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【本編完結】神様のうっかりで転生時のチートスキルと装備をもらい損ねたけど、魔力だけは無駄にあるので無理せずにやっていきたいです【修正版】  作者: きちのん
おまけ編 竜姫誕生

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781 これなら二人で寝ても余裕ですの

 俺が運んできた荷物は、使用人らしき人達が一気に運んでいった。

 レイズ達が、ここで取り扱う品物ばかりだったらしい。


「メルエルザさんの扱う薬が人気でな。こうやって、優先的に回してくれるから助かるぜ」


「今では、ここが専売所みたいになってるからねー」


「お褒めに頂き、光栄ですの」


 なんだかんだで、メルさまも薬の取り扱いを幅広くやっている。

 既に王都以外でも、いくつかの店に卸しているそうだ。


「ふと思ったんだけど、そんなにメルさまの薬がそんなに人気なら、この街にいる薬師は商売上がったりじゃないのか? 恨まれたりしないか?」


 よくある話だと、主人公側の薬が高性能かつ安価なので、ぼったくり薬師が商売に困って逆恨みしてくる展開をよく見る。


「ああ、そこは上手くやってるぞ。元々いた街の薬師は、うちのグループに属してもらった」


「日用品を取り扱う商人達も、今はうちの傘下になってるから心配しないで」


 手広くやり過ぎだろ。そもそも二人は冒険者でなく、商売の方が向いていそうだ。

 まあ、抱き込める物はなんでも抱き込んだ方がトラブルも避けられていいよな。


 そんな訳で、夕食はちょっとした豪華な食事会を開いてもらった。

 一応はフォーマルな席なので、服装もそれなりに。

 今の俺は、魔力布で自在に服装を変化させられるので便利である。

 一方、メルさまは普通にパーティードレスを持参していた。

 まさか、この会食も最初から予想していたと!?


「セッキーさん、ご自分の立場をいい加減に理解してくださいね。わたくしだって、セッキーさんの伴侶として、恥ずかしくない振る舞いをしないといけませんの」


 この子、しれっと伴侶とか言ってるのですが……。

 悪い気がしないのが腹が立つぜ。

 仮にだが、この場所にロワりんとかがいて、今の発言を聞いたら揉めただろうなあ。


 それはさておき、会食では街の有力者やらと挨拶をしたりする一方、薬師らしき人が何人もメルさまに挨拶しにやって来た。

 なんでも、高名かつ妖艶な薬師であるミスティさんの弟子という事で、薬師界隈ではメルさまも人気なのだそうだ。

 その上、年若い娘さんで黙っていれば可愛らしいご令嬢だ。男どもから人気が出ない訳がない。



「メルエルザ嬢、お会いできて光栄です。私はウエルッカーツの一番弟子、オールと申します。どうぞ、これからも仲良くしていただきたい」


 なんか、いかにもって感じのが出てきたなあ。

 ニチャアと笑う笑顔に鳥肌が立つ。


「うふふ、わたくしもお会いできて光栄ですの。よろしくお願いしますの」


 そう言いながら、挨拶に来たニチャアと笑う若い男の薬師に向けて、さり気なく左手薬指の指輪を見せる。

 すると、ニチャア男はトーンダウンした。

 空気が読めて偉いぞ。


「……ああ、はい」


 メルさまの行為は下手すると嫌味な仕草だが、それを感じさせない上品さは生まれ持ったものだろうか。

 しかし、あの指輪って王都で鍛冶職人のガンテツさんの店で買った安物なんだよな。

 もっと良いものを贈らないと彼女が恥をかいてしまう。今度ちゃんとした指輪を用意しよう。


 そんな事を考えてると、メルさまがこちらに指輪を見せてニコリと微笑んだ。

 まさか、新たな指輪を買ってもらう事すらも計算の内だとう!?

 恐れおののいていると、レイズ達に声を掛けられた。


「指輪だけどさ、うちの方で用意させてもらうぜ? その手の商人に伝手があるんだ」


「あたしのも、レイズが奮発してくれたんだよね~」


 この二人はグルなのか!?

