第5話
マイケルくんはお腹を下し休憩室からは悲鳴が聞こえてきた。
「逃げよう…」
マイケルくんはお尻を拭き終わると、私を抱えてトイレから恐る恐る出た。
「よし…誰もいない。走るぞ沖縄!」
そうマイケルくんが言った次の瞬間
「どこ行くの?休憩室はあっちだよ」
振り向くとヒゲおじさんがいた。
「いや…あの…お腹痛いんで…帰らせてもらえないかなと…」
「そうなの。そりゃ仕方ないね。じゃあ帰る前にゴリラ観ていく?」
「え?」
「ついてきなよ。ゴリラ見せてあげるよ」
「え…」
ヒゲおじさんはマイケルくんの腕を掴み強引に歩き始めた。
すると次の瞬間マイケルくんは私を振り上げ
ヒゲおじさんの側頭部に激突させた。
ゴッ!!
ヒゲおじさんはぶっ倒れた
「はぁ…はぁ…貧乏人舐めんなバッキャロー!!」
マイケルくんはそう絶叫すると、工場を出て駅まで全力で走った。
そこから家に戻るまでマイケルくんは記憶が無い。危なかったという思いと、やっちまったという思いで屁が止まらなくなっていた。
翌日、ネットニュースが出ていた。
「高額報酬をエサに求職者を廃工場に誘き寄せ無差別殺人を繰り返してた男を逮捕」
マイケルくんの家にも警察が来た。マイケルくんもあと一歩のところで殺されていたかもしれなかった。マイケルくんは号泣しながらその日の事をおまわりさんに話した。