャツを両手で強引に引きちぎると、露になったおへそのした部分にキスをした。


 すると彼の腹部は耐え難いほどの猛烈な痛みに襲われる。彼は、立ち上がることさえできない。手で必死に抑えるが、ぽたぽたと血が滲む。


 外傷はない。それでも、血は溢れ出して止まらない。


「なん、だ......これ。いた、っ............ 」


 四つん這いの姿勢で痛みを和らげようとするが、痛みは増す一方だ。


「その痛みは永遠の始まり、スカトラストの証明」


「始まりの一雫、崩壊の濁流」


「臭焉はすぐそこに」


 JKはスカートを翻し、社畜をスカートの深淵へと誘う。


 JKの温もりに抱かれた社畜はすでに絶命していた。


 自らの犯した失態に気付かぬまま、さらには恥を感じる暇もなくスカトロの螺旋に飲み込まれていく。




    ♢ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー♢




 意識が深く暗い底に沈んでいく。


 苦しい、息ができない。


 音も臭いもない、平衡感覚さえあやふやな空間。


 何も感じず、痛みさえ失われた、無の世界。


 存在している理由も消失する理由も存在しない。


 あべこべな夢。


 遠くの一点に光が見える。


 それに向かって、社畜である自称14歳は泳ぐ。


 全身を使って、闇の中を一心不乱に泳いでみる。疲れは感じないが、光との距離は中々縮まらない。


 社畜は集中した。


 下腹部に全ての意識を集中させ、想像する。


 すると、社畜の陰茎は立ち上がり、光へと導き出した。


 螺旋に飲まれた男への最後の慈悲であるかのように。




    ♢ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー♢




 目覚めると、見慣れたエロゲポスターが彼を祝福してくれた。


 それを見た瞬間に彼は自分が生きていることを実感したのだ。


 なぜなら、彼の陰茎は限界までに反り立っていたのだ。


 その痛みにより、生を実感することができるのだ。


 彼はベッドから降りて、全てのことが夢だったと自分を落ち着かせる。


 そしていつもどおりに支度し、出勤する。


 彼の日常は再開されたのだ。


 そのはずだった。


 玄関を出た瞬間、足元に違和感。


 柔らかい感触を足裏全体で味わったそれは、とんでもない異臭を放っていた。


「どうして...... 」

 

 夢のはずだった現実が彼の脳内を麻痺させ、犯す。


 見下ろすと、両膝を抱えながらしゃがみこむ彼女の姿があった。


 ピンク色のパンツが膝下まで降ろされている。


 厭らしいとは感じなかった。なぜなら、それは彼が今まで拒絶してきたものだから。


「またお会いしましたね」


 JKが立ち上がる。


 股間からは茶色の液体が滴り落ちる。


「あなたの欲望が私を引き寄せるんですよ」


 彼は彼女がなぜ微笑むのか理解できず、


「責任とってくださいね」


 その言葉は僕の腹部を貫き、内臓は玄関にぶちまけられた。


 糞が詰まってる自分の内臓を見た瞬間に気づいたのだ。

 

「トイレ、い......て、な............ 」

 

 彼が犯した誰もがしでかす単純なミス、完璧主義の彼にとっては許されないことであった。


 少しのミスが彼の自尊心を傷つけ、それが魂までも切り裂いた。

 

 そして、JKの糞の臭いに包まれながら、彼は再び絶命した。

あなたのような変態を待っていました!

共にイキましょう! 変態のその先へ!!

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