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【本編完結】神様のうっかりで転生時のチートスキルと装備をもらい損ねたけど、魔力だけは無駄にあるので無理せずにやっていきたいです【修正版】  作者: きちのん
第四章

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117 もうそれは飲まないからな!!

 その後、ナナミさんはエリオ先生に一週間後に服を作って来ると約束をして、その場を後にした。

 だが、そのナナミさんは思案顔だ。


「ああは言ったけど、どうしたものかなぁ……」


 考え込んでいたナナミさんが、歩きながらシーラとアンこ先輩に目を向ける。

 彼女達をモデルに、服作りの事を考えているのだろうか。


「ねえ、リョウヤ君。彼女達以外にモデルの心当たりがあったら紹介してくれない? もっと色々な子を見て考えてみたいのだけど。断わっておくけど、別にこの二人がダメだって話じゃないからね」


 そう言いながら、途中でシーラ達にフォローを入れる。

 確かにタイプの違うモデルがいれば、アイデアが浮かぶのかもしれない。


 それでしたらと、先輩が早速提案してくれた。


「ミっちゃん達を紹介したらどうでしょうか?」


 先輩の案に俺は素直に同意する。

 善は急げと、彼女達が私物化してしまっているメンバールームを尋ねると、丁度休憩時間だったのか、ピアリや鏡子さんも含めてみんなが揃っていた。

 当たり前だけど、仕事中のリリナさんは留守だ。


 まずはナナミさんをみんなに紹介しようとしたら、ロワりんが素っ頓狂な声を上げた。


「あー! あなたは……!!」


 それに対して、ナナミさんも驚いた顔になる。


「もしかして、あの時の……!?」


 やっぱり、ロワりんの服を作ったのはナナミさんだったみたいだな。


「「……で、誰だっけ?」」


 お約束かよ。

 せっかくなのでズッコケてあげたら、俺だけだった。

 結構みんなノリ悪いよね。


 冗談はともかく、二人は再会を喜んだ。


 そんなこんなで、改めてナナミさんの紹介と店を開く事や、モデルと服作りの話をみんなにも説明する。


「あー、私はモデルなんて無理だよ! 絶対に無理だからね! 絶対に!!」


 まだモデルになるとも決まっていないのに、ロワりんが大袈裟に拒否している。

 ああ言っているが、本当はやってみたいんだろうなぁ。



「モデルか……。メルさまがやってみたらどうだ?」


 ミっちゃんが興味無さそうにメルさまに話を振る。

 意外とこういうのに食い付くかと思っていたのだけど、やっぱり人前に出たいタイプじゃないらしい。


「わたくし、モデルになれと頼まれれば考えてはみますけど、ピアっちさんはどうですの?」


 なんだか歯切れの悪いメルさまがピアリに話を振った。


「ボク? いや、無い無いって。ボクなんかより、アンこ先輩やシーぽんの方がいいよ」


 ピアリが二人に振るが、彼女達の反応は芳しくない。


「私がモデルだなんて、恐れ多いですよう……」


「わらわは普通に興味が無い。キョウコにでもやらせてみたらどうだ?」


 シーラが鏡子さんに無茶振りするが、その鏡子さんも『私はヒトじゃありませんし』と、取り付く島もなかった。

 そんな状況でロワりんが再度拒否の声を上げる。


「あー、私も絶対に無理だからね!!」


 そう言いながら、こちらをチラチラ見てくる。

 すっげえ分かりやすい反応である。


 そこでシーラから火の玉ストレートが放たれた。


「拒否を装っているが、本当はモデルをやってみたくて仕方がないのだろう? わらわにはそう見えるぞ」


「なっ!? ち、違うし!! そんな事は全然ないんだからね!!」


 シーラの言葉がロワりんにクリティカルヒットしたみたいだ。

 慌てて否定するも、見ていて痛々しい。


 他のみんなも、生暖かい目でロワりんを見守っている。

 だが、このままでは埒が明かないので話を進める事にした。



「どうですかね? モデルになってほしい子がいましたか?」


 ナナミさんに尋ねると、彼女は顎に手を当てて難しい顔をしている。


「悪くは無いのだけど……いえ、むしろみんな可愛いのよ? でも何かがこう、足りないのよね。何かが」


 ナナミさんが両拳を握りしめ、何かが足りない事を表現している。

 そうなると冒険者予備校はおろか、王都にすら彼女のお眼鏡に適う子はいない気がするな。


 可哀想に、ナナミさんの言葉を聞いたロワりんがすっかり落ち込んでしまっていた。

 そんな彼女の様子を見ていると、メルさまに肩を叩かれた。


「なんですかね?」


「ここはセッキーさんが一肌脱いでくださると、万事解決だと思いますの」


「俺が? どうやって……まさか!?」


 もの凄く嫌な予感がした。


「お察しの通りですの。これをグイっと一気にやってくださいな」


 素敵な笑顔でメルさまが小瓶を俺に押しつけてくる。

 以前、セキこになった記憶がフラッシュバックした。

 もうあんな失態は誰にも見せたくない。


「嫌だ! もうそれは飲まないからな!!」


「ご心配なく。今回は色々改良して副作用も抑えてあるから大丈夫ですの」


 ふざけんな。何が副作用も抑えてあるだ!

