第二話
今世でもダイエット、そうと決まればすぐ行動だ。
「マリサ、私、朝はコップ一杯のお白湯から始めたくってよ。そして明日から朝は食事の前に散歩をしたいの。陽が昇る前に、起こしてくださるかしら」
「はあ・・かしこまりま・・・・は??散歩?!お嬢様が!? 」
目を丸くするマリサさん。
デブから発せられた突然の散歩発言に相当驚いているようだ。
「ゴホンゴホンッ、えー、本日はやけにやる気がみなぎっていらっしゃるようで・・?承知いたしました。お白湯ご用意致します。」「が、本日のアントン先生の授業には遅れないようにご準備なさいませ、私の代わりにルイス様付きの従僕、ヒューゴが参ります。お隣の勉強部屋でお待ちください。本日は弟君ルイス様もご一緒されるようです。」
お白湯を飲み、腸を動かすという、ダイエット朝活。
好調な滑り出しに満足した私はリリーという人物について情報収集を行った。
私リリー、なんとマックスウェルという伯爵家の長女であるらしい。
そして重大な情報がもうひとつ、リリー・マックスウェルは現在13歳。来年には社交界デビューが控えているらしい。
これはやばい、ますますやばい!
伯爵令嬢がこんな体重3桁の白豚だなんて、社交界の笑いもの一直線だ。
チサちゃん、水川先輩・・・前世の嫌な記憶が蘇る・・・
前世の過ちは繰り返さない!
気を紛らわすべく、豪勢な部屋の中を3周歩いてみる。
前世SNSで見た、座らないダイエット、開始。
・・・アカン、この体。
3周しただけでわかる、全く運動していないわ。ZEROだわ。
この部屋は前世ワンルームの10倍は広い、しかしそれでも部屋一周で息が切れ、2周目でふくらはぎの筋肉が軋み始め、3周目にはフゥフゥという例のデブの特有の呼吸。
ぐぬぬぬ、
これはひどいデブだ…
ひょっとしたら前世よりひどい贅肉を嘆きつつ、
とりあえず、デブのエキス(汗)いっぱいの寝巻きから着替えて(メイドさんに着替えさせてもらった、汗臭くてごめん)、アントン先生とやらを勉強部屋で待つ。
コンコン、とノックの音。
「失礼いたします、ヒューゴでございます。リリーお嬢様、弟君、ルイス様がお見えです」
「どうぞ」
「お姉さまー!」
金髪碧眼の幼児が笑顔でこちらへ駆け寄ってくる・・・・
あらやだー!可愛いわ・・・ね・・・?
ん・・・?
いやー!!
あんたも、!!
あんたも、デブなんかいー!!!
きゅるきゅるスマイルは可愛い。可愛いんや、だけど、我が弟よ。
その雪だるまのような体型、ずっしりもっちり感。
間違いなく、デブのそれだった。
【悲報】
今世の我が弟、姉と同じく、ご立派なお贅肉をお持ちであった。
20話くらいで終わる予定です。