784 番外編 聖夜の異変・後編
本日二話目投稿。
下ネタ満載なので、苦手な方は飛ばしちゃってください。
生誕祭が近づくと、どこの飲食店も大忙しである。
それは、ここ月花亭でも同様であった。
「ミンニエリさん、いくつか出前の配達をお願いできますか?」
なし崩し的に住み込み従業員になっているミンニエリとしては、看板娘のレンファに頼まれたら嫌とは言えないし、元から断るつもりは無い。
これがテルアイラに頼まれていたら、断る選択肢もあったりするが。
「分かりました! すぐに行ってきます!!」
月花亭の店内は盛況である。
少しでも店内の人口密度を下げるために、ミンニエリは颯爽と出前の配達へと向かった。
「……ふう、これで全部の配達が終わったかな?」
アイテムバッグの中身が空なのを確かめつつ、一息入れる。
「それにしても、この『サンタ服』は少し目立ちますよね……」
近年、異世界の文化が入り込んでいるため、この季節になると各店舗の従業員は店の宣伝を兼ねてサンタ服を着る事が多くなった。
その場合、ほとんどが女性ばかりである。
ミニスカートのサンタは、どこの世界でも男目線で人気なのだ。
無論、ミンニエリの場合も、ふわりとしたミニスカート姿である。
「目立つのはまだしも、何故か変な人ばかり声を掛けてくるのですよね……」
そう、ミニスカサンタ服を着ているのは、いわゆる夜の店や、いかがわしい店の女の子が圧倒的に多いのだ。
ミンニエリも、そういった店の従業員と間違われて声を掛けられていた。
「一体なんなんですかね! 『姉ちゃん、どんなサービスしてくれるの?』とか『一回いくら?』とか、失礼にも程がありますよね!!」
一人、プンスカしながら月花亭への近道を進む。
近道は人気の無い場所を通るのだが、その辺の暴漢程度では相手にならない程の実力者なので、身の危険は感じた事はない。
先程も、いきなり体を触ってきた男を殴り飛ばしてきたところでもある。
そうして、うら寂しい道を進んでいると、前方に人影が見えてきた。
「三人の男が……小さな女の子二人を囲んでいる!? いけない! 助けなくちゃ!!」
慌てて駆け付けると、まず声を掛ける。
いきなり殴り飛ばして、誤解だったら大変な事になってしまう。
ちなみに、テルアイラの場合は問答無用で頭突きを食らわしていた事だろう。
「あなた達! ここで何をしてるのですか!!」
ミンニエリが声を掛けると、三人の男達はサッとコートの前を閉じた。
(あれはフィルエンネちゃんと、ミュリシャ王女!? 何故こんな場所に……)
すぐさまミンニエリは、二人を男達から守るように間に入る。
「おいおい、ピンク髪の姉ちゃんよう。いいところだったんだから邪魔するなよ」
「そうだぞ。今日は稼ぎ時なんだろ? 早く店に戻らなくていいのか?」
「ったく、金を貰えばなんでもする売女はお呼びじゃねえっての」
最後の男の言葉を聞いて、ミンニエリの中で何かが切れる音がした。
そして、フィルエンネとミュリシャに小声で話し掛ける。
「……二人とも、私が合図したら、ここからすぐに走って衛兵を呼んできてください」
「うん」
「わ、わかりましたわ」
まだ状況を理解できていないフィルエンネは不思議そうに頷く。
この場はなんとか切り抜けられると、ミュリシャは安堵して頷いた。
「今です! 行ってください!!」
突然の大声に男達が戸惑った隙に、フィルエンネとミュリシャは駆け出して行った。
子供の足と侮ってはいけない。二人は大人の冒険者が舌を巻くほどの俊足なのだ。
あっという間に姿が見えなくなる。
「お前! せっかくの女の子を!! ふざけるなよ!!」
こんにちはオジサンが激高した。
その様子に、おはようオジサンと、こんばんはオジサンはちょっと引いている。
「くそう、こうなったら徹底的に痛めつけてやる。俺は大人の女には容赦しない派だからな」
そう言って、こんにちはオジサンはコートの前を開いた。
「……っ!?」
突然見せられた物体に、ミンニエリは声が出ない。
「ハハハ! 商売女がカマトトぶってんじゃねえよ! 客のを毎日見てて、見飽きてるのだろう? それとも、俺のが凄すぎて声も出ないってか?」
実際、こんにちはオジサンのは、人間打楽器が奏でられる程のご立派なモノである。
某リョウヤが見たら、激怒して叩きってしまう程のモノだ。
「おい、こんにちはオジサン。もしかすると、この子は経験が無いのかもしれないぞ」
「ピンクの髪で淫乱に見えるけど、まさかの清純派かもしれないな」
ひどい言われようだが、ミンニエリはそういった事はまだ未経験なのである。
「ば、ばかにしないでください!! み、見た事だって……触った事だってあるんです!!」
ようやく再起動したミンニエリは、極力見ないようにして訴えた。
ちなみにだが、見たり触ったりしたのは、動けなくなったリョウヤの介助をしていた時である。
「ふむ。中々いい反応をするが、残念ながら年増だ。逃した魚の責任は、その体で支払ってもらうぞ」
「わ、私の体で……!?」
「想像している事と少し違うがなっ!!」
腰を突き出しながら、いきなり飛び掛かってきたこんにちはオジサンが、器用に空中で腰を横に薙ぐ。
尋常ではない殺気と圧を感じたミンニエリは、無意識に後ずさった。
その瞬間、頬を何かがかする。
後ずさっていなければ、その何かがまともに顔に当たっていたかもしれない。
「ほう。今のを避けるか。だが、安心するのはまだ早いぞ」
「!!」
ミンニエリは咄嗟に体を捻る。
紙一重で左右からの何かをかわす事ができた。
「やるな! 姉ちゃん!!」
「伊達にピンク髪は淫乱じゃないな!!」
おはようオジサンと、こんばんはオジサンもコートの前を開いて、下腹部の何かを振り回し始める。
その何かが、彼らの腰の動きに合わせ、まるでムチのようにしなりながらヒュンヒュン音を立てた。
「どうだ驚いたか? これは我らに古くから伝わる『珍拳』という武術だ」
「姉ちゃんに恨みは無いが、あの子達を逃がした落とし前は払ってもらうぞ」
「この技を使うのも久しぶりだぜ。ゆっくり味わってくれよ」
(どうしよう。私、とんでもないモノを見せられてるのだけど……)
ミンニエリは意識を集中した。
(アレは見えてない、見えてない、見えてない……)
思い込む事により、脳内でアレに謎の光処理が行われるのである。
しかし、それでは事態は解決しない。
現に、珍拳とやらで三人の男が襲い掛かってくるのだ。
「そうれそうれ!!」
ヒュヒュン!
