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【本編完結】神様のうっかりで転生時のチートスキルと装備をもらい損ねたけど、魔力だけは無駄にあるので無理せずにやっていきたいです【修正版】  作者: きちのん
おまけ編 竜姫誕生

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804 番外編 ちょこっとビター・中編

本日二話目です

 我が家の様子も見られたし、イリーダさんと城に向かう。

 戴冠式に招待してくれるぐらいだから、俺達を歓迎してくれるのだろう。


『王都も随分と変わったな……』


「そりゃそうですよ、イリーダさんが亡くなってから何十年経ったと思ってるんですか」


 実は俺も王都の変貌ぶりに驚いている。

 知っている店もすっかり姿を消してしまったし、景色が変わると寂しいなあ。


『……おい、リョウヤ。懐かしい店があるぞ』


「え? 何処ですか?」


 イリーダさんが指し示したのは、月花亭という宿を兼ねる飲食店だ。

 かつて、テルアイラさん達が常宿にしていた宿屋だが、流石にもう俺達の事を知っている人はいないだろうよ。


『取り敢えず入ってみないか?』


 イリーダさんは俺の返事を待たずに、店に入ってしまった。

 霊体だからって自由過ぎじゃないですかね。



「あれれー!? イリーダ女王ですか!? お久しぶりですー!! 全然お変わりありませんねー!!」


 店内から素っ頓狂な声が聞こえてきた。

 流石にあり得ないだろ……。

 そもそもイリーダさんは、霊体だぞ。


 慌てて店の中に入ると、店内の特等席で既にイリーダさんが悠々とお茶を飲んでいた。

 その横で給仕の女性が微笑んでいる。


「お久しぶりです! リョウヤさんも変わらないですね!」


「ええと、君はレンファなのか……?」


「覚えていてくれたのですか!? 嬉しいです!!」


 なんとまあ、給仕の女性はこの店の看板娘のレンファだった。

 しかし、大人になっているとはいえ、若すぎないか?


「実は私、魔族だったらしいんですよね。父にその事を打ち明けられるまで、全然知らなくて……あははー」


 いやいや、笑い事じゃねえっての。

 だけど魔族なら、レンファの若さも納得はいく。

 彼女の父親の店主は正体を隠しつつ、南の新大陸のとある街で酒場のマスターをやってるとの事。

 今度、俺の娘の顔を見るついでにお邪魔してみるかな。


「そういえば、従業員でミラって子もいたよね? あの子も魔族だったはずだけど、元気か?」


 少し無愛想な子で、メグさんに懐いている一方、テルアイラさんには当たりが強かった記憶がある。


「ミラさんですか? 帝国のご実家に帰って、帝室で補佐をやってますよ?」


 全然意味が分からん。


『リョウヤよ、あの娘は西方を支配した魔王の末娘だぞ。それなりの血筋だろう』


「それは聞いてますけど、あの子が今やそんな重鎮だとはなあ……」


「ミラさんって、たまに王都に遊びに来るのですが、リョウヤさんの事をいつも気にしてましたよ? あのお兄さんは元気でしょうかって」


『……ほほう』


 イリーダさんの微笑みがなんか怖い。

 これ以上ここにいると、やぶ蛇になりそうなのでさっさと退散だ。


 レンファに再訪を約束して城へ向かう。






「相変わらず立派な門構えだなあ」


『そうだな』


 二人して城の門の前で佇んでいたら、俺達を怪しんだ門兵の一人が近寄ってきた。


「そこの男、城に何用があって来た!?」


 当たり前だが、イリーダさんの姿は見えてないらしい。


「ええと、戴冠式の招待状があるのだけど……」


「……!?」


 招待状を見せる前に門兵達が騒ぎだして、全員で俺を取り囲んだ。


「貴様、どこで戴冠式の話を聞いた?」


「へ? だから、招待状が……」


「この男を捕らえろ!! 密偵に違いない!!」


 よく分からんが、いきなり拘束されてしまった。

 無論、イリーダさんは霊体なのでスルー。




  ◆◆◆




 納得いかん。

 いきなり拘束された上に地下牢に閉じ込められた。

 脱出しようと思えば可能だが、余計に事態がややこしくなりそうなので我慢している。


『あははは! やはり、リョウヤと一緒にいると面白いなぁ!!』


「笑い事じゃないですよ、まったく……」


 イリーダさんは他人事のように笑い転げている。

 しかし、俺の顔を知らなくて門前払いならまだ分かるが、なんでまた密偵扱いをされるのやら。


『恐らくだが、現国王の引退と新国王の戴冠は、まだ正式に公布されていないんじゃないか?』


 さもありなん。

 その機密情報を知っているとならば、他国から探りに来た密偵と思われてしまったのだろうか。


「だからって、納得いかんだろ! 城の通行証だって提示したのに信用されないし!!」


『まあ、あの通行証は私達の息子の代のだからなあ。今では通用しないのだろう』


 その通行証も没収されてしまった。

 俺達の息子との思い出が……。


『リョウヤも悪いのだぞ? もっと定期的に城に顔を出していれば良かったのに』


「そりゃそうだけどさ、なんかOBがでかい面して後輩に先輩風吹かしてるみたいで嫌じゃない? それこそ、説教好きの老害扱いされそうだし」


『リョウヤは変なところで心配性だなあ……』


 イリーダさんに呆れ笑いされてしまった。

 それはそうと、向かいの牢屋の囚人が不気味そうにこちらを見ている。

 俺はそんなに不気味なのだろうか。


『リョウヤが独り言をずっと呟いてると思われてるんじゃないか?』


 なんてこった!?