 高額な指輪を買わされる前に話題を変えよう。



「そういえばさ、レイズって俺にセキこになれって言わなくなったな。今日だって言われると思ったのに」


「お前は馬鹿か? 今ではノノミリアという妻もいるし、それなりの立場で働いてるんだ。そんなのはとっくに卒業したぞ」


 なんとまあ、すっかり大人になっちゃって。


「じゃあさ、俺がセキこになって誘惑したらどうする?」


「お、おま! ノノミリアの前で変な事を言うなよ!?」


 うむ。あの動揺の仕方は、まだセキこに未練があると見た。

 一人納得して頷いていると、ノノミリアの視線を感じる。


「リョウヤ君さー、あたしの旦那を堂々と誘惑しないでもらいたいんだけど」


「冗談だっての。というか、この状況でレイズを誘惑って、色んな意味で誤解されないか?」


 案の定、会食に呼ばれた奥様方の一部がヒソヒソ話を始めている。

 恐らくレイズは、腐った趣味を持つ奥様方から男色と認識されたのであろう。


 そんな恐ろしい会食も終わり、四人でプライベートな語らいの場を設けてもらった。

 最初は互いの近況報告に始まり、異世界の邪神云々や北の大森林での騒動、むにょーん☆の話をしたら、思いっきり呆れられてしまったのだが。


 それも一段落して昔話も終えたら、ようやく明日のイベントの話題になった。



「そのイベントって、どういう事をやるんだ? メルさまは詳しい事を教えてくれないし」


「メルエルザさん、リョウヤには何も話してないのか?」


「ええ。その方が面白いですの」


 この子、俺に嫌がらせをするのに人生を掛けてるのだろうか。

 それを言ったら、妖狐のレイにゃんや精霊達もだけど。

 呆れてると、ノノミリアが説明してくれた。


「あのね、イベントってのは町おこしも兼ねてるの。あたし達、なんでも屋をやってると言ったじゃない? そこで街の偉い人から、客寄せのイベントを頼まれちゃって」


「そんで、俺達は考えたわけよ。色々伝手を当たったり、それこそ、街に伝わる古文書に何かヒントが無いかと探したんだよ」


「そして、遂にそれっぽいイベントを思い付いたの!」


 だから、そのイベントってなんなんだよ。

 もったいぶらずに早く教えて欲しいのだが。


「おっと、明日は早いんだったな。今日はこの辺にしておこう」


「リョウヤ君とメルさんも早く休んでね」


 ここで話を打ち切るのかよ!?

 あり得ないだろ!?


「さて、わたくし達も明日に備えて寝ましょうか。町おこしイベント、頑張りましょうね」


 ここで普通に流すメルさまが憎い。

 仕方ない。教えてくれないならさっさと寝てしまおう。

 用意された客室に向かう。


 流石に客室は立派である。言っちゃ悪いが、辺鄙な場所の街なのに、随分と金を掛けてるなあ。

 ベッドも大きいので、寝返りもし放題である。


「これなら二人で寝ても余裕ですの」


 俺の脇から、ひょこっとメルさまが湧いてきた。


「ここは俺の部屋ですよ。あなたは別でしょうが」


「何をおっしゃりますの。わたくしの部屋もここですの」


 まさかとは思うが、同室だとう!?


