表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】神様のうっかりで転生時のチートスキルと装備をもらい損ねたけど、魔力だけは無駄にあるので無理せずにやっていきたいです【修正版】  作者: きちのん
おまけ編 竜姫誕生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

802/806

801 私の家族を珍獣扱いするなよ

 明日に竜牙の里に出発というのは、流石に準備やら諸々で無理があったので、出発は明後日となった。

 取り敢えず、今日明日は準備に当てる。


 竜牙族の駐在員である女性達が帰還してしまうので、その間はサヤイリスの妹と弟のレーシャちゃんとシンビ君はうちで預かる事に。

 今夜は我が家でその二人の歓迎会をする事になった。


 それはそうと、我が家には既にメグさんの弟のユンファオ君が仮住まいをしているので、子供達同士でも仲良くやってほしいものだ。


「うんうん、そうだねえ~」


 俺の隣で訳知り顔で頷いてるのは、当のメグさんである。


「あのう、ユンファオ君を引き取る気は全然無いですよねえ?」


 王都でちゃんとした住まいを見つけるまでは、俺の家で弟を預かってほしいと言われてるのだ。

 ついでにメイドのアユルナさんも一緒にである。

 我が家はアパート扱いですかね。


「まあまあいいじゃない。大勢で楽しそうだよね~」


 まったくもって他人事のお姉さんだ。


「その楽しいだけってだけで、なんで私達まで駆り出されるのでしょうか……」


「私は少年と一緒にいられるなら文句は無いぞ」


 何故か、ユズリさんとテルアイラさんもくっついてきている。

 そうなると、ミンニエリさんも一緒だ。

 その彼女はキッチンで食事の下ごしらえを手伝っている最中。

 今夜は歓迎会なので、料理担当の助っ人として、セイランさんにも来てもらっているのだ。

 もっとも、フィルの保護者枠って感じだが。

 マリルガルの街に続き、本当にお疲れ様です。


 フィルもユンファオ君達の学友なので、もちろん参加。

 同様にミュリシャもだ。

 そんな訳で、我が家はすっかり賑やかになってしまった。

 俺に懐いていたユンファオ君も、フィル達に誘われ庭でニャンブーを追いかけ回している。

 うむ、元気があってよろしい。



「なあ、少年。あの黄色いのは……猫なのか?」


 テルアイラさんから疑惑の目で見られるが、笑顔で誤魔化しておく。

 どのみち、聖獣と言っても信じてくれないだろう。


「ところで、マリアンヌさんは来てないんですね」


 むにょーんで倒れていた時に治療して以来、会ってない。


「あー、あいつは誘ってない。と言うか今のあいつは、ちょっと少年に会わせられないんでな」


 俺に会わせられないって、どういう状況なんだろう。

 知りたいような知りたくないような……。


 戦々恐々としていると、みんなも続々と帰宅してきて歓迎会の準備に取りかかる。

 なんだかんだで、みんなもイベント事が好きなのだろう。

 我が家のメイドのメアとナツメさんに、アユルナさんも手際よく準備を進めてくれるので大変助かるよ。


 ちなみにだが、今回はごく内輪のイベントなので、ユー達は誘ってない。

 誘ったら、大掛かりな歓迎会になってしまうのは火を見るより明らかだし。


 最近構ってなかったロワリンが抱きついてくるも、ミっちゃんとメルさまが引き剥がすのもお約束。今回はそれにテルアイラさんも加わって豪快に投げ飛ばされていた。

 可哀想に。強く生きるのだぞ。


 そんなこんなで、レーシャちゃんとシンビ君の歓迎会は和やかに進む。

 皆さんそれぞれでグループを作って、楽しんでやってくれている。


 気づいたら、いつの間にか妖精王のリンデルさんがシレっと参加してるし。

 何食わぬ顔で飲み食いしてるのを見てると、図書館精霊のモンムがやってくるなり俺に泣きついてきた。

 彼女が泣きつくなんて、相当珍しいのではないだろうか。

 