 端から見ると、俺はマジでヤバいやつじゃないか!!


『これでも食べて落ち着け。ほら、あ~ん』


 イリーダさんが一口サイズのチョコを差し出してきたので、食べさせてもらう。

 生チョコが口の中でとろける。大変に美味でございます。


 一方、俺が食べる様子を見ていた向かいの囚人の顔色が真っ青だ。

 きっと彼には、宙に浮いているチョコを俺が食べたように見えているのだろう。

 もう気にするのはやめよう。



「うん、流石に人気店のチョコだね」


『朝から並んで買ったんだぞ。よく味わって食べろ』


 そう言いながら、もう一つ差し出してくれた。

 あの世のチョコをどうやって現世で食べているのかとか、気にしてはいけない。


 味わって食べていると、誰かがこちらにやってくる気配がする。

 程なくして、騎士姿の金髪ポニーテールの若い娘さんが兵を伴って姿を表した。


 どうでもいいけど、なんで女の子の騎士ってのは無駄に露出度が高いんだろうな。

 足とかニーハイソックスで、ほとんど防御機能無いよね。

 見てる分には嬉しいけど。



「あなた方が、リョウヤ様とイリーダ様でしょうか?」


 良かった。ようやく話の分かる人が来てくれたよ。

 というか、この騎士の子はイリーダさんの姿が見えるんだな。


 俺達は丁重に貴賓室へ案内され、解放してくれた娘さんが平謝りをする。



「この度は、とんだご無礼を致しました!! あの兵達は厳罰に処しますので、どうかご容赦を!!」


「いやいや、誰だって勘違いとかあるしさ、処罰するのは可哀想だよ……」


「それでもです! あなた方は、この王国にとって伝説の存在です!! そのような方を地下牢入れただなんて、罰当たりもいいところです!!」


 可愛らしい見た目に反して頑固らしい。

 外見だけなら、姫騎士って感じで可愛らしいのだが。


『ふむ。真面目は取り柄だが、融通が利かないのは民から支持を得られなくなるぞ? 彼らだって、職務に従ったまでだろう』


「……分かりました。処罰するのはやめます」


 イリーダさんの言うことは素直に聞くんだな。

 男の俺より、イリーダさんの方が受け入れやすいのだろう。

 そのイリーダさんは満足そうに頷いてるし。


 それから俺達は、姫騎士(仮称)さんの案内で城内を見て回った。

 昔と変わらぬ懐かしい場所もあれば、すっかり変わってしまった場所もある。


 途中ですれ違う城内の者達が姫騎士さんに頭を下げていく。

 彼女の身分は、それなりに高いのだろう。

 俺を地下牢から出せるぐらいだから、かなりの身分なのかも。

 そんな事を考えていると、前方から騎士らしき男がこちらに走ってくる。


「騎士団長!!」


 その騎士の男が姫騎士さんを騎士団長と呼んだ。

 まさかの騎士団長だったとは……。

 彼女には悪いけど、身分の高いお飾りの姫騎士団長かと思ってしまう。

 実際、声を掛けてきた男は、かなりの手練れっぽい。


「どうしました? アルジット副団長」


「そのお方が、かの救世主と呼ばれたリョウヤ様なのでしょうか?」


 アルジットと呼ばれた騎士は、三十代半ばぐらいの年齢だろうか。

 褐色の肌で黒髪、口ひげを生やしている。

 王国付近では見かけない人種で、砂漠の民を彷彿させる。


「そうですよ。このお方が私の──」


「どうか、私と模擬戦をして頂けませんか?」


 騎士団長を遮って、いきなりの模擬戦の申し込みである。

 今日は色々と忙しいなあ。


『ふふ、リョウヤは人気者だな?』


 アルジットとやらには視えていないらしいイリーダさんが、おかしそうに笑う。

 すると、アルジットは不思議そうにイリーダさんの方へ視線を向けた。

 視えてはいないけど、気配は感じるらしい。

 副団長だけあって、実力は本物なのだろう。


「アルジット副団長! あなたは自分で何を言っているのか理解しているのか!? 無礼だぞ!!」


 姫騎士団長が可愛らしい顔を怒りに染める。

 大変にプンスカしておられますな。


「無礼は承知の上、このような機会は滅多にありません故、どうか模擬戦の許可を!!」


 副団長も相当な頑固の様子。

 このままでは互いに引かなさそうだ。


『どうするんだ? 受けるのか?』


「そうだね。俺も今の王国騎士団の実力を知っておきたいし。ええと……」


 今更だけど、姫騎士さんの名前を聞いてなかった。

 それに気づいた彼女は苦笑しながら自己紹介をする。


「申し遅れました。わたくしはリーシアと申します」


「リーシア騎士団長。副団長の模擬試合を受けても構わないよ」


「……よろしいのですか?」


「男に二言はないよ」


「彼は奴隷の生まれで、実力で王国騎士団の副団長まで上り詰めた男です」


 なんですと。

 言われてみれば、なんか強者のオーラをまとっているんですけど……。


「おお! 快諾していただけるとは、流石は伝説の救世主でありますな!!」


 アルジット副団長がニッコリである。

 ちょっと早まったかなあ。

 イリーダさんが俺の肩を軽く叩いて頑張れとおっしゃるので、腹を括るか。

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― 新着の感想 ―
こいつこの歳でまだこんなを増やす気なのか() (心の声:そういやリョウヤの見た目とからそのまんまなんですかね?)
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