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【本編完結】神様のうっかりで転生時のチートスキルと装備をもらい損ねたけど、魔力だけは無駄にあるので無理せずにやっていきたいです【修正版】  作者: きちのん
おまけ編 それぞれの新たな生活

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722 私、知らないからねー

 獣人の皆様方の崇拝の視線をスルーしつつ、砦に戻った。


「セキこちゃんというか、リョウヤ君は物凄い存在になってるねー」


 メグさんが面白そうに言ってくるが、こちらの身にもなってほしい。

 もっとも、本来の姿では身バレしてないので、いくらでも誤魔化しようはあるけど。


 そんでもって、俺とメグさんとで青虎族の傭兵の尋問に取り掛かる。

 全員は無駄なので、リーダーのフィーリンを取調室に連れて行く。

 途中、砦の人達からは複雑な目を向けられるが、俺という存在とメグさんがいるので、直接何かを言われる事は無かった。


 逆に、陥落した砦から救出された戦士達が、傭兵達の助命の嘆願をしてきたのに驚いた。

 聞けば、傭兵達は可能な限り相手を殺す事はしなかったし、捕虜の虐待も許さなかったと言う。




「あなたには悪いけど、その首輪を身に着けてもらうからね」


 取調室に入るなり、メグさんが有無を言わさず魔道具らしき首輪をフィーリンに着けさせた。

 どうやら力を封印する効果があるらしいが、フィーリンは屈辱に耐えている様子だ。

 捕虜扱いなので、そこは我慢して欲しい。

 三の部族が捕虜にした者をなぶり殺しにしたり、慰み者にしていたケースが多かったとの報告があったので、それよりはマシだろう。


「……寛大な処置に感謝するよ」


 椅子に座らせられたフィーリンが皮肉を言いながら、メグさんを睨んだ。


「まあ、そう睨まないでよ。縄は解いたんだからさ」


 戦闘時以外はポヤっとしてるメグさんが答えるが、部屋の空気は重いままだ。


 さて、どうしたものだろうな。

 本来なら、洗いざらい情報を吐き出させるのだろうが、元凶はチ〇コマンの仕業で、それも片付いてしまった。

 ここで依頼主の事を聞き出してもあまり意味が無いと思う。

 そもそもが傭兵だ。金で雇われただけで、重要な情報を知っているとは思えない。


 傭兵の事よりも、三の部族との関係が今後どうなるかの方が重要だ。

 その辺の事は、各部族のおさ同士で調整してもらうか。


「あのさ。あたいは、セキこと話がしたいんだけど」


 いきなりのご指名である。

 ロウユウの件もあるし、そっちの方が彼女にとって重要だろう。


「えー、どうしよっかなー?」


 メグさん、挑発しないでよ。

 フィーリンがめっちゃ睨んでますよ。首輪が無かったらメグさんに襲い掛かるぐらいの気迫だ。

 それを受けて、メグさんの表情から笑みが消えた。


「……ねえ、あなた自分の立場って分かってる? 本当だったら、問答無用で首を刎ねられても文句言えないんだよ?」


 メグさんの瞳孔が縦長になり、尻尾が二股になる。

 そのままフィーリンに顔を寄せた。


「……くっ」


 流石のフィーリンも、本能で敵わないと認識したのだろう。

 そのまま顔を背けてしまった。


「ま、そんな事しないから。セキこちゃんは、青虎族を助けたいんでしょ?」


 メグさんも人が悪い。

 だけど、実力を見せてなめられないようにするのは、大事な事なのだろう。


「メグさんの言う通り、俺はフィーリンさん達を助けたいと思ってるよ」


 途端にフィーリンの顔がパアっと輝くが、すぐにうつむいてしまった。

 物事はそう簡単ではないと、分かっているのだろう。


「……あたいはどうなってもいいけど、仲間達は助けてやって欲しい」


「そして、最後にロウユウに一目会わせてくれって、言いたいんでしょ?」


 俺が尋ねると、フィーリンは黙って頷いた。

 果たしてロウユウが会ってくれるのだろうか。

 あいつ、物凄く青虎族を毛嫌いしていたしなあ……。


「セキこちゃん、フィーリンを処刑しちゃうの?」


「しませんよ。それ以前に、俺にそんな権限は無いでしょうが」


「そうなの? 今のセキこちゃんなら、砦の人達はみんな言う事を聞いてくれるよ?」


 なんですと。


「だって、精霊樹に認められてるんだよ? 大森林に暮らす獣人にとって、神様みたいなものだよ?」


 サラッと怖い事を言わないでくれませんかね。


「あれには、あたいも驚いたよ。それにその姿。東方の妖狐じゃないのかい?」


 ほほう、セキコんを一目で妖狐と見抜くとは、お主も中々やるな。

 ……って、冗談を言ってる場合じゃない。


「ぶっちゃけると、俺の一声でなんでも決まると?」


「流石に長にも相談しないと駄目だろうけど、大体そんな感じかな」


 ふむ……。

 例えば、捕虜の女戦士のお姉さん達に、あんな事やこんな事を……されたい!


「セキこちゃん? 変な事考えてない?」


 ニッコリと微笑むメグさんが怖い。

 気の強そうな女戦士に色々されてしまうのも、男の夢なのだよ。

 するのではなく、されるのが重要なのだ。そこのところ大事なので、今度のテストに出るぞ!