 だったら、メルさまが飲めばいいじゃないかよ!


 迫ってくるメルさまの笑顔が悪魔の微笑みにしか見えない。

 この場から逃げようと思った瞬間、背後に悪寒を感じた。


「ほほう。それは面白そうだな」


 気づくと背後にミっちゃんが立っていて、いきなり羽交い絞めにされてしまった。


「うわなにをするやめろ!」


「セッキー、大人しくしろ! ロワりん手伝え!!」


「合点承知の助!」


 ミっちゃんによって身動きが取れなくなっているところに、ロワりんが参戦してきた。

 それはそうと、合点承知の助っていつの死語だよ……。


 そんな事を考えていると、ロワりんが素早く俺の鼻をつまみ、無理矢理に口をこじ開けようとする。

 抵抗するも、鼻をつままれて呼吸ができないので最終的に口を開けてしまった。


「ほら、メルさま早く!!」


「ロワりんさん、ありがとうございます。それではセッキーさん、失礼しますね」


「あがががががが──!!」


 ロワりんとミっちゃんにガッチリ抑え込まれた俺の口に、メルさまが小瓶の中身を注いだ。

 俺を殺す気か!?

 必死に吐き出そうとするも、鼻と口を塞がれてしまったので飲み込むしかない。

 そんな俺の様子を見て、事情を知らないシーラと鏡子さんが呆気に取られている。


 薬を無理やり飲まされた俺は、急激な身体の変化で床にのたうち回った。

 流石にナナミさんも不安になってきたのか、隣のピアリに状況を尋ねている。


「ねぇ……彼は大丈夫なの?」


「気にしないでください。いつもの事ですから」


 あのさあ。そこでオロオロしているアンこ先輩を見習って、少しは俺の事を心配してくれませんかね……。


 しばらく床を転がっていたら、体が軽くなったのを感じる。

 すると髪は肩まで伸び、頭を触るとやっぱり猫耳が生えていた。


 ……そして、今回は少し違った。

 胸が控え目サイズなのである。

 俺が胸の大きさを確認していると、メルさまが勝ち誇った様に言う。


「前回は妙に腹が立ちましたので、今回はその辺りも改良しておきましたの」


 はぁ、そうですか。

 正直どうでも良かったのだが、シーラが俺の姿を見て驚愕していた。


「リョウヤ、その姿は一体……」


 最初は驚いていたシーラだが、すぐに顔を真っ赤にして笑いを堪えている。

 我慢なんてするなよ。素直に笑ってくれた方が気が楽だ。


 今度は鏡子さんが感嘆の声を上げた。


「まあ! なんて可愛らしいのでしょう!!」


 鏡子さんが俺の周囲をぐるぐる回って、あちこち触りまくってくる。

 このままだと、鏡の中に連れ去られそうで恐怖を感じる。



「ほうほう……これはこれは……」


 今度はナナミさんまで俺の身体を撫でまわしてきた。


「おい、やめてくれ! 俺はオモチャじゃないぞ!!」


 体が小さくなったので、脱げそうな服を押さえながら叫ぶも、可愛らしい声になってしまったので迫力がない。

 それがみんなの嗜虐心に火を点けてしまったらしい。

 全員の視線が怖い。本気で身の危険を感じた時には既に遅かった。



「さあ、お着換えの時間ですの!」


 ニヤリと笑うメルさまに腕を掴まれた。

 それを合図に、みんなから抵抗むなしく身ぐるみ剥がされてしまう。

 その中で一際目立ったのが、アンこ先輩だった。


「嫌がるセキこちゃんを脱がすのは楽しいですね!」


 仄暗い微笑みを浮かべる先輩に闇を感じた周囲のみんなが若干引いている。

 そんなこんなで、俺は着せ替え人形としてもてあそばれてしまうのだった。


 もうこんな体じゃ、お婿に行けない……。

 そんな予定も無いけどさ。


 その後、まるで事後の様な半裸姿の俺を見て、ナナミさんは笑顔で俺をモデルに指名したのであった。


 ……どうしてこうなった。

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