「今更恥ずかしがる間柄ではないですの」


「いや、まあそうだけど……色々とマズいんじゃないかなあと」


「まあ! セッキーさんは、いかがわしい事をする気が満々なのですね!」


「そんな事は言ってねえって」


「……わたくしは、そのつもりですけど? 最近、構ってもらえなくて寂しかったのですの」


 そうやって上目遣いで抱きついてくるのは、卑怯だと思うのですが。


「そ、その前に風呂だな。流石にサッパリしたい」


 こいつ逃げやがったな、みたいな目で睨まれた。

 一応こういうのは、マナーとして大事なところであるぞ。







「……むむ、もう朝か」


 自然と目が覚めた。

 身体が重い。見るとメルさまが俺に覆いかぶさったまま寝ている。

 昨夜は色々あったからなあー。


「セッキーさんが温かいですの……むにゃむにゃ」


 お約束な寝言である。

 ハーフのアンデッドであるメルさまは、朝の体温が特に低い。

 こうやって、一緒に寝る時は俺で暖を取るのがお気に入りらしい。

 最初の頃は、あまりの冷たさに夜中に何度も目が覚めたのだが、魔力で体温を上げる方法を思いついた事により問題は解決した。


 問題は解決したのだが、可愛らしい下着姿でこうやって抱きつかれてると、新たな問題が起きてくるのですよ。

 現に、俺の体の極一部が元気になっていらっしゃいます。


「セッキーさんたら、朝から欲求不満なのですか? 昨夜はあれだけ頑張りましたのに」


 どうやら、お姫様がお目覚めらしい。


「これは自然な生理反応というものですよ」


「そういう事にいたしましょうか」


 そう言いながら、ぎゅっと抱きついてきて、俺の唇を何度もついばんでくる。

 こういう時だけ可愛いのって、卑怯だよなー。





 朝食後、俺達は街の中央広場と呼ばれる場所に案内された。

 なんでも、ここでイベントの説明が行われるそうだ。


「結構な賑わいだな。これ全員が参加者なのだろうか?」


「ほとんどが観客のようですの。イベント参加者はあそこに集合らしいですの」


 なるほど、既に何人かが集まっている。


「では、健闘を祈りますの」


「あれ? メルさまは参加しないのか?」


「わたくしは、観客に徹しますから」


 面倒事はご遠慮しますって顔だ。

 俺に押し付ければいいって問題じゃないんだけどな?


 仕方なしに参加者集合場所に向かう。


「やあ、久しぶりだね!」


 気安く肩を叩かれた。

 誰かと思えば……。


「ケフィンじゃないか!? どうしてこんな場所に!?」


 最近すっかりご無沙汰の残念イケメンである。

 そんでもって、残念聖女のティセリアさんの婚約者だ。


「可愛い後輩が頑張る、町おこしに協力してあげたいと思ってね。今朝到着したばかりさ。ゲンゲツとレイメイもいるよ」


「よお、リョウヤ。元気だったか?」


「あなたの噂は、私達もよく耳にしていますよ」


 なんとまあ、懐かしい顔ぶれである。

 ケフィンは、王国騎士団に入団するための士官学校に進学したはずだ。

 従者の二人も同様である。


「士官学校に進学したと聞いたけど、こんな場所にいていいんですかね?」


「ははは。それはそれ、これはこれだよ。ところで、ティセリアは元気かい?」


 相変わらず、変なところでいい加減だなあ。


「ティセリアさんなら、王立学校で元気に生徒会長をしてますよ」


「うん、彼女からの手紙に書いてあったけど、色々頑張ってるみたいで安心したよ」


「ティセリアさんとは、あんまり会ってないんですか?」


「まあ、今はお互い大事な時期だからね。あまり色恋にかまけてられないんだ。リョウヤ君みたいにね」


 地味に嫌味を言ってきやがる。

 今朝から色恋どころじゃない事をやってたので、何も言えないけど。


 ケフィン同様に、ゲンゲツさんとレイメイさんも彼女とは会ってないそうだ。

 軍というのは、ストイックな場所なんだなあ。俺には無理そうだ。

 だけど、獣人部隊に属しているラスは、アストリーシャとは割と会ってるみたいなので、指揮官候補とは規則の厳しさが違うのだろう。


 そんな事を考えていると、檀上にレイズとノノミリアが立った。


「これより第一回、『バケモンバトル』を開催するぜ!!」


「みなさん、豪華賞品を目指して頑張ってくださいね!!」


 なんか既に色んな意味でヤバい空気がプンプンしてくるのだが、観客からは歓声が上がる。

 どうしてこれで盛り上がれるのだろう。きっと盛り上げ役のサクラがいるに違いない。

 そう思う事にしないと、悲しくなってくるぞ。


「ふむ、面白そうな催しだね」


「燃えてくるぜ!!」


「ここは是非とも上位を狙いたいですね」


 そこの三人も、子供みたいに瞳を輝かしている。



「さて、バケモンバトルとはなんぞやと思う人へ説明するぞ!」


「このマリルガル地方に古くから伝わる『バケモン』を探してゲットしてね!」


「その捕まえたバケモン同士でバトルをする! そして最後まで勝ち残った者が勝者だ!」


 いや、これ色々大丈夫なのか?

 絶対に問題が起きる予感しかしない。


「バケモンに関しては、古くから研究している第一人者に説明してもらうぞ!」


「バケモンプロのオーツキ博士、どうぞ壇上へ!」


 ノノミリアの紹介の声とともに、バケツを手にした白衣姿の初老男性が檀上に上がる。


「世の中の不可思議な現象は、全てプラズマで説明できる!! すなわち、バケモンもプラズマ集合体である!!」


 ……これ、本当に大丈夫なのかなあ。

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