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とある負け犬の1日

作者: 陰宗

 例えば、何をやってもコイツには勝てないって感覚を味わったことはないか? スポーツでも、勉強でも。俺にはそれが全てだった。勉強もスポーツも、人より努力をしても平均に行くかどうか。人は誰しも、才能という名のレールがひかれているもんだ。だが、俺にはそのレールが引かれていなかった。俺は何をやっても並の人間以上にはなれなかった。


 将棋も、水泳も、数学の勉強も、俺は何をしたって並程度だった。俺はここで努力の無力さを知った。ちんちくりんの才能君は、いくら努力という名のピンヒールを履いたところで、180センチの人には勝てなかった。


 何をどう足掻いても、俺は生まれながらの負け犬であって、それはもうどうにもならない。負け犬であることを悲観して、他人を妬み自分を蔑んで生きる生き方もあるが、それは全然楽しくないし性に合わない。あくまで俺は生まれながらの負け犬であって、人生の負け犬ではないし、人生の負け犬っていうのは自分が死ぬ時に初めて決まるもんだ。俺は人生すらも負け犬のまま終わりたくはない。だが、生まれながらの負け犬が常人と同じ生き方をして、負け犬以外の生き方ができるわけがない。


 だから俺は、勝者になるための戦術としてポジティブっていうのを選んだ。俺は、他人を気にして勝者になれるほど優れちゃいない。だが、他人を使わずに勝者になれるほど優れてもいない。だから、自身には利己的であり、他者には愛されなくてはならない。自身を守り、他者の愛を獲得する攻めの一手がポジティブなんだ。


 もう一つの大きな戦術は、運要素ができる限り多い博打以外はしないということだ。頭脳や運動能力では俺は勝てない。だから、運を使う。運なら、格上の人間にだって勝てる。だから俺は、運を使った勝負をするんだ。


 俺の熱弁を前に、友人である智樹はうんうんと頷いた。


「っていうことでさ。パチンコ行きたいし、お金貸してくれない? 今日は還元日だし、流石に今日行けば勝てると思うんだ」

「せめて前貸した3万返してから言え」

良いなと思ったらポイントください。できる限り多くの人に読んでもらいたいので。

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