「ほうらほうら!」
ヒュヒュン!
「どうですか~?」
ヒュヒュン!
どうにか避けるのだけで精一杯である。
間違ってもアレに触れたくはない。
(一体どうしたらいいの!?)
「逃げるだけでは、俺達に勝てないぞ!」
こんにちはオジサンの一撃が腕をかすめる。
(ひぃぃぃぃぃぃ!!)
全身に鳥肌が立つ。
そのショックで、思わずつまずいて転んでしまった。
万事休す。
無様に転んで無防備なミンニエリに、三人の男のアレが襲い掛かる。
溺れる者は藁をもつかむ。
そのことわざ通りに、ミンニエリは地面に落ちていた細い木の枝を掴んで男達に振り向いた。
「そんな細い枝で、どうしようってんだ?」
「こう使うんです!!」
ビュン!!
こちらもムチのようにしなる枝で、こんにちはオジサンのアレを叩いた。
ピシィッ!!
「ぎゃあああああああああ!!」
皆さんも経験はないだろうか。
子供の頃、冬の体育の時間で縄跳びをしていて、無防備な足にムチのような縄跳びが直撃した事を。
あのような痛みがアレにダイレクトしたのである。
「えいっ! えいっ!」
ビュン! ビュビュン!!
ピシィッ!! ビシィッ!!
「ぐぎゃああああああああ!!」
「うんぎゃあああああああ!!」
アレに細い枝の直撃を食らい、前かがみになるオジサン達。
ミンニエリは大森林の出身である。
このように、細い枝で叩き合う遊びを子供の頃に経験していたので、当たれば痛い事を知っていたのだ。
「おのれ……おのれ……!! これで珍拳に勝ったと思うなよ!! 今こそ見せてやろう、珍拳奥義!! はあああああああああああああっ!!!」
こんにちはオジサンが、涙目になりつつ気合いを入れて腰を突き出す。
はた目から見ると、とんでもない絵面だ。
「気合いを入れて硬直化だ!! お前達も気合いを入れろ!!」
「おう!!」
「任せろ!!」
三人の変質者がそれぞれ腰を突き出しながら気合いを入れている。
その間にも、三人のアレが次第にそそり立って硬直化していった。
無論、見せられているミンニエリはドン引きだ。
(でも、リョウヤさんのはもっと可愛らしかった気がしますね)
本人が聞いたら『余計なお世話だ!』と叫びたくなるような事を考えながら、律儀に相手の出方を待っていた。
「ふうううう……これぞ珍拳奥義『珍棒』だ!」
身も蓋も無い事を言いながら、こんにちはオジサンが腰を突き出して見せつける。
「せっかくの機会だ。アレをやらないか?」
おはようオジサンが提案すると、こんばんはオジサンが同意する。
「よし、アレをやろうぜ!!」
三人は互いにアイコンタクトを取った。
「「「一人はみんなのために!! みんなは一人のために!!」」」
三人は互いのアレを重ねる。
どこからどう見ても、ひどい絵面である。
一方、ミンニエリはその辺から拾ってきた角材を問答無用で三人のアレに叩き付けた。
「ふんぐおおおおおおお!?」
「おおおおううっっつつ!?」
「んんんんんっっっほう!?」
硬直化したアレに角材がもろに直撃した三人は、うずくまって呻き声しか上げられない。
「流石にここまでくると、もうなんとも思わなくなりましたよ」
全てを達観したような、清々しい表情で語り掛けるミンニエリ。
きっと彼女も成長したのだろう。
程なくして、向こうから衛兵達が駆け付けてくるのが見えた。
面倒ごとは御免だとばかりに角材を投げ捨て、ミンニエリはその場を後にする。
そして、最後に振り返り三人に告げた。
「みなさん、良い聖夜を」
悶絶する三人には、その言葉は届かなかった。
Q サブタイトルの「聖夜の異変」ってなんですか?
A 適当に考えただけで、特に意味はありません。
Q オジサン達がやり遂げたかった事って、なんですか?
A ただの露出行為。
Q この後、ミンニエリはどうなってしまうんですか?
A ラッキースケベ展開で、リョウヤのを見てしまい頬を赤らめます。