あるじ~、助けて~」


「いきなりどうした?」


「あそこの妖精王が意地悪する~」


 なんですと。

 ここは一言文句を言わないといけない。


「リンデルさん、うちの精霊に何やってくれたんですかね?」


「それは心外ですね。彼女が妖精界の図書館に行きたいと言うので、条件として私が満足できる本を持ってきてくださいと、お願いしただけですよ」


 そういえば、そんな事があったなあ。


「それで、モンムが見せた本に満足してくれなかったと?」


「主、あの女は私の本全部にケチをつける」


「仕方ないじゃないですか。誰が好んで『足の魚の目の削り方指南』や『金木犀の香りは何故トイレを彷彿させる』とかの本を読まされて喜ぶのですか」


 それは確かにどうかと思うなあ。


「何それ!? 私読みたい!!」


「わらわもだ!!」


 リリナさんとシーラには刺さったらしい。

 前から思ってたけど、二人とも本の趣味が悪いよな。


 しかし、このままだとモンムが可哀想だ。

 少しアドバイス的な事をしてやろう。


「モンム、翻訳した俺の世界の本は見せたのか?」


「ううん、それは邪道だから見せてない」


「なんですか? その邪道というのは?」


 早速リンデルさんが食いついてきた。


「取り敢えず、何か読ませてやりなよ」


「主がそう言うなら……。じゃあ、これとか?」


 少し悩んだモンムが取り出したのは、薄い本であった。

 表紙からして肌色率が高い。


「それはアウトだから、仕舞いなさい」


「わかった」


「ちょっと待ってください!! 今の本はなんですか!?」


 流石にあんなのは見せられないよ。


「他には無いのか?」


「じゃあ、ラノベとか?」


 まあ、ラノベぐらいなら大丈夫だろう。

 相変わらず表紙の肌色率が高いけど。


「ちょっと! さっきの本……!!」


「ほら、リンデルさん。こっちで我慢してくれ」


 モンムが何冊か出してくれたので、それを渡すとすぐに読み始めた。

 それにしても、読む早さが半端ない。

 本当に読んでるのかと疑問に思うぐらいだ。


 ものの数分で、十冊近くのラノベを読み終えてしまった。

 羨ましい限りの速読である。


「リョウヤ、この本について質問があります」


 まあ、異世界の本だからなあ。

 出処とか聞かれたら説明に困る。


「ええと、なんでしょうか?」


「何故主人公は、ヒロインの着替えに必ずと言って遭遇するのですか? それに、どの作品もヒロインがみんな赤い髪で見分けがつきません。各作品のヒロインの一覧表を見せられても、同じような絵柄で判別する自信がありません。そもそも、何故主人公も判を押したように黒髪で黒いコート姿なのですか?」


 おいやめろ。

 そのディスり方は洒落にならん。

 一昔前のラノベはそうだったかもしれないけど、今は違うと思うぞ。……多分。


「主~、あの妖精王は何を見せても全部ダメ出ししてくる~」


 やはり、異世界の書物では駄目そうだ。

 ここは素直に、この世界の本で勝負するべきと思う。

 なので、あの人に頼ろう。



「鏡子さん、ちょっといいかな?」


 精霊組で集まっていた鏡子さんを呼ぶと首をかしげながら、こちらにやってきた。


「お呼びでしょうか?」


「リンデルさんに、鏡子さんの本を読ませてあげたいんだけど、いいかな?」


「私の本ですか? 構いませんが」


 普通にポケットから文庫本を取り出した。

 というか、普段から持ち歩いてるのね……。


「布教用の物ですので、進呈します」


「あら、ありがとう。早速読ませてもらいますね――ほほう、これはこれは……」


 なんか気に入ったみたいなのだけど。

 また一人、腐の世界に引き込んでしまったか。

 一方モンムは、納得いかなさそうな顔をしているが、こればかりは仕方ない。



「……大変興味深い作品でした」


「満足していただいて光栄です」


「ところで続きはないのですか? リュウとレインの関係がこの先どうなるか気になります!」


 結局俺がモデルのやつかよ!!