 ……なんだか、フィーリンが汚物を見るような目で見てくるので話を戻そう。



「俺としては、傭兵は助けたい。話を聞けば、卑劣な事はしなかったそうじゃないか」


「ああ……。あたい達は盗賊とは違うからね」


 傭兵なりのプライドはあるらしい。


「だからと言って、このまま無罪放免とはいかないだろうなあ」


「そうだねー」


 メグさんが適当な相槌を返してくる。

 なんか既に飽きてきてるっぽい。大きなあくびをしてるし。

 あくびが俺とフィーリンにも移った。


 流石に疲れてきたので、適当に切り上げてしまおう。

 細かい事は必殺先延ばしである。


「じゃあさ、フィーリンさん達は、今後一切の大森林への立ち入り禁止って事にして追放」


「…………っ!?」


 思いっきり目をひん剥いてるけど、そんなにショックな事だっただろうか。

 もしかして、死ぬより辛い事だったとか?


「うぅ……!! か、寛大な処置に……感謝の言葉も……ございません……」


 泣きながら喜んでるよ!


「セキこちゃん、流石に甘すぎない?」


「だけどさ、罪に処するって言っても禁固刑や重労働刑とか、そういうの面倒でしょうよ。傭兵として戦っただけだし、チ〇コマンとは一緒に戦ってくれたし。追い出す方が一番楽でしょ」


「ま、それもそうだねー」


 メグさんが単純で助かった。

 そんな事を考えてると、フィーリンが椅子から立ち上がって俺にひざまずいた。


「えっと、どうしたのかな?」


「このフィーリン、あなた様に一生の忠誠を尽くさせて頂きます!」


 なんですと。


「待って、いきなりそんなの重いから!!」


「いいえ! ここまでのご恩を受けて何も返さないのは、青虎族の恥! 何がなんでもセキこ様に忠誠を尽くさせて頂きます!!」


 この目的に向かって一直線なのは、ロウユウに通じる物を感じるなー。


「メグさん、どうしよう……」


「私、知らないからねー」


 冷たく突き放されてしまったよ。

 仕方ない。こうなったら、何がなんでもロウユウに押し付けてやる。

 案外、この押しの強さがロウユウが嫌っていた理由だったりして……。



「ねえ、傭兵の事はそれでいいけどさ、三の部族の捕虜はどうするの?」


「え? そっちも俺が決めるの?」


「だって、セキこちゃんがここで一番発言力があるんだよ?」


 そんな簡単に言わないでよ。


「全員処刑する? 別に構わないけど、『皆殺しのセキこ』って二つ名がつくだろうね」


 マジで勘弁してください。

 そんな二つ名を付けられたら、王都のみんなから軽蔑の目で見られてしまう。


「そっちは、三の部族の領地に送還しかないのかな?」


「攻めてきたのを無罪放免で帰すの? 四の部族の人達が黙ってるかな?」


 ですよねー。

 傭兵と違って、かなりの悪さを働いていたらしい。

 だからと言って、あの人数に刑罰を与えて送還もまた負担が大きい。


 うーんどうしよう。

 こういう時にベルガだったら、いいアイデアをくれたのだろうけど……。

 駄目だな。つい頼ってしまう。


「……じゃあさ、こっちも大森林から追放って事で」


「まあ、心理的にはかなりの罰にはなるだろうね。多分、みんな大森林から出た事もないだろうし」


「それで決定ですね」


「待って。あんな人数を解き放ったら、何をするか分からないよ? それこそ、王国の領地に入り込んで村や町を襲う盗賊になるかもしれないよ?」


 ぐぬぬぬぬ。そこまで考えが至らなかった。

 誰だよ、メグさんが単純だって言ったやつは。俺だけどさ。


 考えろ、俺。

 何かズルい案……じゃなくて、いい案があるはずだ。


「あの、セキこ様。やはりここは罰として、重労働をさせるのが定石ではないでしょうか?」


 遠慮がちにフィーリンが提案してくれるけど、セキこ様はやめて欲しい。

 ついでにその敬語もね。



「重労働ねえ……あ、そうだ」


「何か思い付いたの?」


「はい。フェイミスヤ国の再建の人員として送り込んでは? そのまま移民としてもいいんじゃないかなあと」


 フェイミスヤ国は、メグさんが幼い頃に魔王軍によって滅ぼされた国だ。

 王国とゴタゴタがあったヴィルオンという国に併合されていたが、これまた色々あって、フェイミスヤの土地を譲渡させたのである。

 現在、メグさんのご両親は、フェイミスヤ国の再建に邁進しているらしい。


「そっか……。その手もあるね!」


「だけど、三の部族って気性が荒いんですよね。そんなのを送り込んで大丈夫かなって……」


「大丈夫。お父さんがヴィルオンで救出した凄腕の剣闘士の人達も移住してるので、三の部族が暴れたら、すぐに叩きのめしてくれると思うよ」


 これまた怖い事サラッと、おっしゃらないでくださいよう。


 勝手に大事な事を決めていいものか分からなかったけど、メグさんが大丈夫だって言うので、そんな感じで決めてしまった。

 後は長のミミちゃんに了承を取るだけである。


 あー、ミミちゃんにベルガの事を伝えるのが気が重い。


 取り調べを終え、部屋に戻る足取りが重い。

 精神的な事もあるけど、実際に疲れてるのだろう。

 さっさと風呂に入って寝よう。

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こいつ趣味の幅広過ぎやろー
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