「続きは書店に売っていますので、そちらでお買い求めください」


「……くっ!! なんて商売上手なのかしら!! ええ、いいでしょう。これから買いに行ってやります!!」


「ありがとうございます」


「仕方ありません。私を満足させたので、約束通り今度あなたを図書館に案内しましょう」


「わあいやったあ」


 モンムは喜んでるけど、感情が薄い喋り方なので、本当に喜んでるか分かりにくいなあ。

 リリナさんとシーラが羨ましそうにしてるので、彼女達も連れて行ってもらえるようにお願いしておくか。


「おっと、忘れるところでした。リョウヤ、ベルガデイルの器の素材になる暗黒真珠は、新鮮でないと効果を発揮しませんので、注意してください」


 それだけ言うと、リンデルさんは書店に向かってしまった。


 しかし、暗黒真珠が新鮮でないと駄目とかって余計にハードルが上がったなあ。

 市場に流通している物を入手しても、古い物だったら意味が無いという事か……。



「少年、今の女が言っていた暗黒真珠ってなんだ?」


 耳ざといテルアイラさんが聞きつけてきたので、ベルガの素材に必要になると説明した。


「相変わらず少年は、訳の分からない存在に囲まれてるなあ。お姉さんは感心しちゃうぞ」


「そんなところで感心しないでくださいよ。それで、テルアイラさんは心当たり無いですかね? 人食いトレントからドロップするらしいんですけど」


「人食いトレントだって~?」


 横からメグさんが話に食いついてきた。


「ねえ、ユズリ。人食いトレントって、テルアイラの実家に行った時に戦ったよね?」


「あーそんな事ありましたねえ。私的には、テルアイラさんの家族のインパクトが強すぎて、人食いトレントの事なんてすっかり忘れてました」


「おい、ユズリ。私の家族を珍獣扱いするなよ。あんなんでも私の家族なんだからな」


 自分で『あんなんでも』とか言ってる時点で駄目だろ。


「じゃあ、テルアイラさんの実家の方へ行けば、人食いトレントはいるんですね?」


 大森林や妖精界ではほぼ絶滅したそうなので、僅かな光明でもすがりたい。


「いや、どうだろうな? 人食いトレントって、メグ達が討伐したんだろ?」


「え? 討伐してないよ? 襲われてたエルフを助けたら、逃げられちゃったし」


「妙に頭のいい魔物でしたよね。襲うのは女性ばかりでしたし」


「ほう? だったら、まだ遭遇できるかもしれないな。よし、少年を私の家に招待しよう。ついでに両親に紹介してやるからな!」


 うう、ありがたい申し出だけど色んなプレッシャーが凄い……。



「ちょっと待ったあ!!」


 そこへロワリンの待ったの声がかかる。


「セッキーは、私の実家に行く約束してるんだから!!」


「どうせ私達の実家は同じ集落なんだから、向かう場所は一緒だろ」


「向かう場所は同じでも、私の家じゃなきゃ駄目!!」


「ああん? どうせお前の両親はいつもフラフラしてて、家にいないじゃないかよ」


「ぐぬぬぬ、そう言われると返す言葉がない……」


 なんとも不毛な言い争いだ。

 そこへ、第三の勢力が現れた。


「だったら、リョウ君は私の家に来ない?」


 なんとリリナさんだ。


「私も祖父から帰って来いと言われてるし、いい加減に一度帰省しないとって思ってて。リョウ君が一緒なら安心かなあって……」


「おのれ、リリナめ! 私達が争ってるところを狙いやがって! エルフのくせして卑怯なやつ!!」


「エルフの風上にも置けないね☆」


「私、純粋なエルフじゃなくて、クォーターだし……」


 これまた一悶着ありそうだけど、人食いトレントの件もどうにかなりそうかも。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